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エリアセグメントを「分類」で終わらせない
c-japan® Dynamicsの特徴量が保持する情報

2026/08/05

エリアセグメントを「分類」で終わらせない|c-japan® Dynamicsの特徴量が保持する情報

エリアセグメントデータは、複雑な地域特性を理解しやすい分類へと要約し、地図上に可視化できる点に大きな価値があります。

「広域集客型の商業エリア」「平日日中型のビジネス街」「休日に人が集まるレジャーエリア」「夜間滞在型の住宅地」といった分類が付与されていれば、全国のエリアを共通の基準で俯瞰し、地域ごとの特徴を直感的に捉えることができます。

一方、データ分析の立場から見ると、セグメントコードだけでは捉えきれない情報もあります。
同じセグメントに分類されたエリアは、本当に同じ特徴を持っているのでしょうか。

同じビジネス系エリアであっても、平日日中への集中度が極めて高い場所もあれば、商業機能が混在し、夕方以降も一定の人流が残る場所もあります。同じ住宅系エリアでも、日中の生活活動が一定程度維持される場所と、昼間に人口が流出し、夜間に大きく戻る場所とでは、地域の使われ方が異なります。

セグメントコードは、エリアを理解するための優れた「要約」です。しかし、要約された分類の背後には、分類だけでは表現しきれない連続的な差異があります。

c-japan® Dynamicsでは、この差異を分析可能な形で保持するため、街のタイプを示すエリアセグメントコードと、街の時間的な使われ方を数値化した4つの主成分得点を収録しています。以下、本稿では、前者を「セグメントコード」、後者を「特徴量」と表記します。

関連記事: 街の使われ方を、売上予測モデルの新たな説明変数へ
~c-japan® Dynamicsの特徴量データをどう活用するか~

1.セグメントコードが示すもの、示さないもの

1.セグメントコードが示すもの、示さないもの

セグメントコードの役割は、複雑なデータを、業務上理解しやすいグループへ整理することです。
c-japan® Dynamicsでは、エリアの特徴を中分類6分類、小分類23分類のコードとして提供します。これにより、大量のメッシュデータを地図上で色分けし、対象地域にどのような街のタイプが分布しているかを把握できます。

セグメントコードは、次のような用途に適しています。

  • 地図上でのエリア特性の可視化
  • セグメント別の構成比集計
  • 出店候補地や商圏の俯瞰
  • 分析対象エリアの抽出
  • 部門間でのエリア認識の共有
  • 分析結果を非専門家へ説明する際の共通言語

たとえば、ある地点が「平日日中に人が集中するビジネス系エリア」に分類されていれば、その地点の基本的な性格を短時間で理解できます。

ただし、カテゴリ変数である以上、セグメントコードは同じ分類内のすべての地点を、ひとつのグループとして扱います。
そのため、コードだけでは以下の情報が見えにくくなります。

  • その特性がどの程度強いのか
  • 同じセグメント内で、地点間にどのような差があるのか
  • 複数の特性がどのようなバランスで共存しているのか
  • セグメント境界付近の地点が、隣接するタイプとどの程度近いのか
  • どの時間的特徴が、その地点の性格を形成しているのか

分類は情報をわかりやすく圧縮する一方で、地点ごとの連続的な違いを一定程度集約します。
これはセグメントデータの欠点というより、分類という表現形式が持つ性質です。
重要なのは、セグメントコードだけで分析を完結させるのではなく、必要に応じて、その分類の背後にある数値情報へアクセスできることです。


2.カテゴリではなく、連続値で街を捉える

2.カテゴリではなく、連続値で街を捉える

c-japan® Dynamicsに収録される特徴量は、平日24時間、休日24時間の時間帯別滞在人口から主成分分析(多数の時間帯別データを、情報の欠落をできるだけ抑えながら少数の合成変数へ要約する統計手法)によって算出された連続値です。
各特徴量は、各地点が特定の性質をどの方向に、どの程度強く持つかを表します。

セグメントコードが、「この地点は、どのタイプに属するか」を表すのに対し、特徴量は、「この地点は、どのような特性を、どの方向に、どの程度強く持つか」を表します。

この違いは、エリアデータを分析に利用するうえで重要です。
たとえば、2つの地点が同じビジネス系セグメントに属していたとしても、両地点の特徴量が同一であるとは限りません。

一方の地点は、平日日中の滞在が非常に強く、休日には人流が大幅に減少するかもしれません。もう一方は、平日型ではあるものの、商業機能や生活機能も含み、休日にも一定の活動が残る可能性があります。

