AREA MARKETING LAB

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築年数データを用いた路線・駅を軸とした商圏分析

 駅は通勤・通学の主要な手段となっており、駅を中心に商業施設や住宅が形成されています。駅商圏は時代とともに駅商圏も変化しています。今回のマンスリーレポートでは最新の築年数データを用いて首都圏の駅商圏の変遷を分析しました。
 商圏分析・エリアマーケティングにおいて、駅を分析対象にすることが多いです。特に都市部においては通勤・通学の主要な手段となっており、駅を中心に商業施設や住宅が形成されています。駅商圏という言葉もありますが、時代とともに駅商圏も変化しています。
 今回のマンスリーレポートでは最新の築年数データを用いて首都圏の駅商圏の変遷を分析しました。

月刊GSI 2019年4月号(Vol.92)

築年数データとは

 「築年数データ」は、総務省統計局の住宅・土地統計調査と国勢調査を当社独自のロジックで掛け合わせて開発したデータベースです。

 データ項目は、1970年以前とそれ以降10年刻みで2013年9月までの築年別の住宅数、更にそれを持家や借家などの居住形態別に集計したデータが収録されています。データの集計単位は3次メッシュ(1km四方)、4次メッシュ(500m四方)と町丁・字等別があります。

駅商圏の設定と築年数データの集計

【図1:首都圏1都3県の駅分布】

首都圏1都3県の駅(上の図1)それぞれを中心として半径500m圏を設定し駅商圏と定義しました。図2のように築年数データの4次メッシュ単位の分布と駅商圏を重ねます。面積按分によって各駅商圏の築年代ごとの住宅数を集計しました。

【図2:駅500m商圏と築年数データ】

 実際の集計値は図3のようになります。ここからさらに築年代ごとの住宅数を構成比化しました。

【図3:駅500m圏内の築年代別住宅数集計】

 ここまでがデータの準備でした。それでは駅路線別の傾向をみていきましょう。
 ※文末に路線別、築年代別の構成比の比

路線別の傾向

都市の再開発

【図4:路線別、築年代別住宅数の構成比上位5路線】

 1970年以前の住宅比率が最も高い路線は都電荒川線で、日暮里・舎人ライナーや東京臨海高速鉄道も上位に入っています。古くから開発が進んでいた駅路線ということでしょう。ただこれらの路線は、直近の2011~2013年でも上位に入っています。古くからの町が近年再開発されていることがわかります。

日暮里・舎人ライナーの舎人公園駅

 さらに日暮里・舎人ライナーの舎人公園駅の500m駅商圏に注目してみます。下の図5は国勢調査2015年版から作成した性・年代別の人口ピラミッドです。左が男性、右が女性、棒グラフは年代別の人口の実数、折れ線グラフは構成比の比較で、緑色が全国、赤色が東京都、青色が舎人公園駅500m圏内を表します。

【図5:舎人公園駅500m圏内の人口ピラミッド(2015年国勢調査より)】

 青色の折れ線と他の折れ線を比較してみると、舎人公園駅周辺では30代後半と40代前半の構成比と、子供世代(0-4歳と10-14歳)の構成比が突出していることがわかります。これは40代前半の親世代と10-14歳の子供世代というファミリー層と、30代後半の親世代と0-4歳の子供世代というニューファミリー層が混在していると解釈できます。一般的に町が開発されるとニューファミリー層の流入が顕著になりますが、この駅は2回、2世代の流入があったと考えられるのではないでしょうか。

都心回帰も落ち着いた傾向

【図6:2006年-2010年の構成比が高い上位5路線】

 2006年~2010年に建築された住宅の構成比が高い上位5路線をみると、東京都内を走る地下鉄路線が上位に現れました(図6)。いわゆる都心回帰といわれた時代に人口が増えたエリアと重なりますが、最近ではわりと落ち着いているというところでしょうか。

90年代に開発された路線

 90年代に開発が盛んだったのは西武線沿線と横浜市営地下鉄でした。

【図7:1991年-2000年の構成比が高い上位5路線】

終わりに

 このように路線ごとにみていくと、駅商圏や町の変遷の傾向が見えてきます。商圏は時代とともに変わっていくものです。最近ではスマートフォンのGPSデータを用いたデータベースを活用して、曜日別・時間帯別の駅周辺の人の滞留を分析することもできるようになっています。今回ご紹介したテーマは、そういったミクロな分析の前に行うべき基本的な観点と言えます。参考になれば幸いです。