エリアマーケティングラボ

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~業界の最新動向~

カオスマップとは?|その意味と作り方を解説

2025年4月9日号 ※2025年12月25日更新(Vol.140)

はじめに

「業界の全体像を把握したい」「競合環境を可視化したい」——そんな時に役立つツールがカオスマップ(Chaos Map)です。 近年、スタートアップ界隈やテック業界を中心に、自社の立ち位置や業界構造を示すための標準的な資料として定着しています。

本記事では、カオスマップの基本的な概要から、種類、作成手順、活用法までを初めての方にもわかりやすく解説します。マーケティングや事業戦略に役立つ活用方法も紹介します。

※本コラムは、2025年4月に掲載した記事を2025年12月25日に更新したものです。


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カオスマップとは?

カオスマップとは、特定の業界やテーマに関わる企業・サービスをカテゴリ別に分類し、視覚的に整理した図表のことです。複雑で入り組んだ業界構造を「カオス(混沌)」と捉え、整理・可視化することからこの名称が付けられました。
もともとは米国のテクノロジー業界で広まりましたが、現在では日本でも幅広い分野で活用され、業界の勢力図や動向を把握するための資料として注目されています。

どんなカオスマップがある?

カオスマップはさまざまな分野で作成されています。以下はその一例です

◆ テクノロジー系:生成AI、SaaS、ブロックチェーン等

◆ 業界特化型:HRテック、フィンテック、飲食DX、医療ヘルスケア等

◆ その他テーマ:マーケティングツール、地方創生スタートアップ等



カオスマップでわかること・活用のメリット

カオスマップは単なる「ロゴの一覧表」ではありません。作成者にとっても閲覧者にとっても、戦略的なインサイトを得られる重要なツールです。

業界の全体像と勢力図の把握

カテゴリごとのロゴの密度を見ることで、どの分野が成熟して過密(レッドオーシャン)なのか、逆にどの分野に参入余地(ホワイトスペース・ブルーオーシャン)があるのかを直感的に把握できます。

ビジネスチャンスの発見

    競合分析:自社と競合するプレイヤーや、協業・提携の候補となるパートナー企業を見つけやすくなります。
    新規事業の検討:まだプレイヤーが少ないニッチな領域を発見し、参入の検討材料にできます。

マーケティング・ブランディング効果

自社でカオスマップを作成・公開することで、「業界に精通している企業」としての認知度(ソートリーダーシップ)を高めることができます。また、SNSでの拡散やメディア掲載による被リンク獲得など、SEO対策としても有効です。



カオスマップを作成する一般的な手順(6ステップ)

カオスマップ作成の一般的な手順は以下です。

  1. 1. 目的と対象範囲の明確化
  2. 2. データ収集の重要性
  3. 3. カテゴリ(軸)の設定
  4. 4. データ整理とフォーマットの整備
  5. 5. 表現の工夫
  6. 6. 解説文の添付

これらのステップを踏むことで、効果的なカオスマップを作成できます。各ステップの詳細は、以下で詳しく解説していきます。


カオスマップ作成手順イメージ

目的と対象範囲を明確にする

カオスマップ作成において、まず最も重要なのは目的と対象範囲を明確にすることです。
カオスマップは、情報を整理し可視化するためのツールですが、目的が曖昧だと効果を発揮できません。

<目的を明確にする要素>
• 業界全体の把握
• 特定分野の分析
• 競合状況の理解
• 自社の立ち位置明確化
• 新規参入機会探索

これらの要素を考慮し、カオスマップを作成する目的を具体的に定める必要があります。目的が定まれば、対象範囲も自ずと明確になります。対象範囲を絞り込むことで、情報の過不足を防ぎ、より実用的なカオスマップを作成できます。目的と対象範囲を明確にすることで、効果的なカオスマップ作成へと繋がります。

データ収集の重要性

データ収集は、カオスマップ作成において成否を分ける重要なプロセスです。
なぜなら、正確なデータに基づいていないカオスマップは、誤った認識や判断を招き、結果として戦略の失敗につながる可能性があるからです。

<データ収集時の注意点>
• 情報源の信頼性を確認
• 最新情報の収集
• 多角的な視点の収集

これらの注意点を守り、偏りのない客観的なデータ収集を心がけることで、カオスマップの精度を高めることができます。精度の高いカオスマップは、市場の全体像を把握し、自社の立ち位置を明確にする上で不可欠なツールとなります。

軸の設定(カテゴリ分け)

カオスマップの精度を左右する重要な工程は軸の設定(カテゴリ分け)です。
以下のような分類軸がよく使われます。

<軸の種類>
• 機能・用途ベース:営業支援/人事・労務/マーケティング/会計/セキュリティなど
• ターゲットベース:小売業向け/製造業向け/飲食業向けなど、業種別の分類
• 技術・アーキテクチャベース:AI、IoT、クラウド、オンプレミスなど
• フェーズベース:顧客獲得/商談管理/アフターサポートなど、業務プロセスの流れに沿った分類

これらの軸を組み合わせることで、より詳細な分析が可能になります。 例えば、顧客獲得を軸に「課題解決型」「効率化型」「創造支援型」といった分類を設けることで、各社のポジショニングを明確にできます。
軸の設定は、カオスマップの目的や対象範囲に応じて柔軟に調整する必要があります。 様々な視点から検討し、最適な軸を見つけ出すことが、効果的なカオスマップ作成の鍵となります。

