導入事例レポート
株式会社理学ボディ様
- 本社所在地
- 東京都渋谷区渋谷1-12-2 クロスオフィス渋谷
- 事業概要
- 整体院の経営、ピラティススタジオの経営、障がい福祉事業、セミナー主催及び教育事業
- 公式サイト
- https://kabushikigaisya-rigakubody.co.jp/
自社データと様々なエリアデータを駆使し、好調店舗の要因を多角的に分析。
ポテンシャルの高いエリアの根拠をロジカルに提示し
社内外のステークホルダーとも、納得度の高い出店戦略を展開。
『最高の技術で世界中を健康に』という理念のもと、整体院(約90店舗)ピラティススタジオ(約30店舗)を全国展開されている株式会社理学ボディ様。出店戦略立案に、GIS(地図情報システム)やさまざまなデータをご活用いただいています。ツール導入の経緯や具体的な活用方法、その成果について取締役の清水様と出店管理部の桒原様にお話しを伺いました。
店舗数増加に伴い、出店エリア選定の難易度が上昇。
エリア分析の精度を高めるためには
過去の成功体験にとらわれない新たな知見が必要だった。
導入の経緯について
清水様:
当社では、出店管理部にてエリアマーケティングや物件の開発を行っており、新規出店にあたり収益が見込めるエリアと物件を探すのが主なミッションとなります。
現在は整体約90店舗、ピラティススタジオ約30店舗を運営していますが、MarketAnalyzer🄬 5(MKA)を導入したのは、整体を60店舗くらい展開していたころでした。
当時は100店舗を目標に掲げており、出店エリアの見極めがだんだん難しくなってきた頃でもありました。それまでは、一号店の表参道、その後新宿、大阪、名古屋というように、主要都市を中心に新規集客をしていたので比較的マーケティングがしやすかったのですが、集客に強いエリアが限られてくるなか出店数は増やしていかないといけないという状況になり、分析の粒度が荒いがゆえに目標に到達しない店舗が少しずつ出始めてきた背景があります。
というのも、整体は、例えばパーソナルジムのように通い続けることがなく、基本的に痛みがなくなるとニーズがなくなるので通わなくなります。つまりは離脱が多いビジネスモデルなので、常に新規集客をし続けなければなりません。新規集客し続けられるかどうかの見極めは、店舗の未来を決めるため、分析はかなり重要となります。
MKAを導入する前までは、データがあまり揃っておらず、駅乗降客数や市の人口を調べるといった粒度の分析がメインでした。出店エリア選択の難易度が上がってきた今、何かデータを元に判断できるような知見をつけなければという経緯で、有効な手段を模索していました。そこで見つけたのがMKAです。
初めて触るGIS(地図情報システム)。
導入当初は操作が難しく苦労することも。
サポートの支援を経て、今では抵抗なく使えるように。
導入の決め手は何ですか?
桒原様:
きっかけは、Web検索で見つけた技研商事インターナショナルの開催しているエリアマーケティングのセミナーです。そこで、何をすればよいかという分析のイメージが具体的についたというのが一番大きな決め手です。分析ツールも長期間無料で試せたので導入のハードルも低かったですね。
清水様:
まず、“商圏分析”というジャンル自体全く知らず、このような商圏分析ツール(GIS)にも馴染みがないところからのスタートだったので、システム自体の難易度が高く、最初はかなり苦労しました。
かなり膨大なデータを網羅していますし機能もたくさんあるので、使いこなすのは難しいだろうと想像はしていましたが(笑)
ただ、MKAでの分析が、収益の見込めるエリアの見極めに役立つことは目に見えていたので、技研商事インターナショナルの営業やサポートの方々に支援してもらいながら操作を習得していきました。
サポートは本当に手厚くやってもらったので、最初は抵抗がありましたが今はスムーズに使えるようになってきました。慣れてしまえば、という感じですね。
どのような業務にご活用ですか
桒原様:
様々なことに使っていますが、まず一つは既存店の分析です。
既存店のうち好調店舗とそうでない店舗で売上と各種商圏データとの関係性を把握しました。その傾向を地図上にプロットし、ポテンシャルの高いエリアを可視化することで、新規出店すべきエリアの把握に活用しています。
また、その傾向には沿っていないけれども好調な店舗の要因を、商圏レポートを見ながら比較していき、また新たな要因を抽出することもしています。テスト的に同じような特性のエリアに新規出店していき、その傾向を示すデータを集めたりと、ロジカルな試行錯誤が色々とできる点はよいと思います。
清水様:
MKA活用の成果として一番求めていたのは、出店すべきエリアの客観的な判断軸が作れるかということでした。飲食店等だと売上で比較することが多いと思いますが、我々のビジネスモデルだと売上だけだと計りきれません。店舗スタッフのスキルも売上に紐づいているからです。つまり、好調店舗の評価を売上額だけで判断すると、たまたまスタッフの腕が良かっただけということもあり、同じ特性のエリアに出店しても目標達成が難しくなる可能性が出てきます。
スタッフの力量に依存せずに集客ができるエリアを図る指標は、同じ手法でマーケティングをして差がでてくる新規集客数ということになるので、新規集客数が好調な店舗、不調な店舗に注目してMKAで相関分析にかけました。明らかに相関がでる要素は何なのかを調べるために、あらゆるデータをインポートして分析をかけていったのが第一ステップです。MKAは様々な統計データが入っているので、自分たちでは思いつかなかったような相関関係が見えて驚きがありました。
過去の成功体験にとらわれずにデータで客観的に判断できる強み。
自社データだけでは見えてこなかった知見を、
確度の高い出店戦略に活かしていく。
c-japan🄬をご活用ですが、追加でデータを導入された経緯は?
