導入事例レポート

株式会社ゼン・ランド様
- 本社所在地
- 東京都渋谷区道玄坂1丁目17番11号
- 事業概要
- 商業用不動産仲介事業、不動産売買事業、不動産管理事業、自社ポータルサイト運営、市場調査・マーケットレポート
- 公式サイト
- https://zenland.jp/
データドリブンな営業への変革を実現。
GISがもたらした顧客との関係構築と、提案の質向上とは。
商業用不動産仲介事業を専門に扱っている株式会社ゼン・ランド様。MarketAnalyzer® Satelliteの商圏データや、KDDI Location Analyzerの人流データを活用したマーケティング分析に基づき、顧客への物件提案や出店戦略をサポートしていらっしゃいます。この度は、営業部の皆様にGIS導入の経緯やその活用、効果についてお話を伺いました。
(課題)
・物件の提案をする際、現地調査や手動での通行量カウント等のアナログな手法に頼っていた。
・提案の根拠が経験則や肌感に依るため、担当者により提案の質にばらつきが生じていた。
(効果)
・客観的なデータに基づくことで提案の質が向上し、個人顧客の成約件数が増加傾向にある。
・データドリブンな提案で顧客の信頼を得やすくなり、より深い関係構築が可能になった。
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【目次】
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GISツールは、どのような部署にてご活用ですか?
井関様:
主に営業部で、営業活動を支援するツールの一つとして使用しています。 弊社は出店をご希望の事業者様向けに物件を紹介しており、その物件の詳細資料に、プラスアルファの情報として、「MarketAnalyzer® Satellite」の商圏データや、「KDDI Location Analyzer」の人流データを活用し、出店者様に、物件があるエリアの特性を把握し集客のイメージを持っていただきやすいようにしています。 弊社のお客様は、メガチェーン企業や中堅企業から個人経営のお客様まで幅広くいらっしゃいますが、特に個人で出店されるお客様には、「こんなデータがあるんですね」とご評価をいただくことが多く、手応えを感じています。

“プロフェッショナルとしての在り方の追及”、“感覚値からの脱却”を目指し、GISに興味を持つように。
「出店するなら絶対に知りたい情報が取れる」という顧客視点も、導入を後押しした。
GIS導入のきっかけは?
渡邊様:
GISを導入する前は、店前通行量を手動でカウントしたりとアナログな手法が中心でした。
こうした手法だと人によって判断が分かれたり、肌感覚や経験則に頼らざるを得ない場面も多く、物件周辺エリアに関する特性や情報をどうにか「見える化」できないかと思うようになったのが導入のきっかけです。
感覚ではなく、定量的なデータに基づいた物件提案がしたいと考え、展示会でGISのようなエリアの特性を調査できるツールがあると知りました。その後、技研商事インターナショナルのセミナーで具体的な活用の話を聞き、GISに興味を持つようになりました。

導入の決め手は?
井関様:
一番は、事業用不動産仲介のプロフェッショナルとしての在り方を追求し続ける姿勢にあります。感覚ではなく、実際の数値に基づいた具体的な出店サポートが今後ますます重要になると感じています。
正確な情報と確かな専門性をもって信頼あるサービスの提供のために、GISの導入による客観的かつ精度の高い分析環境は、不可欠な一手だったのです。
正直、専用のツールでエリアのデータを活用するという手法は初めてのアプローチでしたので、最初は具体的な活用イメージがついていませんでした。しかし、セミナーや商談で内容を理解し、実際に使い始めてみると、従来より質の高い提案ができると感じました。
周辺の人口や消費、年収等の特性、店前の通りにどんな人が多くいるか等は、出店者の立場だったら知りたい情報だろうな、と直感的に思ったのも、導入に至った理由のひとつです。
2つのGISを使い分けた、きめ細かなエリア評価。
“マクロな商圏分析”と“ミクロな人流分析”で、最適な出店を支援。
どのような業務で活用されていますか?
渡邊様:
「サテライト」は、マクロな視点で活用しています。お客様がターゲットとされる顧客の特性に合わせて、必要な詳細データをご提供しております。
例えば、居酒屋で出店される方は夜間人口がターゲットとなるため、夜間人口の詳細データを付加する等、ターゲット特性と合わせて物件の提案をしています。

