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エリアマーケティングラボ
2024年3月4日号(Vol.116)
上記のようなお悩みをお持ちの方向けに、この記事では、顧客インサイトやそれに関連した普段の業務の解像度が上がるような解説をしていきます。
顧客インサイトとは、顧客自身も自覚していないような直感や本音のことを指します。
地顧客を洞察して顧客が求めていることについて本質的に見抜くことは、マーケティングにおいて重要なポイントの一つです。
顧客インサイトは本質的な欲求でありながら、本人も自覚できていない場合が多いものです。そのため、いかにして顧客インサイトを導き出すかという「手法」や「分析の仕方」を知っておくと、より効率的に顧客インサイトを分析でき、マーケティング活動に活かすことができます。
例えばこのようなシーンを例に挙げます。以下のように、質問に対して曖昧な理由が返ってきた場合、その人の無意識下に商品を購入した真の動機が隠れている可能性があります。
▼裏側に隠された顧客インサイトの例
顧客インサイトと似たような意味で捉えられがちなのが、「ニーズ」です。
両者を簡単にわけると、顧客インサイトは「顧客自身が無意識のうちに持っている本音や感情」のことで、ニーズは「顧客が必要としているもの・こと」を意味します。
階層で表すと以下のようになります。特に顧客との接点となるプラットフォームや情報収集手段、サービスが飽和している昨今では、潜在ニーズのさらに深いところにある顧客インサイトを理解することで、他社との差別化ができる可能性が高まるでしょう。
では、これほど深いところにある顧客インサイトを分析する際、具体的にどのような方法があるのでしょうか。
一般的には4つの方法があります。この項目ではそれぞれ詳しく解説していきます。
書面や対面で顧客の声や本音をを集める方法です。
アンケートは顧客がこちらからの質問に対しての回答を用意するので、顕在〜潜在ニーズの把握に役立ちます。
一方で、質問してもなかなか回答が得られないような顧客インサイトは把握しにくくなっています。
SNSやWEBサイトなど、オンラインで完結するような方法です。
例えばX(Twitter)の機能でできるアンケートや、SNS上で商品やサービスについての口コミを調べる方法等があります。
特にSNSに流れる意見は、ユーザーから自発的に出たマイナスなものもリアルタイムに収集できるため、アンケートやインタビューなどでは見つけにくい幅広い意見を集められます。
行動観察調査は、以下のようにターゲットの行動を実際に観察する手法です。
※例:
・居酒屋の新メニュー開発のため、顧客の注文するメニューや時間帯、客層等を観察する
・売上が悪い店舗に行き、店で実際に買い物をしている顧客の行動や購買品を観察する
こういった調査は、オンライン上の情報だけでは分からない、実際にその場に行くことでしか見えてこない情報も手に入ります。ただ調査の対象が多かったり、店舗数が多かったりする業態では工数と時間がかかりすぎるので、不向きな場合が多いでしょう。
また、「若いお客さんはこうするはず」や「このエリアはこういう人が多い」等の主観や固定概念が入る場合もあります。
公的統計データとして代表的なのが、国勢調査です。
国勢調査とは、日本に居住するすべての人や世帯を対象とする統計調査で、5年に1度のペースで実施されています。
国勢調査から得られる様々な統計は、国や地方公共団体の政治・行政で広く利用されるほか、民間企業や研究機関等でも経営や研究などの基本的なデータとして幅広く利用されています。
国勢調査のデータは、総務省統計局の公式HPからダウンロードができます。
ただ、不慣れな方にとっては何をどのように分析したらよいかが難しいといえます。
工数がほぼかからずできるだけ事実や数字の根拠をもとに分析をするには、顧客分析ができるツールやシステムを導入する方法が最もおすすめです。
※例:
・CRMツールを導入し、ECサイトで過去に購入した人のメールアドレスと顧客情報を紐づけ、商品ごとに購入する人の傾向や動向を数値化する。
・GISツールを導入し、顧客と似た特性の人々はどのエリアに居住するのか、自社店舗周辺の年収や年齢性別、人が多く訪れる時間帯はいつか、等をレポート化する。
※CRMツール:「顧客関係管理」を支援するツール。過去の接触履歴やユーザー情報を管理し、マーケティングに活用される。
※GISツール:GISは地理情報システム(Geographic Information System)の略で、地図情システムのこと。GISによって得られたデータや統計情報を地図上にマッピングし、出店や販促の戦略をサポートするための分析用ソフトウェアがGISツール。
何よりもまずは「なぜ顧客インサイトを分析する必要があるのか」ということを、部署のメンバー共通の目的として明確にすることが重要です。ここがぶれてしまうと、分析の手段やどこまで分析するかなどが曖昧になってしまいます。
SNSや現地調査など色々な手段がありますが、それぞれに得意不得意があるので、最初に決めた目的に応じて使い分けることも重要になってきます。
一方で、メインの分析手段に何を使うかは、一環して持っておくことをおすすめします。
メインの分析手段としておすすめなのは、顧客分析に特化した企業が提供しているツールやデータを使用することです。
そもそも顧客インサイトの分析は、多くの場合自社製品やサービスの売上を伸ばしたいという目的のもとで行われるはずです。それを踏まえると、専門知識の豊富な企業が提供しているツールやデータを使い、よりリアルな数字を得ることが、売上につながる最短工数の施策を生み出すことにつながります。
技研商事インターナショナルでは、エリアマーケティングに最適なツールやデータを開発しています。
そのなかでも「c-japan®」というデータは、今回ご説明したような顧客分析、マーケティング戦略の策定に最適なデータです。
技研商事インターナショナルが提供している、顧客インサイトをクリアにする最新データとして「c-japan®」をご紹介します。
c-japan®とは、顧客インサイトや消費者の購買行動を地図上に可視化するためのジオデモグラフィックデータで、GIS(地図情報システム)やBIツール等にインストールしご活用いただけます。このcjapanは、2023年11月から最新版を提供開始しました。
※ジオデモグラフィックデータとは:国勢調査(年齢別人口、世帯数など)や推計年収データを元に、統計的な手法で日本全国の町丁目などをそこに住む人のライフスタイルごとに分類したデータ。
〇 ジオデモグラフィックデータ「c-japan®」(詳細はこちら)
〇 販促エリア最適化や顧客ペルソナ分析に「MarketAnalyzer® 5」(詳細はこちら)
監修者プロフィール市川 史祥技研商事インターナショナル株式会社 執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント |
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医療経営士/介護福祉経営士 流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師 一般社団法人LBMA Japan 理事 1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。 |