エリアマーケティングラボ

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~業界の最新動向~

【統計データ活用入門】政府統計の具体的な活用・分析方法をご紹介!

2025年6月23日号(Vol.151)

はじめに

競争が激化する今日の市場において、ビジネスの意思決定を経験や勘だけに頼る時代は終わりを告げました。成功を収める企業とそうでない企業を分けるのは、客観的な数値データ、すなわち「統計データ」をいかに戦略的に活用できるかという能力です。
本コラムでは、「データ活用」、「統計データ」とは何か、なぜそれがビジネスにおいて重要なのか、専門家の視点から徹底的に解説します。あなたのビジネス戦略は、客観的な根拠に基づいていますか?それとも、未だに直感に頼った賭けになっていませんか?本コラムが、その答えとなれば幸いです。


統計データ訴求のSatelliteCTA

統計データの基本
~ビジネスの羅針盤となる「客観的な事実」を理解する~

ビジネス戦略を策定する上で、その基盤となる情報の質が成功を左右します。統計データは、主観を排した客観的な事実を提供し、進むべき方向を示す羅針盤の役割を果たします。しかし、その真価を理解するためには、まず「統計データ」が単なる「データ」とどう違うのか、そしてどのような種類があるのかを正確に把握する必要があります。

単なる「データ」との決定的違い

まず理解すべきは、「データ」と「統計データ」の根本的な違いです。個々の事象を記録したものが「データ」です。例えば、ある顧客一人の年齢や購入履歴は、それ自体では単なる「データ」に過ぎません。
一方で「統計データ」とは、これらの個別のデータを特定の目的のもとに多数集め、集計・加工することで、集団全体の姿や傾向を数量的に明らかにしたものです。
「30代顧客の平均購入単価」や「地域別の顧客年齢構成比」などが統計データにあたります。このプロセスを通じて、生の断片的な情報が、ビジネス上の意思決定に活用できる実用的な知見へと変換されるのです。これこそが、統計データが持つ価値と言えます。

公的統計と民間統計|目的で使い分ける2つの情報源

■ 公的統計
国や地方公共団体などの公的機関が作成・公表する統計です。
最大の特長は、総務省統計局の国勢調査に代表されるような大規模な調査に基づく信頼性の高さと網羅性です。
人口・世帯、経済、労働、住宅など、社会の基盤となる多岐にわたるデータで、これらはマクロな市場環境を把握するための基礎情報として不可欠です。オープンデータとも呼ばれ、各省庁のサイトからデータをダウンロードすることもできます(後述)。
■ 民間統計

民間の調査会社や業界団体、事業会社などが収集・提供する統計です。
公的統計ではカバーしきれない、より専門的でニッチな分野や、速報性が求められるデータに強みがあります。例えば、特定の商品の市場シェア、消費者のライフスタイルや価値観に関する意識調査、スマートフォンの位置情報を活用したリアルタイムの人流データなどがこれに該当します。

公的統計と民間統計の比較表

この表が示すように、公的統計は非常に魅力的ですが、ビジネスで活用するには大きなハードルが存在します。
多くの場合、データは未加工の「生」の状態で提供されるため、それをクレンジングし、自社の課題に合わせて分析できる形に整えるには、専門的な知識と多大な時間・労力が必要となります。この「見えざるコスト」を認識することがポイントです。



なぜ今、統計データの活用がビジネスの勝敗を分けるのか

現代ビジネスは、経験や勘に頼る時代から、データに基づいた意思決定を行う「データドリブン経営」へと進化しています。市場分析や顧客理解といった様々な場面で、統計データは企業の成長を大きく左右する要素となっています。成功事例を通して、データ活用の具体的な力を見ていきましょう。

経験や勘から「データドリブン経営」への進化

かつてのビジネスでは、経営者や熟練した担当者の「経験」や「勘」が意思決定の拠り所でした。
しかし、市場の複雑性が増す中で、こうした主観的な判断はリスクを伴います。
そこで重要になるのが、客観的なデータに基づいて戦略を立案し、実行する「データドリブン経営」への移行です。統計データを活用することで、企業は以下のような本質的なメリットを享受できます。