※ゼン・ランド様の分析画面ではありません。
階数、賃料、面積等の物件情報だけでなく、周辺エリアの人口特性や時間帯別の人口構成等を付加情報として提供することで、お客様が「どんなエリアなのか、集客できそうか」といったイメージが湧きやすいようにしています。
提案の起点が、「物件」から「客層」へ。
顧客の想定するターゲットを意識した物件提案を実現。
井関様:
それまでは、各営業担当が個人で調べたエリアの情報をお客様に提案している状況でしたので、担当者により提案力に差が出てしまうことがありました。ツールの導入前後では、提案のレベルがかなり変わってきたと感じています。
店舗を出店される方は、客層というか、どういう属性の方が多く集まるエリアか、というのは興味を持たれるところです。そのため、初期のヒアリングでお客様のターゲット層を必ず確認するようになりました。以前は物件の条件ばかりを伺っていましたが、現在はこうしたデータに基づいて提案するため、どのようなターゲットを想定しているのかをしっかりお聞きしています。
■ GISを活用した、ゼン・ランド様の市場調査・マーケットレポートサービス ・TEMPOLY ASSIST 店舗出店をご検討されている方を対象にした商圏調査レポートサービス。「サテライト」等の活用により、調査対象エリア内の「需要特性」「立地特性」「年収階級別世帯数」「昼夜間人口」等のデータを集計。商業用不動産における現場のノウハウに長けたゼン・ランド様独自の鮮度の高い情報を加味して分析し、効果的かつ実効性の高い企画提案を行っていらっしゃいます。 ・マーケットレポート KLAの人流データ等を活用し、商業施設の収益性と賃料水準を分析。独自指標「潜在店舗賃料負担力」で東京23区の動向を推計し、最新値を四半期ごとにレポートされています。市場変化を的確に捉えたデータを提供することで、顧客との信頼性構築に役立てていらっしゃいます。 |
渡邊様:
弊社では、物件情報に商圏データや人流データを付加したレポートを提供する「TEMPOLY ASSIST」というサービスを展開していますが、そのレポートを1件あたり1~2分程度で作成できる体制を整えています。
「サテライト」の商圏レポートの中から、お客様が興味を持たれる部分をピックアップして、分かりやすいレポートになるよう工夫しています。
―KLAの人流データの活用について
井関様:
「サテライト」が広域な視点であるのに対し、「KLA」はよりミクロな視点での分析に活用することが多いです。
例えば、ターミナル駅の分析では、「サテライト」の広範なデータよりも、「KLA」で駅周辺の特定エリアの人流や、通りによる人流の年代や性別、曜日や時間帯における違いを比較する方が、お客様にはピンとくるようですね。
また、既に数店舗運営されているお客様であれば、既存店の全面道路の人流データを取得し、新規物件と比較するような提案サポートも行っています。

※ゼン・ランド様の分析画面ではありません。
顧客の出店戦略に寄り添った、価値あるデータを提案することで、
信頼関係を構築。
商圏データや人流データの活用について、社内外での評判は?
渡邊様:
お客様との関係構築がしやすくなったという点は大きなメリットです。
営業担当者からは、「経験則ではなく、データに基づいた物件提案をすることで、お客様の見る目が変わってきた」、「関係構築の面で、以前とは格段に違ってきたと」いう声が上がっています。
これまではコミュニケーションスキルでお客様との関係を築くケースが多かったのですが、データを使ってロジカルな提案をすることで、お客様からの信頼度は変わってきていると感じます。現に、提案後の会話の中でも、お客様が一歩踏み込んだより深い話をしてくださるようになったと聞いています。
井関様:
提案の質は、導入前と比べて格段に向上したと実感しています。
導入当初、「TEMPOLY ASSIST」で提案書を作成する際、サテライトで取れる多くの細かなデータを活用していたため、1件あたり15分ほどかかってしまいなかなか定着しなかった時期もありました。
そこで、簡易版のテンプレートを作成し、1件につき1~2分で資料作成ができるように改善したことで、効率も良くなり、提案の質も上がりました。成果として、個人のお客様の成約件数は増加傾向にあり、ツールの効果が出ているのではないかと思います。
データ活用の鍵は「使いやすさ」と「実践的な学びの場」。
今後は、提案の質を深化させ、提供価値の最大化を目指す。
社内にてデータ活用を活性化させる工夫は?
渡邊様:
データ活用にかかる工数を削減し使いやすくした点に加え、月に1回程度、GISツールに関する勉強会を実施しています。まだ途上ではありますが、データ活用の重要性を営業部員に浸透させる良いきっかけになっていると思います。
例えば、美容室向けの物件を誘致するならどのエリアが良いか、というテーマで、表参道と銀座を比較する討論会のような形式を取ってみたりと、実践的なテーマで実施しています。各営業担当が、「サテライト」や「KLA」のデータと自社の賃料データ等を組み合わせて、「こちらのエリアの方がデータ上こういう理由で良い」といった提案をロールプレイング形式で行い、スキルアップを図っています。
データが手に入るようになっても、それをどう読み解くかは別のスキルですので、データを見ることに慣れるのは非常に重要だと思います。
今後の展開について
井関様:
現在は、「TEMPOLY ASSIST」レポート作成において、使用するデータを固定化することでスピーディな提案を実現するフローが確立しています。しかし、これはあくまで導入のステップであり、今後はよりお客様の課題やニーズに深く踏み込んだ提案へとブラッシュアップしていく必要があります。
店舗の状況はケースバイケースであるため、すべての提案を標準化することは困難です。だからこそ、データを深く理解し、お客様にとって真に有益な情報として提案に活かす力が求められます。初めて出店されるお客様にとっては、客観的なデータが良い点も悪い点も含めて提示されることが、大きな安心材料となります。
この「データを通じた顧客への価値提供」をさらに高いレベルで実現するため、今後は、提案内容の深化と営業担当者の育成や質を担保するためのトークスクリプト整備に注力したいと思います。
特に、これまでアプローチしきれていなかった中小企業やチェーン店のお客様に対しても、データの価値を最大限に活用した提案ができるよう、完成度を高めていくことが次の重要なテーマですね。
(取材月:2025年6月)
導入頂いたシステム
■ GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer🄬 Satellite」
基本の商圏分析・情報共有ツール(詳細はこちら)
■ GIS(地図情報システム)「KDDI Location Analyzer」
【GPS位置情報データ搭載】定額制セルフ分析システム(詳細はこちら)