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デモグラフィックとサイコグラフィックの違いとは?|各データの具体的な分析事例もご紹介
2025/03/24
2025年3月24日号(Vol.136)
はじめに
マーケティングでは、顧客を理解するために様々な属性分析が行われます。中でも、デモグラフィックとサイコグラフィックという観点は、顧客像を捉える重要な要素です。
• デモグラフィック
年齢、性別、職業、収入などの客観的な属性を指します。これらの情報は、統計データやアンケート調査などから取得できます。
※デモグラフィックの中で、職業や収入などの属性を別にソシオグラフィックと呼んだりもします。
• サイコグラフィック
価値観、ライフスタイル、趣味、嗜好など、主観的な属性を指します。サイコグラフィックは、アンケート調査やインタビューなどを通じて把握できます。
近年、消費者の価値観が多様化し、従来のデモグラフィック属性だけでは顧客を十分に理解できなくなっています。そこで、サイコグラフィック分析が注目されています。
このコラムでは、デモグラフィックとサイコグラフィックの違い、活用方法、データ収集方法などを解説します。マーケティング活動に役立つ知識をぜひ身につけてください。

デモグラフィックとサイコグラフィック観点が必要な理由
デモグラフィックとサイコグラフィックは、顧客マーケティングや広告業界、商圏分析でよく登場する概念です。
リアル店舗、テイクアウト・デリバリー、Eコマース・ネットショッピングといった購買チャネルの選択肢が増大し、人々の生活スタイル、価値観、行動様式も大きく変化・多様化した現在、いわゆる「消齢化」が進んでいます。もはや年齢や性別などの基本的な観点(デモグラフィック属性)だけでは消費者を理解できない時代になりつつあります。そのため、サイコグラフィックを考慮したマーケティング戦略が重要になっています。
【Topics】消齢化とは?
性別・年代に紐づいた生活者の特徴や行動様式、消費傾向が徐々に薄らいでいき、消えていくことを意味します。TVゲームは子どものおもちゃとは限らず、男性も化粧をし、高齢者もSNSを楽しむ時代背景から、以前は大きかった年齢や性別による価値観や嗜好の違いが年々小さくなってきています。
デモグラフィックとサイコグラフィック観点はどんな分野で活用されているか?
デモグラフィックとサイコグラフィックは、マーケティングや広告において、ターゲット層をより的確に把握するための重要なツールとして活用されています。これらの情報を組み合わせることで、より細やかな消費者像を描き(ペルソナ分析)、効果的なマーケティング戦略を立てることができます。
また、社会学においては、デモグラフィックとサイコグラフィックは、社会的変化や集団行動を分析するために用いられます。世代間格差やライフスタイルの変化を理解することで、社会問題の解決や政策立案に貢献することができます。
さらに、商圏分析・エリアマーケティング分析では、新規出店時の商圏調査や来店誘導のエリア販促分野においても活用されています。
デモグラフィックデータとサイコグラフィックデータの違いと特性
デモグラフィックデータは、年齢、性別、収入、学歴、職業など、個人の属性に関する客観的で具体的な情報です。一方、サイコグラフィックデータは、個人の価値観、興味、ライフスタイル、態度、性格など、より主観的で心理的な属性に関する情報です。
これらの2つのデータセットは、異なる目的で使用されます。デモグラフィックデータは、市場調査や特定のグループをターゲットにした広告キャンペーンなど、大規模な人口統計を理解するために使用されます。サイコグラフィックデータは、個人の行動を予測し、消費者のニーズや嗜好をより深く理解するために使用されます。
次は、各データセットの特性をより詳細に見ていきます。
デモグラフィックデータの特性:
• 数量化可能: 数値で表すことができ、統計分析に適しています。
• 客観的: 個人の主観的な意見ではなく、客観的な事実として収集されます。
• 容易に収集可能: 国勢調査や市場調査など、様々な方法で収集することができます。
• 時系列で変化する: 人口動態や社会経済の変化に応じて時間とともに変化します。
サイコグラフィックデータの特性:
• 主観的:主観的で心理的な情報。直接測定することが難しい。
• 多様性:個人や世帯によって大きく異なるもの。
• 変動性:時間とともに変化する
【Topics】デモグラフィックとサイコグラフィックと併用される分析軸
デモグラフィックとサイコグラフィックを用いて行われるマーケティング分析において、「ジオグラフィック(地理的属性)」も合わせて利用されることが多いです。ジオグラフィック属性は、店舗と顧客住所の距離、競合店舗の配置など、地理的要因や空間的要素のことで、商圏分析・エリアマーケティングでは過去から取り入れられている分析軸です。
デモグラフィックデータの具体的な変数
デモグラフィックデータは、国勢調査、人口動態統計、市販のデータベースなど、さまざまなソースから収集できます。これらのデータは、分析および予測を行うために使用できます。デモグラフィックデータの例は以下です。
• 年齢
• 性別
• 収入
• 教育レベル
• 職業
• 家族構成
• 民族
• 宗教
(参考)
デモグラフィック属性のデータベース
国勢調査:国内最大級の統計データ。年齢・性別・住宅関連など900項目以上を収録
https://www.giken.co.jp/datalineup/censusdata/censusdata/
住民基本台帳:毎年更新可能な人口統計。性別・年代・世帯数を収録
https://www.giken.co.jp/datalineup/censusdata/pop_resident_register/
ライフステージマトリクス:国勢調査で公表されていない細かなデモグラフィック属性を推計したデータ
https://www.giken.co.jp/datalineup/censusdata/smartcensus_lifestage/
サイコグラフィックデータの具体的な変数
サイコグラフィックデータの具体的な変数は特に決まりはありません。その理由としては定量的なデータが少なく、消費者の心理は複雑なので単純な数値化が困難で、個人差が大きいためです。
サイコグラフィックデータは次のような方法で収集することができます。
• アンケート調査:消費者の心理や価値観に関する質問を直接尋ねる
• ソーシャルメディア分析:消費者のオンライン上の言動や嗜好を分析する
• 購入履歴分析:消費者の購買パターンから心理や価値観を推測する
(参考)
サイコグラフィック属性のデータベース
消費者ライフスタイルデータ:大規模ネットリサーチデータを活用。生活意識や購買傾向など約1,000項目を収録
https://www.giken.co.jp/products/psycho-demo-geo/
エリアマーケティング観点でのデモグラフィックとサイコグラフィックの活用
エリアマーケティングにおいては、顧客を理解し、効果的にアプローチするために、デモグラフィックとサイコグラフィックの両方の情報を活用することが重要です。
実際の分析ではGIS(地理情報システム)を活用することが多いですが、GISには日本全国のデモグラフィックデータやサイコグラフィックデータがあらかじめ搭載されているものもあります。
エリアや商圏をデータで読み解く
この章では、具体的な分析事例として「秋葉原」と「北千住」に住む層の特徴を、統計データ、デモグラフィックデータ、サイコグラフィックデータを活用し読み解いていきます。それぞれのデータにより、読み解ける内容が異なるため、複数のデータから複合的に分析することで、よりエリアや顧客の解像度を高めることができます。
顧客のリアルなペルソナを理解する意味で、幅広い業種のマーケティングに転用できる分析事例となります。
ぜひご覧ください。
当社GIS「MarketAnalyzer® 5」と各種統計データ、デモグラフィックデータ「SMART Census」、エリアセグメンテーションデータ「c-japan®」、サイコグラフィックデータ「消費者ライフスタイルデータ」を使って、それぞれの駅から徒歩10分圏で分析をしてみました。