「経験や勘から「データドリブン経営」への進化」をあらわしたイメージ

■ 意思決定の精度向上
新店舗の出店計画や新商品の開発といった重要な経営判断において、統計データは客観的な根拠を提供します。これにより、主観や思い込みによる失敗のリスクを最小限に抑え、成功の確度を高めることができます。
■ 新たなビジネスチャンスの発見
データを多角的に分析することで、これまで見過ごされてきた市場のトレンドや、顧客自身も気づいていない潜在的なニーズを発見できます。これが、競合他社に先んじた新しいサービスや事業の創出につながります。
■ 業務効率化とコスト削減

マーケティング活動において、統計データを用いてターゲット顧客が集中するエリアを特定すれば、広告費を無駄なく投下できます。同様に、需要予測の精度を高めることで、過剰在庫のリスクを減らし、コストを削減することが可能です。


データドリブン経営とは、単にデータを集めることではありません。データを組織の意思決定プロセスの中心に据え、あらゆる戦略を客観的な事実に基づいて構築する文化そのものを指します。この文化の醸成こそが、持続的な成長のために重要です。



企業の実際の成功事例に学ぶデータの力~市場分析から顧客理解まで~

データ活用の効果は、具体的な成功事例を通じてより明確に理解できます。

【店舗戦略】アクア株式会社
アクア様事例
【顧客分析】株式会社白洋舎
白洋舎様事例
【マーケティング】フレックス株式会社
フレックス様事例


価値ある統計情報の入手先と、活用を見据えた選び方

統計データの重要性を理解した次に浮かぶ疑問は、「では、その価値ある情報はどこで手に入れればよいのか?」という点でしょう。
データの入手先は複数存在しますが、その先の「ビジネスでの活用」までを見据えて選択することが極めて重要です。ここでは、代表的な入手先とその賢い選び方について解説します。

誰でも使える政府統計の総合窓口「e-Stat」

日本国内の公的統計データを手に入れる上で、まず知っておくべきなのが、政府統計の総合窓口「e-Stat(イースタット)」です。これは、日本の各府省が公表する統計データを一元的に集約したポータルサイトで、誰でも無料で利用できます。
「e-Stat(イースタット)」はこちら:https://www.e-stat.go.jp/

e-statイメージ図
▲ e-Stat サイトトップ

e-Statでは、「国勢調査」や「経済センサス」といった基幹統計をはじめ、人口、世帯、経済、労働など、さまざまな分野の統計情報を探すことができます。
キーワードで検索したり、分野別に探したりすることで、目的の調査にたどり着き、統計表をCSVやExcel形式でダウンロードすることが可能です。
公的機関による信頼性の高い、網羅的なデータを無料で入手できるという点で、e-Statは非常に強力な情報源です。

ビジネス利用に最適化された高品質な統計データ

e-Statは優れた情報源ですが、ビジネスの現場で即座に活用するにはいくつかの課題があります。ダウンロードしたデータは多くの場合、そのままでは使いにくく、表記の揺れを修正する「データクレンジング」や、分析に適した形式への「データ加工」といった専門的な作業が必要になります。
さらに、最も重要な課題は、これらの公的統計データを、自社が保有する顧客リストや店舗情報といった内部データと結びつけて分析することが困難である点です。

こうした課題を解決するのが、ビジネス利用に特化して整備された「民間統計データ」です。これらは、専門企業によって収集・加工され、すぐに分析に投入できる形で提供されます。
技研商事インターナショナルでは、基本的な国勢調査データはもちろんのこと、より高度なビジネス分析を可能にする独自の統計データ群を提供しています。例えば、以下のようなデータは、公的統計だけでは得られない深い洞察をもたらします。

