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カオスマップとは?|その意味と作り方を解説
2025/12/25
最終更新:2026年10月16日
「業界の全体像を把握したい」「競合環境を可視化したい」——そんな時に役立つツールがカオスマップ(Chaos Map)です。 近年、スタートアップ界隈やテック業界を中心に、自社の立ち位置や業界構造を示すための標準的な資料として定着しています。
本記事では、カオスマップの基本的な概要から、種類、作成手順、活用法までを初めての方にもわかりやすく解説します。マーケティングや事業戦略に役立つ活用方法も紹介します。
目次
1. カオスマップとは?
カオスマップとは、特定の業界やテーマに関わる企業・サービスをカテゴリ別に分類し、視覚的に整理した図表のことです。複雑で入り組んだ業界構造を「カオス(混沌)」と捉え、整理・可視化することからこの名称が付けられました。
もともとは米国のテクノロジー業界で広まりましたが、現在では日本でも幅広い分野で活用され、業界の勢力図や動向を把握するための資料として注目されています。
どんなカオスマップがある?
カオスマップはさまざまな分野で作成されています。以下はその一例です。
◆ テクノロジー系:生成AI、SaaS、ブロックチェーン等
◆ 業界特化型:HRテック、フィンテック、飲食DX、医療ヘルスケア等
◆ その他テーマ:マーケティングツール、地方創生スタートアップ等
2. カオスマップでわかること・活用のメリット
カオスマップは単なる「ロゴの一覧表」ではありません。作成者にとっても閲覧者にとっても、戦略的なインサイトを得られる重要なツールです。
業界の全体像と勢力図の把握
カテゴリごとのロゴの密度を見ることで、どの分野が成熟して過密(レッドオーシャン)なのか、逆にどの分野に参入余地(ホワイトスペース・ブルーオーシャン)があるのかを直感的に把握できます。
ビジネスチャンスの発見
競合分析:自社と競合するプレイヤーや、協業・提携の候補となるパートナー企業を見つけやすくなります。
新規事業の検討:まだプレイヤーが少ないニッチな領域を発見し、参入の検討材料にできます。
マーケティング・ブランディング効果
自社でカオスマップを作成・公開することで、「業界に精通している企業」としての認知度(ソートリーダーシップ)を高めることができます。また、SNSでの拡散やメディア掲載による被リンク獲得など、SEO対策としても有効です。
3. カオスマップを作成する一般的な手順(6ステップ)
カオスマップ作成の一般的な手順は以下です。
- 1. 目的と対象範囲の明確化
- 2. データ収集の重要性
- 3. カテゴリ(軸)の設定
- 4. データ整理とフォーマットの整備
- 5. 表現の工夫
- 6. 解説文の添付
これらのステップを踏むことで、効果的なカオスマップを作成できます。各ステップの詳細は、以下で詳しく解説していきます。
目的と対象範囲を明確にする
カオスマップ作成において、まず最も重要なのは目的と対象範囲を明確にすることです。
カオスマップは、情報を整理し可視化するためのツールですが、目的が曖昧だと効果を発揮できません。
<目的を明確にする要素>
- 業界全体の把握
- 特定分野の分析
- 競合状況の理解
- 自社の立ち位置明確化
- 新規参入機会探索
これらの要素を考慮し、カオスマップを作成する目的を具体的に定める必要があります。目的が定まれば、対象範囲も自ずと明確になります。対象範囲を絞り込むことで、情報の過不足を防ぎ、より実用的なカオスマップを作成できます。目的と対象範囲を明確にすることで、効果的なカオスマップ作成へと繋がります。
データ収集の重要性
データ収集は、カオスマップ作成において成否を分ける重要なプロセスです。
なぜなら、正確なデータに基づいていないカオスマップは、誤った認識や判断を招き、結果として戦略の失敗につながる可能性があるからです。
<データ収集時の注意点>
- 情報源の信頼性を確認
- 最新情報の収集
- 多角的な視点の収集
これらの注意点を守り、偏りのない客観的なデータ収集を心がけることで、カオスマップの精度を高めることができます。精度の高いカオスマップは、市場の全体像を把握し、自社の立ち位置を明確にする上で不可欠なツールとなります。
軸の設定(カテゴリ分け)
カオスマップの精度を左右する重要な工程は軸の設定(カテゴリ分け)です。
以下のような分類軸がよく使われます。
<軸の種類>
- 機能・用途ベース:営業支援/人事・労務/マーケティング/会計/セキュリティなど
- ターゲットベース:小売業向け/製造業向け/飲食業向けなど、業種別の分類
- 技術・アーキテクチャベース:AI、IoT、クラウド、オンプレミスなど
- フェーズベース:顧客獲得/商談管理/アフターサポートなど、業務プロセスの流れに沿った分類
これらの軸を組み合わせることで、より詳細な分析が可能になります。 例えば、顧客獲得を軸に「課題解決型」「効率化型」「創造支援型」といった分類を設けることで、各社のポジショニングを明確にできます。
軸の設定は、カオスマップの目的や対象範囲に応じて柔軟に調整する必要があります。 様々な視点から検討し、最適な軸を見つけ出すことが、効果的なカオスマップ作成の鍵となります。
データ整理とフォーマットの設定
データ整理とフォーマット設定は、カオスマップ作成において非常に重要な段階です。
なぜなら、収集したデータが整理されていなければ、マップの作成が困難になり、誤った情報を伝えてしまう可能性があるからです。
<データ整理のポイント>
- 重複データの削除
- データの分類・整理
- フォーマット統一
- データの正規化
- 不足情報の補完
これらの作業を通じて、データを整理し、フォーマットを統一することで、カオスマップ作成の効率と精度が向上します。最終的に、見やすく、理解しやすいカオスマップを作成することができるでしょう。
表現の工夫