デモグラフィック(年齢や家族構成等)属性の分析事例
まずは、両エリアの居住者のデモグラフィック属性を見ていきましょう。

秋葉原:小さい子どもと30代・40代のニューファミリー構造。単身層は30代中心。
北千住:高齢単身・夫婦世帯。若者単身層は20代。
ということが見て取れます。
2軸で見ることで、家族類型や世代、どちらか1軸だけだと見えてこなかった「ライフステージ」が分かるようになりました。
(参考)
使ったデータ:SMART Census「ライフステージマトリクス」 https://www.giken.co.jp/datalineup/censusdata/smartcensus_lifestage/
ソシオグラフィック属性(年収や職業等)の分析事例
次はソシオグラフィック属性を見ていきます。

平均世帯年収を見ると、東京全体の549万円と比べて、秋葉原は774万円と富裕度の高さが目立ちます。
(参考)
使ったデータ:年収階級別世帯数データ
https://www.giken.co.jp/datalineup/censusdata/estimated_income/
ジオデモグラフィクス手法による分析事例
デモグラフィック属性66項目を因子分析やクラスター分析によって日本全国の町丁目を類型化したエリアセグメンテーションデータ(ジオデモグラフィックデータ)「c-japan®」を使うと、居住エリアの特色をさらにリアルに可視化することがでます。
様々なデータを元に、地域や居住者を複眼的に把握する難解な顧客分析が、このデータがあれば容易にできるようになります。
「c-japan®」で、それぞれのエリアにどういうセグメントの層が多いかをレポートしました。

秋葉原と北千住の違いは富裕度で、共通項は単身働き盛り層が多く居住していることが分かります。
(参考)
→使ったデータ:エリアセグメンテーションデータ「c-japan®」
https://www.giken.co.jp/products/c-japan/
サイコグラフィックデータによる分析事例
最後にサイコグラフィックデータによる分析です。
楽天インサイト社の大規模アンケートデータをエリア単位で分析できるようにした「消費者ライフスタイルデータ」を使って、先ほどc-japan®で導きだした「このエリアに最も多いセグメント」における生活意識や購買傾向等を見ていきます。
【秋葉原:「都心のセレブ」の傾向】

【北千住:「利便性の良い都心の住宅地」の傾向]
(参考)
使ったデータ:「消費者ライフスタイルデータ」
https://www.giken.co.jp/products/psycho-demo-geo/
サイコグラフィックデータを活用することで、生活や住まい、買い物意識や美意識、健康意識、購買意向が具体的に分かり、どこに、どんな人が、どんな価値観で生活しているか、どんな物・事に興味を持つか等まで深く掘り下げて把握することができます。
秋葉原と北千住、世帯人数だけ見るとどちらも「単身層の居住が多い」エリアですが、富裕度も違えば、居住者のライフステージ、価値感も大きく異なることが分かります。
このように、様々なデータを複合的に見ていくことは、エリアや顧客のより深い理解につながると言えます。
まとめ
デモグラフィックとサイコグラフィックは、どちらもマーケティングで重要な役割を果たすデータを指します。しかし、それぞれ異なる性質を持っているため、目的や状況に応じて適切なデータを選択する必要があります。
デモグラフィックは、性別、年齢、職業、収入など、個人の属性に関する客観的なデータを指します。年齢や性別といった数値で表されることが多く、統計データなどから容易に収集することができます。
一方、サイコグラフィックは、価値観、ライフスタイル、興味関心など、個人の心理的な特徴に関する主観的なデータを指します。このデータはアンケート調査やインタビューなどによって収集されます。
この2つのデータを組み合わせることで、より詳細なターゲット像を描き、効果的なマーケティング戦略を立案することができます。その際にはGIS(地理情報システム)を活用することができます。

監修者プロフィール市川 史祥技研商事インターナショナル株式会社 執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント |
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| 医療経営士/介護福祉経営士 流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師 一般社団法人LBMA Japan 理事 1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。 |
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