商圏分析 用語集

~基礎からトレンドまで~

ジオコーディング

ジオコーディングとは、住所や地名、駅名などの地理的情報を、緯度・経度の地理座標値に変換する技術のことです。変換した地理座標のことをジオコードといい、地図上の場所を指定する場合に用います。

商圏分析では、顧客や店舗の位置情報(住所や郵便番号)から地図上にプロットし分析します。マーケットアナライザー(MarketAnalyzer™)シリーズでは漢字住所から緯度経度を付与するジオコーディング機能が標準搭載されており、その精度はピンポイント(号レベル)となっています。アドレスマッチングと同義。

アドレスマッチング 位置情報 顧客セグメンテーション 顧客属性

 

 

来店顧客の見える化

ID-POSを用いた来店顧客の見える化と、居住者プロファイリングデータを用いた郵便番号単位の地域別顧客獲得動向の把握についてレポートします。

比較的店舗が近接するコープ鎌ヶ谷店、コープ市川店を対象に分析しました。この2店舗の顧客分布や顧客獲得シェアを算出し、両店の商圏のカニバリゼーションを可視化します。
 まずは店舗別のID顧客を店舗から近い順に集計し、それぞれID顧客数の60%、80%を満たす自動車到達圏を算出してそれを商圏と定義しました(図1)。また、郵便番号単位のID顧客分布も作図しました(図2)。この郵便番号別ID顧客を分子、郵便番号別世帯数を分母とし、ID顧客獲得率を算出したのが図3です。

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【図1 商圏の定義】

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【図2 郵便番号別ID顧客数】

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【図3 郵便番号別ID顧客獲得率】

コープ鎌ヶ谷店は鉄道に挟まれているものの、線路を跨いで高いシェアを獲得しており、鉄道の影響が低いですが、コープ市川店は線路を境に顧客獲得率が急減しており、鉄道の分断要因が強い商圏であることがわかります。

居住者プロファイリングデータを用いた分析例

 居住者プロファイリングデータは、日本全国を30に分類し、地域別のライフステージやライフスタイルの特性を定性的に表したデータベースです(図4)。居住者プロファイリングデータの考え方は、同じ地域分類に住む居住者が「類は友を呼ぶ」ように、同じような特徴を持ち、類似した消費生活を営むことを前提としており、地域分類別の消費特性の分析に活用されています。

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【図4 居住者プロファイリングデータ】

 小売業会員であるコープネット事業連合の年間ID客数を用いて分析を行います。まずは、ID顧客の60%を満たす自動車到達圏を作成し、それを商圏に設定しました。店舗ごとに2013年に2回以上来店があったS・A・B(ランク)顧客を分子、世帯数を分母とし、居住者プロファイリングデータの30の地域分類別に、S・A・B顧客出現率を算出しました。中でも特徴的な地域分類を4つピックアップしました(図5)(ブランクの箇所は店舗商圏内に居住分類が出現していないことを表します)。
 「下町富裕層」、「新興富裕層」は23区内や都市部の主要鉄道路線沿いに分布します。年収1,000万円以上の富裕層構成比が高い反面、若年単身層が混在する都会的居住特性エリアです。このエリアは、分析対象店のS・A・B顧客平均値が10%前後で、ID顧客獲得率が伸び悩んでいます。
 一方で「念願のマイホーム」、「近郊ニューファミリー(高所得)」は都市近郊のベッドタウンに分布し、子育て世代のファミリー層が多い居住特性エリアです。このエリアは、S・A・B顧客平均値が20%を超えており、ID顧客獲得率が高くなっています(図6では上記の獲得率の低い居住特性エリアを緑で、高いエリアを赤で表しました)。

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【図5 特徴的な居住分類を抜粋】

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【図6 特徴的な居住分類の分布】

 このように地域別のライフスタイル、ライフステージによって、ID顧客獲得率が大きく異なります。無数にあるターゲット指標としての各種統計データでは地域特性を読み解くのは難しいものの、居住者プロファイリングデータのように予め地域別の居住特性を定義付けたデータを用いることで地域傾向を可視化し、店舗商圏の実態が把握できます。

最後に、今回の分析は、商圏分析用GIS(地図情報システム)「マーケットアナライザー(MarketAnalyzer™)」を用いて行いました。ご興味をお持ちいただきましたらお気軽にお問い合わせください。

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