導入企業インタビュー

大和証券株式会社

大和証券株式会社

本社所在地
東京都千代田区丸の内一丁目9番1号 グラントウキョウ ノースタワー
事業概要
有価証券等の売買、有価証券等の売買の媒介、取次又は代理、有価証券の引受等の金融商品取引業及びそれに付帯する事業
公式サイト
https://www.daiwa.jp/

投資判断に役立つ経済や景気の動向や予測を いち早く顧客へ届けるために 人流データを活用し、新たな分析の知見を得る。

1902年創業という長い歴史を誇り、日本の大手証券会社5社の一つでもある大和証券株式会社様。大和アセットマネジメントや大和総研、大和企業投資等を傘下に擁する大和証券グループの基幹企業でもあります。今回は、企業の財務情報や業界動向、社会情勢を分析・評価し、主に機関投資家向けに株式情報や投資戦略を提供しているエクイティ調査部エコノミストの川島様に、金融業界における人流データ活用についてお話を伺いました。



【課題】
・マクロ経済分析の際、公的機関からの経済指数や企業からの情報公開を待つ必要があった。
・無料公開の人流レポートでは分析の詳細が見えず、考察の背景説明が難しかった。

【効果】
・経済指数が公表される前に、予測速報といったナウキャスティングができるようになった。
・人流調査のエリアや時期等を自ら根拠を以て設定でき、レポートの説得力が増した。

川島様のお仕事内容について


エクイティ調査部のエコノミストチームに所属しており、分析する情報はマクロ経済関連が中心となります。主な業務内容は、弊社の顧客である保険会社やヘッジファンド等のプロの機関投資家向けに経済情報を発信することです。投資判断に役立ててもらうためのレポートや雑誌への寄稿等の形で情報提供をしています。

経済分析をする上で、重要なのは過去のデータ。
コロナ禍のバイアスがかかっていない
2018年の人流データが取れるメリットは大きい。


人流データに注目したきっかけは?

金融業界でもオルタナティブデータ(※)が景況分析や経済動向の予測に活用され始めるようになり、私の所属するチームでも、財務データ等のトラディショナルデータ活用が中心とはなるものの、人流データ等のオルタナティブデータやAI等の新しい領域のツールを活用にも着手したいと思っておりました。

KDDI Location Analyzer(以下、KLA)を導入する前は、コロナ禍に無料で公開されていたモビリティレポートを活用し、店舗や公園、オフィス等、主要なカテゴリーごとの人の訪問の変化を見ていましたが、コロナ禍の落ち着きと共に2022年半ばでレポートの更新が終了したため、代わりとなる人流の分析ツールやレポートを探していました。

KLAを採用した決め手は?

様々な人流データのサービスを検討したなかでKLAを採用した理由の一つが、使いやすいUIです。
KLAは、分析地を地図上で直感的に選べたり、分析条件の設定も画面上で分かりやすく設定できたりと、マニュアルを見ずとも操作できます。API連携等の工程も必要なく、導入後すぐに活用できる点もよいと思いました。

もう一つの理由は、2018年まで遡って人流を調査できる点です。
経済分析を組み立てるうえでアナリストが重要視する情報は、過去のデータです。過去=実績を見ないと将来を予測することができないので、“過去データ”という視点で各社サービスを見ていくと、2018年のデータも取れるKLAが有利でした。コロナ禍のバイアスがかかっていない2018年のデータを見られるのは、大きなメリットですね。経年比較ができるため、将来の予測に役に立ちます。


2018年1月から2022年9月までにおける東京主要駅の人流変化のグラフサンプル
2018年1月から2022年9月までにおける東京主要駅の人流変化のグラフサンプル
※大和証券様の分析レポートではありません。

人流データを活用し、景気や消費動向を予想、
経済的にインパクトのある事象の背景を読み解く。


KLAはどのような業務でご活用ですか?