桒原様:
c-japan🄬(エリアセグメンテーションデータ)も、新規出店時の判断軸のひとつとして使っています。
最初無料トライアル時に、好調店舗とそうでない店舗をc-japan🄬で分析してみると、また別の傾向が見えてきたため、「これは使える」と思い導入に至りました。 好調店における顧客ペルソナと類似するペルソナが多い居住エリアを絞り込めるので、ポテンシャルの高いエリアを可視化するのに役立っています。
清水様:
同じ前提条件の店舗に絞って好調店舗に影響する要因の傾向を出したとはいえ、その傾向に当てはまらないのに好調だという、いわゆる“外れ値”的な店舗もいくつかありました。外れ値の要因が分れば新たな出店判断の軸となり、出店の上限、ひいては年商規模をあげられます。掘り下げて分析するなかで、現状のデータだけだと読みとけない状況でしたが、c-japan🄬を導入したら新しい知見が見えてきました。
導入から1年。30店舗近く増やせたことが事実としての成果。
分析をかけて出した店舗は、成功確率もグンと上がっています。
導入後の成果について
清水様:
MKAを導入し、今年10月で1年。導入してよかったですし、今後も使っていきたいと考えています。再現性の持てる出店基準が作れて、現時点で導入前の60店舗から追加で30店舗ほど増やせたことは、ひとつの成果です。
60店舗までは出店の難易度としては割と容易だと思っています。今までの成功体験で判断できるエリアが埋まってきて「今後どうする」という時に、MKAを活用したことである程度高い確度をロジカルに展開できたことは大きな自信になりました。現に、難易度が高くなった30店舗の増店において、分析をかけてから出した店舗に関しては赤字店舗が出る確率がぐっと下がり、かなり確度が上がったと実感します。
桒原様:
もう一つの成果としては、部署を超えて意思決定をする際の納得度が作れている点です。
出店基準のロジックをデータドリブンで出せるので、エリアマーケティングの部門と事業部で連携し意思決定を行う工程がスムーズになりました。
これまでは、「このエリアで出店できるかどうか」のディスカッション時に抽象度が高い話が展開されやすかったのですが、今は明確な数字を用いてロジックを出せているため、他部署の社内メンバーの納得度が違います。
清水様:
「エリアマーケティングのチームがそういうんだったらいいね」という信頼が生まれていますし、責任領域も明確化しました。さらに意思決定がスムーズになる効果もあったと思います。
フランチャイズ(FC)展開もしていますが、FCの出店サポートでも役に立っています。
FCオーナー様も店舗ビジネスをやったことない方が多く、どこに出せばいいかが分からないケースも少なくないので、出店判断に関する客観的なエビデンスは重要になります。 「当社のデータではこうです」と自信を持って言えますし納得度も出せる点で、ステークホルダーとの合意形成がしやすくなったことも大きなメリットです。
蓄積していくデータを継続的に検証し、さらなる精度向上を目指す。
今後は、出店だけでなく集客にも、データ分析の知見を活用していきたい。
今後の展望について
清水様:
まず、出店戦略の観点で見ると、店舗を増やしつつその結果をMKAに入れて仮説検証できる環境が作れたので、継続的に精度を高めていきたいと思います。
店舗数が増えるとトータルでのデータ量も増えてくるので、今後もそれを再度相関分析にかけて定期的にアップデートしていくことで、100店舗から120店舗、それ以降と、また先の景色が見えてくると思います。
また新たな領域、例えば集客でも活用の幅が広げられるのではと感じています。
これまでの出店形態は、マンションの1室であったり事務所兼店舗であったりするケースが多く、その集客はWeb広告がメインでした。新たにテナントインの店舗も出てきており、ウォークインも狙っていきたいため新しい集客戦略を建てなければなりません。
Webだけでなくポスティングやキャンペーンの最適化等、新しい知見が必要になってくるので、そのひとつとしてエリアデータ活用は十分に検討の余地があり、期待しているところです。
(取材月:2024年11月)