セグメントコード上は近い性格を持つ地点でも、特徴量を見ると、平日性、休日性、夜間性、朝夕への集中度などの違いを確認できます。
言い換えれば、セグメントコードが街の「タイプ」を示すのに対し、特徴量は、そのタイプを構成する「成分」と「強度」を示します。

分類を地図上の色に例えるなら、特徴量は、その色を構成する各成分の濃度に近い情報です。


3.街の時間的な使われ方を表す4つの特徴量

3.街の時間的な使われ方を表す4つの特徴量

c-japan® Dynamicsでは、街の時間的な使われ方を、次の4つの軸で表現します。

3-1.職住軸――就業・就学機能と居住機能の対比

職住軸は、平日日中に人が集まる就業地・就学地としての性格と、夜間や休日に人が滞在する居住地としての性格を表します。

正方向に得点が高い地点は、平日日中にワーカーや学生が集まりやすいオフィス街、学術拠点、事業所集積地などの特徴を持ちます。

負方向に得点が振れている地点は、夜間や休日の滞在比率が高く、平日日中には人が外部へ流出しやすい住宅地やベッドタウンの特徴を持ちます。

この軸により、単に昼間人口と夜間人口を個別に見るだけでなく、時間帯構成全体から、地点の職住バランスを評価できます。


3-2.平休軸――平日活動と休日活動の対比

平休軸は、平日の通勤・通学・業務活動と、休日の買い物・観光・レジャー活動のどちらが優位かを表します。

正方向に得点が高い地点は、休日に広域から人が集まる大型商業施設、観光地、レジャー施設などの特徴を持ちます。

負方向に得点が振れている地点は、平日の業務や通勤・通学需要が中心で、休日になると活動量が低下しやすい地点です。

従来の平日・休日の人口量比較だけでなく、24時間の変動パターンを含めて平日性・休日性を表現できる点に意味があります。


3-3.繁華街軸――日中活動と夜間活動の対比

繁華街軸は、日中を中心とした活動と、夕方から深夜にかけての飲食・娯楽・歓楽活動の対比を表します。

正方向は、朝から夕方にかけた買い物、業務、手続き、移動など、日中活動が主体となる地点を示します。

負方向は、夕方から深夜、場合によっては翌朝にかけて滞在人口が維持される飲食街、繁華街、ナイトライフエリアなどの特徴を示します。

単に夜間人口が多いかどうかではなく、日中から夜間にかけて人流の構成がどのように変化するかを、連続的な値として把握できます。


3-4.特定時間軸――朝夕への集中と平坦な滞在の対比

特定時間軸は、一日のうち特定の時間に活動が集中する地点と、時間帯による変動が比較的小さい地点を区別します。

正方向に得点が高い地点では、朝の通勤・通学時間帯や夕方の帰宅時間帯など、特定の時間に鋭い人流の集中が発生します。鉄道沿線、主要交通導線、早朝稼働型の事業所周辺などが該当します。

負方向では、朝夕のピークよりも、一日を通した継続的な滞在や、特定時間に偏らない活動が表れます。

この軸を使うことで、総滞在人口が同程度の地点であっても、「継続的に人がいる場所」と「短い時間に人が集中する場所」を区別できます。


4.各地点は、4つの得点を同時に持つ

4.各地点は、4つの得点を同時に持つ

4つの特徴量は、いずれか一つだけが地点に付与されるものではありません。
各地点は、職住軸、平休軸、繁華街軸、特定時間軸の4つすべてについて得点を持ちます。

したがって、ある地点を、

  • 職住軸は強い就業地方向
  • 平休軸はやや平日方向
  • 繁華街軸は中立に近い
  • 特定時間軸は朝夕集中方向

といった多次元のプロファイルとして表現できます。

この構造により、単一のラベルでは表現しにくい複合的な街の性格を保持できます。

たとえば、大規模なオフィス街と大学周辺は、どちらも平日日中の滞在が強く、職住軸では同じ方向に位置する可能性があります。
しかし、休日の活動、夜間の残留、朝夕ピークの強さなど、ほかの軸まで含めると異なるプロファイルになります。

また、大型商業施設と観光地は、いずれも休日性が強い一方で、活動する時間帯や夜間滞在の傾向が異なる可能性があります。
4軸を同時に参照することで、単純な一対一の分類ではなく、地点ごとの時間特性を多面的に比較できます。


5.同じセグメント内に残る、地点ごとの強弱

5.同じセグメント内に残る、地点ごとの強弱

セグメントコードは、この4つの特徴量をもとに、クラスタリング(特徴が近い地点同士を機械的にグループ化する統計手法)によって作成されています。クラスタリングによるセグメント化では、特徴が相対的に近い地点を同じグループへまとめます。