単に企業名やロゴを一覧表示するだけでなく、サービス間の関係性や業界構造を示す工夫を加えると、より価値のあるカオスマップになります。
<表現の工夫例>
- 矢印:データ連携の流れやAPI連携を可視化
- 階層構造:基盤技術 → サービス層 → アプリ層など
- 色分けやアイコン:BtoB、BtoC、大企業、スタートアップなど
- 時系列配置:業界の成長段階や普及フェーズを表現
こうした構造的な視点を取り入れることで、戦略的な気づきを得やすくなります。
解説文の掲載
カオスマップだけで誰もが業界構造を理解できればよいですが、作成者・専門家として解説文やコメントを入れると親切ですし、より見た人の理解が深まります。
4. カオスマップの好事例:位置情報ビジネス&マーケティング業界
カオスマップの好事例として、当社も加盟している位置情報系の業界団体「一般社団法人LBMA Japan」が毎年発表しているカオスマップ(2026年最新版)をご紹介します。
「位置情報ビジネス&マーケティング カオスマップ」
https://www.lbmajapan.com/locationchaosmap2
2026年版から読み解く4つのトレンド
LBMA Japanの2026年版カオスマップでは、以下の4つのトレンドが示されており、業界がどのように進化しているかが視覚的かつ構造的に理解できます。
・トレンド1:「ジオAI」が本格台頭 ― 位置情報×AIが新たな産業基盤へ
2026年版の最大の変化は、「ジオAI」が独立した大カテゴリとして登場したことです。これまでAIは位置情報を分析・可視化するための技術という位置づけが中心でしたが、現在は、現実空間を理解・予測し、最適なアクションにつなげる役割へと進化しています。
フィジカルAI、バーティカルAI、デジタルツインAIなど、位置情報とAIを組み合わせて「現実世界を認識し、判断し、動かす」領域が急速に拡大しています。位置情報は、AIがリアルな世界を理解するための重要な基盤データになりつつあります。
・トレンド2:センシング領域が「陸・空・海・宇宙」へ拡張
位置情報データの取得対象も大きく広がっています。従来のスマートフォンや店舗、人流を中心としたデータに加え、モビリティ、ドローン、衛星、航空、海運、リモートセンシングなど、新たなデータソースの活用が進んでいます。
これにより位置情報産業は、地上の「人や店舗の動き」を捉えるだけでなく、陸・空・海・宇宙を横断して現実世界そのものをデータ化する産業へと進化しています。
・トレンド3:「リテールメディア」から「コマースメディア」へ
広告・マーケティング領域では、リテールメディアからコマースメディアへの進化が鮮明になっています。
従来は小売店舗や小売事業者が持つ購買データを活用した広告が中心でしたが、現在は店舗だけでなく、EC、アプリ、広告、位置情報などを横断し、認知から来店、購買までの消費行動全体を捉える方向へと領域が拡大しています。
オンラインとオフラインを分けるのではなく、生活者の購買行動を一連のものとして捉えることが、次世代の広告・販促のスタンダードになりつつあります。
・トレンド4:防災・国土強靱化の格上げ ― 社会インフラ領域への浸透
2025年版の「防災・消防・スマートシティ」が、「防災・国土強靱化」として明確に位置づけられ、通信・測量・インフラ系の大手が名を連ねています。位置情報が広告・マーケティングの枝を超え、国土政策やレジリエンスという公共性の高い領域で不可欠なインフラになりつつあることを示しています。
カオスマップの変遷
今回で6回目のアップデートとなる位置情報ビジネス&マーケティング業界を示す当カオスマップの掲載企業数と内容の変遷を時系列にて視覚化すると、LBMA加盟企業数の変遷と連動して、位置情報業界も変化・進化していることがわかります。
位置情報データの活用はモバイルデバイスの普及を契機に黎明期を迎え、2020年以降その進化は技術革新と社会の要請に深く連動し、現在は広範な領域における基盤情報としての役割を担い、社会インフラとしての地位を確立しつつあることを示しています。
5. GIS(地理情報システム)業界におけるカオスマップの重要性
「地図」そのものを扱うGIS業界においても、カオスマップという「業界の地図」は象徴的な意味を持ちます。
GIS業界は専門性が高く、センサーデータ、衛星画像、統計データなどが多層的に絡み合う複雑な構造をしています。さらに近年では、「スマートシティ」「人流解析」「物流最適化」など活用領域が急拡大しており、「誰が何を得意としているのか」を整理する必要性が高まっています。
複雑だからこそ、その構造を俯瞰できるカオスマップの価値が高い業界と言えるでしょう。
6. まとめ
カオスマップは、業界構造やプレイヤー間の関係性を視覚的に整理する強力なツールです。
これからカオスマップを作成される方は、単にロゴを集めるだけでなく、「目的の明確化」と「トレンドを捉えた軸の設定」を意識してみてください。LBMA Japanの事例のように、業界の進化や技術トレンドを反映させることで、より価値のあるコンテンツとなるはずです。
監修者プロフィール
市川 史祥
技研商事インターナショナル株式会社
取締役 CMO シニアコンサルタント
一般社団法人LBMA Japan 理事
ロケーションプライバシーコンサルタント
流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師
統計士/医療経営士/介護福祉経営士
Google AI Essentials/Google Prompt Essentials

1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。
電話によるお問い合わせ先:03-5362-3955(受付時間/9:30~18:00 ※土日祝祭日を除く)
Webによるお問い合わせ先:https://www.giken.co.jp/contact/
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