■ エリアセグメンテーションデータ
エリアセグメンテーションデータc-japan®は、年齢、家族構成、住宅、就業に加え、年収や地価も考慮した独自の分類技術で、小地域単位の特性を表現します。
このデータは、町丁目、郵便番号界、メッシュ単位で11の居住特性と35の特性に分類されており、地域や居住者、顧客像を鮮明にする分析環境を提供します。
「c-japan®」の詳細はこちら:https://www.giken.co.jp/products/c-japan/

c-japanイメージ図
▲ 「c-japan®」のデータを地図上に可視化した際のイメージ図

【活用例】
• ECデジタルマーケティング:顧客のバックグラウンドを分析し、顧客像や強化エリアを可視化することで、効果的なジオターゲティングに活用できます。
• メーカーの流通対策マーケティング:ID-POSデータとc-japan®データを組み合わせ、商品購買者分布をマッピングすることで、商品が売れる地域とその特性を把握し、販促施策に役立てることが可能です。

■ 年収データ
年収階級別世帯数データは、「住宅・土地統計調査」の都道府県版・全国版から算出された年収階級別世帯比率を国勢調査データに乗じることで、メッシュや町丁目単位で推計したデータです。
「年収階級別世帯数データ」の詳細はこちら:https://www.giken.co.jp/datalineup/statistics/estimated_income/

年収階級別世帯数をExcelレポートで表現したイメージ
▲ ある地点の「年収階級別世帯数データ」をわかりやすくグラフで表した際のイメージ

【活用例】
• 町丁目や500mメッシュなどの小地域における年収階級別の世帯分布を検索・表示できます。
• 自店舗の商圏を設定し、高所得者層が多いエリアや低所得者層が多いエリアなどを集計・比較することで、出店戦略やマーケティング施策に役立てることが可能です。

■ 人流データ
スマートフォンの位置情報などから得られる人流データは、店舗周辺の人の流れや滞在時間、来訪者の属性を時間帯別に把握することを可能にし、看板の効果測定や営業時間の見直しなど、具体的な施策の根拠となります。
人流データコラムへの遷移CTA
人流データを地図上に可視化するツール「
KDDI Location Analyzer」のイメージ図
▲ 人流データを地図上に可視化するツール「KDDI Location Analyzer」のイメージ図

【活用例】
• 新規出店戦略:人通りの多いエリアを逆引き検索し、最適な出店場所の選定やターゲットを絞ったプロモーション展開に活用できます。
• 都市計画:都市部における人流パターンを把握し、都市計画の策定に役立てます。
• 観光・混雑対策:混雑スポットを特定し、オーバーツーリズム対策に貢献します。
• 売上予測:人流データを売上予測モデルに組み込むことで、より精度の高い売上予測が可能になります。

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ビジネスのスピードが求められる現代において、データを探し、加工する時間に多大なコストをかけることは得策ではありません。 企業の貴重なリソースである「時間」を、データの前処理ではなく、分析と戦略立案という本来の目的に集中させること。それこそが、高品質な民間統計データを活用する最大の価値です。

▶︎ すぐに使える高品質な統計データ一覧はこちら:https://www.giken.co.jp/datalineup/

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統計データを使いこなすための最強ツール
GIS(地理情報システム)

統計データは分析されなければ、眠ったままの宝です。GIS(地理情報システム)は、そのデータを地図上で可視化し、エリアマーケティングなどで絶大な効果を発揮する最強のツールです。

地図上でデータを可視化・分析する

GIS(Geographic Information System)とは、一言で言えば、地図とデータを統合し、コンピューター上で空間的な分析を可能にするシステムです。GISの最大の特徴は、あらゆるデータを「場所」という共通のキーで結びつけ地図上に可視化できる点にあります。

例えば、顧客リストの住所録をExcelで眺めていても、そこから得られる知見は限られます。
しかし、GISを使ってその住所を地図上にプロットすると、「売上の高い顧客が特定のエリアに集中している」「競合店の近くでは顧客が少ない」といった、表計算ソフトでは決して見えてこない空間的なパターンや関係性が一目で直感的に理解できるようになります。
GISは、単なる地図表示ソフトではありません。特定の地点からの距離や時間で範囲を分析する「バッファ分析」や、人口データと店舗網を重ね合わせて分析する「オーバーレイ分析」といった高度な地理空間分析機能を備えており、ビジネス上の複雑な問いに答える力を秘めています。