しかし、同じグループに属する地点が、まったく同じ位置にあるわけではありません。
同一セグメント内でも、クラスタの中心に近い地点もあれば、別のセグメントとの境界に近い地点もあります。代表的な特徴を強く持つ地点もあれば、複数の特徴が混在する地点もあります。

この違いは、セグメントコードだけを見ている場合には表れにくい情報です。
特徴量を併用することで、たとえば次のような問いを設定できます。

  • 同じビジネス系セグメントの中で、最も平日日中性が強い地点はどこか
  • 同じ商業系セグメントの中で、休日性が特に強い地点はどこか
  • 同じ住宅系セグメントの中で、夜間滞在性の強さはどのように異なるか
  • ある地点は、そのセグメントの典型に近いのか、それとも境界的な性格を持つのか

セグメント内の均質性を前提とせず、地点ごとの違いを保持したまま分析できることが、連続値である特徴量の重要な価値です。


6.3種類のエリアデータが答える問い

6.3種類のエリアデータが答える問い

c-japan® Dynamicsでは、セグメントコードと特徴量に加え、人流ボリュームも収録しています。これらはいずれも、エリアごとのパラメーターとして地図上に表示できます。
ただし、3種類のデータは、同じ情報を異なる形式で表したものではありません。同じエリアを対象にしていても、それぞれが異なる問いに答え、地図から読み取る内容も異なります。

セグメントコード
「この地点は、どのようなタイプの場所か」
街のタイプを分類として捉え、その分布を地図上で把握します。セグメント別の構成比集計、対象エリアの抽出、分析結果の説明などにも利用できます。

特徴量
「この地点は、どの特性を、どの方向に、どの程度持っているか」
街の時間的な使われ方を連続値として地図上に表し、地点間の比較や、時間特性の方向と強弱の把握に利用します。統計解析や機械学習の分析変数として活用することもできます。

人流ボリューム
「この地点には、どの程度の人流規模があるか」
平日・休日の滞在人口密度などを地図上に表し、エリアごとの人流規模、集積度、需要規模を定量的に評価します。

整理すると、
セグメントコードでタイプを捉え、特徴量で時間特性の方向と強弱を読み、人流ボリュームで規模を測る
という関係になります。

たとえば、二つの地点が同じ休日型商業セグメントに属していても、特徴量の地図から休日性の方向や強さの違いを確認でき、人流ボリュームの地図から実際の人流規模の差を確認できます。

3つはいずれも地図上に表示できますが、役割は異なります。セグメントコードだけ、特徴量だけ、人流ボリュームだけを見るのではなく、三つを組み合わせることで、エリアの質と量を分けて評価できます。


7.エリアを「地図上の分類」から「分析可能な変数」へ

7.エリアを「地図上の分類」から「分析可能な変数」へ

c-japan® Dynamicsは、地図を色分けするためだけのデータではありません。

セグメントコードは、複雑な地域特性をわかりやすく要約し、街のタイプを理解するための入口を提供します。
特徴量は、その分類の背後にある時間的な特性を連続値として保持し、地点間の違いを定量的に表します。

これにより、エリアを単に「AかBか」というカテゴリとして扱うだけでなく、各地点が持つ就業地性、休日性、夜間活動性、特定時間集中性を、分析変数として扱うことができます。

セグメントコードが「街のタイプを人が理解するためのデータ」であるとすれば、特徴量は「地点間の違いを分析モデルで扱うためのデータ」、人流ボリュームは「その場所の人流規模を測るためのデータ」と位置づけられます。

三者は対立するものではなく、それぞれ異なる役割を持つ補完的なデータです。

セグメントコードによって分析結果を理解しやすくし、特徴量によって時間特性の方向と強弱を定量化する。さらに、人流ボリュームを組み合わせて、その特性がどの程度の市場規模を伴っているかを評価します。

この3種類のデータを組み合わせることで、c-japan® Dynamicsは、エリアを直感的に理解するための分類データであると同時に、地点ごとの時間特性と人流規模を統計解析やAIに活用できるエリアデータとして利用できます。

次回は、この4つの特徴量を、売上分析、出店候補地評価、類似地点探索、業態別の立地適性分析などへ、どのように活用できるのかを具体的に考えます。



監修者プロフィール

市川 史祥

技研商事インターナショナル株式会社
取締役 CMO シニアコンサルタント

一般社団法人LBMA Japan 理事
ロケーションプライバシーコンサルタント
流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師
統計士/医療経営士/介護福祉経営士
Google AI Essentials/Google Prompt Essentials

市川 史祥

1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。

電話によるお問い合わせ先:03-5362-3955(受付時間/9:30~18:00 ※土日祝祭日を除く)
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