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ノウハウ
社会生活基本調査を活用した「行動別人口」で商圏分析をアップデートする
2026/03/27
店舗開発やエリアマーケティングにおいて、商圏内の人口や年齢・性別構成を把握することは、もはや欠かせない基本分析です。しかし、マーケティング担当者の方から、以下のようなお悩みを伺うことが多々あります。
「ターゲット層の人口が多いエリアに出店したのに、なぜか主力商品が売れない…」
このミスマッチの原因は、属性データ(ハードデータ)だけでは、その街に住む人々の「本当の姿」は見えないことにあります。同じ「30代男性」でも、休日にゴルフへ行く人と、家でDIYに没頭する人では、消費行動が全く異なるからです。
そこで今、商圏分析手法として改めて注目したいのが、総務省の「社会生活基本調査」をベースにした「行動別人口データ」の活用です。本コラムでは、このデータがもたらすインサイトや、小売・サービス業における具体的な活用法を解説します。
目次
1. 社会生活基本調査をベースにした「行動別人口データ」とは?
当社の扱う「推計行動別人口データ」とは、当該地域に居住する人が、1年間にどのような趣味やスポーツ等の活動を行っているのかを推計した統計データです。
(データの仕組みと網羅性)
推計の根拠: 総務省統計局の「社会生活基本調査」と「国勢調査」の掛け合わせ
解像度: 町丁・字やメッシュ(500m/250m単位)等のミクロな単位での可視化
カテゴリ数: スポーツ、学習、趣味など、85種類の行動カテゴリを網羅
これにより、「同じ都道府県内でも、若者が多いメッシュと高齢者が多いメッシュで、どのような行動の違いが出るのか」といった精密な分析が可能になります。
2. 【業界別の事例】行動別人口データが導く「売れる」戦略
「推計行動別人口データ」を、実際のビジネスにどのように活用すべきか、3つのインサイトをご紹介します。
事例①:スポーツ用品店におけるMD(商品構成)の最適化
エリアごとの「競技人口」を正確に把握することは、店舗の坪効率を最大化する鍵となります。
ゴルフ人口が高いエリアの活用例
愛知県名古屋市中区(9.7%)や大阪府大阪市浪速区(9.3%)などは、ゴルフ参加率が非常に高いエリアです。
こうしたビジネス需要や接待需要が高い街では、初心者セットよりも「最新ドライバー」や「高機能ウェア」の在庫を厚くするのが定石です。
ジョギング・マラソン人口が高いエリアの活用例
東京都中央区(16.3%)や新宿区(15.7%)など、走る環境が整った都市部ではランニング需要が突出します。
ここではゴルフ用品などの面積を削り、「高機能シューズ」や「スマートウォッチ」を最優先で展開すべきです。
事例②:都市型ホームセンターでの「ニッチな自炊需要」の開拓
ホームセンターの戦略も、エリアの行動特性で大きく変わります。
■ 郊外エリア
群馬県嬬恋村(43.1%)などのように「園芸・ガーデニング人口」が圧倒的に多い地域では、プロ仕様の農具や肥料が主役となります。
■ 都心エリア
大阪市中央区(24.7%)や東京都中央区(24.3%)では、タワーマンションに住む層の「趣味の料理・菓子作り人口」が上位を独占します。
都心の店舗では、外食だけでなく「こだわりの自炊」を楽しむ層に向け、「高級鍋」や「輸入キッチン雑貨」「ベランダ用の小型観葉植物」など、室内での趣味時間を充実させる商材へシフトすることで、坪単価が大きく引き上がる可能性があります。
事例③:遊技・エンタメ産業における「ブルーオーシャン」の発見
「推計行動別人口データ」は、競合が手薄な高収益エリア(ホットスポット)の発見にも威力を発揮します。
例えばパチンコ人口を分析すると、大阪市浪速区や名古屋市中区といった繁華街だけでなく、以下のエリアが上位に浮上します。
北海道占冠村 (9.6%): トマムリゾートの住み込み従業員(若年男性)による需要
佐賀県鳥栖市 (8.0%)、三重県川越町 (8.5%): 大規模な工場・物流拠点の交代勤務労働者による需要
これはリゾートバイトに従事する若年男性や、工場・物流拠点の交代勤務労働者が需要を押し上げているためと考えられます。
特定産業に従事する男性寮があるエリアなどは、総人口が少なく競合も手薄になりがちですが、実質の「稼働ポテンシャル」は極めて高いブルーオーシャンである可能性を秘めています。
3. まとめ:社会生活基本調査の活用で「ライフスタイル」に基づいた戦略立案を
これからの商圏分析は、「何人住んでいるか(ハード)」だけを追うのではなく、「どんなライフスタイルの人が住んでいるか(ソフト)」を測る時代です。
「推計行動別人口データ」の活用範囲は、今回ご紹介した事例にとどまりません。
海外観光人口から、新興富裕層エリア(茨城県守谷市など)を発見する。
映画鑑賞人口から、動画配信サービス(VOD)の重点ポテンシャルエリアを策定する。
など、その活用幅は無限大です。
エリアマーケティングの高度化なら技研商事インターナショナルへ
当社では、本記事で使用した「推計行動別人口データ」をはじめとする精緻なデータを用いて、皆様の出店戦略、MD最適化、販促エリアの選定を強力にサポートいたします。▶ 推計行動別人口データの詳細はこちら
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監修者プロフィール
市川 史祥
技研商事インターナショナル株式会社
執行役員CMO シニアコンサルタント 市川 史祥
一般社団法人LBMA Japan 理事
ロケーションプライバシーコンサルタント
流通経済大学客員講師/共栄大学客員講師
統計士/医療経営士/介護福祉経営士
Google AI Essentials/Google Prompt Essentials

1972年東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。不動産業、出版社を経て2002年より技研商事インターナショナルに所属。 小売・飲食・メーカー・サービス業などのクライアントへGIS(地図情報システム)の運用支援・エリアマーケティング支援を行っている。わかりやすいセミナーが定評。年間講演実績90回以上。
電話によるお問い合わせ先:03-5362-3955(受付時間/9:30~18:00 ※土日祝祭日を除く)
Webによるお問い合わせ先:https://www.giken.co.jp/contact/
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