“予想への活用”がメインです。景気の予想や消費動向の確認、経済指標の予想等に使っています。
また、鉱工業生産指数の予測というテーマで、製造業の工場の人流から経済指標を予測するといったような活用もしています。
顧客によりよい投資活動へ役立てていただけるよう、経済産業省の発表より前に指数を予測し投資家へレポートしています。

景気動向や消費動向を予測するときは、鉱工業生産指数のように“指数を当てにいく”というよりは、“確認”に近い作業となります。たとえば、『今年のゴールデンウィークは、久しぶりに行動制限のない大型連休となり個人消費の増加が期待されていたが、テーマパーク等の人流は過去のゴールデンウィークの人流と比較すると意外にも伸び悩んだ』となると、今年は消費マインドがあまり強くないのでは、といった予測を立てるといった使い方です。

実際にエコノミストチームでは、ゴールデンウィーク等の大型連休の後に、機関投資家向けに人流速報という形でレポートを出しています。
テーマパークや小売店、商業施設等、人出の集まりやすいスポットでの人流を経年比較したレポートを出し、どのエリアは下がっていてどのエリアは上がっているため、このような消費マインドは下がっていて、このジャンルだと上がっているのでは?といった背景を読み解くことで、景気や消費動向の予測の判断のひとつの材料にしています。

同時に最大6地点まで様々な施設の来訪者分析が可能なKDDI Location Analyzer
同時に最大6地点まで様々な施設の来訪者分析が可能
※大和証券様の分析画面ではありません。

経済や景気に対する何かしらの予測や考察を、
公的機関の発表よりも早く
根拠を以てレポートできることは、大きな成果。


導入前後の課題感と成果は?

人流データを活用する前と比較すると、新しい知見からマクロの分析、つまり新たなアプローチができるようになったことは、ひとつ大きな成果です。ある経済事象があった時に、具体的に背景を説明できるツールを得られたというのは、良いですね。

指数予測の速報といったナウキャスティングができるようになったことも利点です。マクロ指標は月に1回のペースで発表されることが多く、逆にいうと月に1回程度しか出ないということ。それまでは指標待ちになります。人流があれば、指数が発表されるよりも先に、何かしらの考察を得られるのはメリットだと感じます。こういった考察やレポートがタイムリーに出せるか否かで、顧客の反応も変わってくるため、分析をする頻度やスピードは大事です。長期休暇後の速報レポートも顧客の皆様に注目いただいていると思います。

無料公開のモビリティレポートと比較しても、成果がありました。
以前使っていた無料公開レポートは調査手法や調査対象エリアの詳細は明記されていないため、どうやってその結果が得られたのか、どのようにして人流データを調査したのか等の説明まではできませんでした。

KLAは自分自身で人流分析ができるツールなので、自分で根拠を以てエリアを選択して、仮説の上で人流を調査しその仮説の検証をしていけるので、より当部署の活用に合っていると思います。私たちが作るのは対外的に提出するレポートなので、どういう理由で、どのようなエリアの人流を、どのように見ているのか、といった背景説明を明確にできるか否かの差は大きいです。

今後の展望について

まずは、鉱工業生産指数を含めた様々なマクロ指標をもっと予想できるようにしていきたいですね。
うまく人流データがはまる指数を見つけて、活用の幅を広げていきたいです。

また、独自の指標を作れたらとも思います。
技研商事インターナショナルのコラムにもありましたが、『主要駅の人流(新宿等)が景気の指標と連動している』といった、人流とその他の事象の相関を見い出すことができれば、独自指標は作れると思っています。

あとは、個別企業、個別銘柄の分析への活用でしょうか。
今のところ人流活用はマクロ経済指標が中心ですが、ミクロ面での分析に役立つデータがとれたらなとも思います。
人流を使って個別企業の分析をする場合は、かなりの粒度の高さが必要になるためハードルは高いですが、企業を見ているセクターアナリストからは、個別企業分析での活用ができればいいといいう声は多くいただくので、今後何かやり方を考えていければと思います。

(取材月:2023年11月)




※オルタナティブデータ
政府や企業が公式に発表する統計データや決算データ(トラディショナルデータ)以外の外部情報でIoT機器やSNS、衛星画像等から得られる非伝統的なデータ。もともと、金融業界で使用されていた用語で、主に投資家がインサイトの発見や投資判断のために活用されるデータを指します。

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導入頂いたシステム

GIS(地図情報システム)「KDDI Location Analyzer」

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