GISコラムへの遷移CTA

エリアマーケティングにおけるGISの絶大な効果

統計データとGISが結びつくことで、「エリアマーケティング」という強力な手法が生まれます。これは、地理的な視点から市場を分析し、地域ごとの特性に合わせた最適な戦略を展開するアプローチです。GISは、エリアマーケティングのあらゆる局面でその威力を発揮します。

■ 店舗開発
新規出店を検討する際、候補地の地図上に人口、世帯年収、競合店の位置といった統計データを重ね合わせることで、そのエリアのポテンシャルを客観的に評価できます。
これにより、「なぜこの場所に出店するのか」という問いに対し、データに基づいた明確な根拠を示すことが可能になります。
■ 販売促進
GISを使えば、自社のターゲット顧客層(例:30代ファミリー層)が多く住むエリアを地図上で特定できます。
そのエリアに絞ってチラシを配布したり、Web広告を配信したりすることで、販促活動の費用対効果(ROI)を劇的に向上させることができます。
■ 顧客分析
会員データなどの顧客情報を地図上に展開することで、自店の真の商圏(実勢商圏)の形や、顧客がどこから来ているのかを可視化できます。
これにより、これまで商圏だと思い込んでいたエリアと、実際の顧客分布とのギャップを発見し、戦略を修正することが可能になります。
■ リテールサポート
メーカーや卸売業者が、GISで作成した商圏分析レポートを小売店への提案に活用するケースも増えています。
「この店舗の周辺には富裕層が多いので、高価格帯の商品を充実させましょう」といった、データに基づいた説得力のある提案は、取引先との関係を強化し、自社商品の売上向上にもつながります。

このようにGISは、社内に散在する売上データや顧客データと、外部の統計データという、本来は別々の世界に存在する情報を「場所」を軸に統合します。この異種データの融合こそが、これまで得られなかった新たなビジネスインサイトを生み出す源泉となるのです。


無料で使い始められるGISオススメ2選

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【簡単・シンプル】Webブラウザで始めるクイックな商圏分析

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※MarketAnalyzer® Satellite 操作イメージ動画


このツールは、専門的なソフトウェアのインストールが不要で、使い慣れたGoogle Mapsのインターフェース上で、高度なエリア分析をすぐに始めることができます。地図上の任意の地点をクリックするだけで、その周辺の人口・世帯数、将来人口、年収データといった主要な統計情報を瞬時に集計し、レポートとして出力することが可能です。
店舗開発担当者が外出先から候補地のポテンシャルを素早く確認したり、営業担当者が訪問前の準備として得意先周辺の市場環境を把握したりと、ビジネスの意思決定をスピーディに支援します。

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MarketAnalyzer® 5は、統計の専門家でなくてもこれらの高度な機能をご活用いただけるよう、2,000社以上の導入実績に裏打ちされた伴走型のサポート体制を整えています。

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まとめ

本コラムでは、統計データが現代のビジネス戦略においていかに不可欠な要素であるかを解説してきました。その要点を以下にまとめます。

・統計データは客観的な事実
統計データは、個々の事象を集計・加工することで集団の傾向を明らかにするものであり、経験や勘に頼る主観的な意思決定から脱却するための羅針盤となります。
・データ活用は競争優位の源泉
統計データを活用することで意思決定の精度を高め、新たなビジネスチャンスを発見し業務を効率化することが可能になります。
・GISがデータの価値を最大化
統計データは、GIS(地理情報システム)によって地図上で可視化・分析されて初めて、その真価を発揮します。Excelの表では見えない空間的なパターンを捉えることで、データは具体的なエリア戦略へと昇華されます。

膨大なデータが利用可能になった今、そのデータをいかにしてビジネスの「知恵」に変えるかが問われています。技研商事インターナショナルは、高品質な統計データと、初心者から専門家まで対応するスケーラブルなGISソリューションを通じて、企業のデータドリブンな変革を支援します。
ビジネス戦略を憶測の領域から、確信の領域へと引き上げる時が来ています。データに基づいた確かな一歩を踏み出すために、ぜひ当社のソリューションをご検討ください。


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監修者プロフィール

市川 史祥
技研商事インターナショナル株式会社
執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント
医療経営士/介護福祉経営士
流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師
一般社団法人LBMA Japan 理事

1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。




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