データ整理とフォーマットの設定

データ整理とフォーマット設定は、カオスマップ作成において非常に重要な段階です。
なぜなら、収集したデータが整理されていなければ、マップの作成が困難になり、誤った情報を伝えてしまう可能性があるからです。

<データ整理のポイント>
• 重複データの削除
• データの分類・整理
• フォーマット統一
• データの正規化
• 不足情報の補完

これらの作業を通じて、データを整理し、フォーマットを統一することで、カオスマップ作成の効率と精度が向上します。最終的に、見やすく、理解しやすいカオスマップを作成することができるでしょう。

表現の工夫

単に企業名やロゴを一覧表示するだけでなく、サービス間の関係性や業界構造を示す工夫を加えると、より価値のあるカオスマップになります。

<表現の工夫例>
• 矢印:データ連携の流れやAPI連携を可視化
• 階層構造:基盤技術 → サービス層 → アプリ層など
• 色分けやアイコン:BtoB、BtoC、大企業、スタートアップなど
• 時系列配置:業界の成長段階や普及フェーズを表現

こうした構造的な視点を取り入れることで、戦略的な気づきを得やすくなります。

解説文の掲載

カオスマップだけで誰もが業界構造を理解できればよいですが、作成者・専門家として解説文やコメントを入れると親切ですし、より見た人の理解が深まります。


位置情報データ活用事例資料のCTA


カオスマップの好事例:位置情報ビジネス&マーケティング業界

カオスマップの好事例として、当社も加盟している位置情報系の業界団体「一般社団法人LBMA Japan」が毎年発表しているカオスマップをご紹介します。

位置情報ビジネス&マーケティングカオスマップ2025年版

「位置情報ビジネス&マーケティング カオスマップ」
https://www.lbmajapan.com/locationchaosmap2

このカオスマップは、カテゴリごとの色分けや矢印による関係性の可視化、さらにインタラクティブな表示機能まで備えており、構造的・視覚的に非常に優れた事例といえます。また、5つのトレンドということで、業界団体ならではの解説やコメントもされており、位置情報業界の動向やプレーヤー、関係性がわかりやすくなっています。

位置情報マーケティングコラム

2025年版から読み解く5つのトレンド

LBMA Japanの2025年版カオスマップでは、以下の5つのトレンドが示されており、業界がどのように進化しているかが視覚的かつ構造的に理解できます。

    ・トレンド1:産官学連携の深化と社会実装
    民間企業だけでなく、大学・研究機関や行政が連携するプロジェクトが増加しています。防災や観光、都市計画といった社会課題に対し、アカデミアの知見と企業の技術が融合し、実用化(社会実装)が加速しています。
    ・トレンド2:リアルタイム位置情報の集約化
    以前はアプリやキャリアごとに分断されていたデータが統合され、リアルタイムでの連携が進んでいます。これにより、災害時の人流把握やモビリティ制御など、社会インフラとしての活用基盤が整ってきました。
    ・トレンド3:三次元計測・可視化技術の実用化
    計測範囲が屋外から屋内(商業施設や工場など)へと拡大しています。気圧センサーやビーコンを活用した高さ計測技術の普及、3D都市モデルの整備により、「没入感のある可視化」が防災やスマートシティの現場で現実のものとなっています。
    ・トレンド4:プライバシー強化技術(PETs)の進化
    データガバナンスへの関心が高まる中、秘密計算や匿名化技術といったPETs(Privacy Enhancing Technologies)の導入が進んでいます。誰もが安心してデータを利活用できる環境整備が進んでいることが読み取れます。
    ・トレンド5:データ分析の役割分担と細分化
    「AI・サイエンス(高度解析)」「調査・シンクタンク(社会動向予測)」「コンサルティング(実装支援)」など、プレイヤーの役割が明確化・細分化されており、業界全体の成熟度が向上していることがわかります。

このように、「業界の今」を切り取る切り口(トレンド)を持って作成されたカオスマップは、単なるカタログを超えて、業界の羅針盤としての役割を果たします。


GIS(地理情報システム)業界におけるカオスマップの重要性

「地図」そのものを扱うGIS業界においても、カオスマップという「業界の地図」は象徴的な意味を持ちます。

GIS業界は専門性が高く、センサーデータ、衛星画像、統計データなどが多層的に絡み合う複雑な構造をしています。さらに近年では、「スマートシティ」「人流解析」「物流最適化」など活用領域が急拡大しており、「誰が何を得意としているのか」を整理する必要性が高まっています。

複雑だからこそ、その構造を俯瞰できるカオスマップの価値が高い業界と言えるでしょう

GISの活用法と商圏分析の具体事例コラム

位置情報データ活用事例資料のCTA


まとめ

カオスマップは、業界構造やプレイヤー間の関係性を視覚的に整理する強力なツールです。

これからカオスマップを作成される方は、単にロゴを集めるだけでなく、「目的の明確化」「トレンドを捉えた軸の設定」を意識してみてください。LBMA Japanの事例のように、業界の進化や技術トレンドを反映させることで、より価値のあるコンテンツとなるはずです。


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監修者プロフィール

市川 史祥
技研商事インターナショナル株式会社
執行役員 マーケティング部 部長 シニアコンサルタント
医療経営士/介護福祉経営士
流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師
一般社団法人LBMA Japan 理事
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1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。




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