導入事例レポート

学校法人文理学園 日本文理大学

学校法人文理学園 日本文理大学

本社所在地
大分県大分市一木1727
事業概要
学校教育・研究
公式サイト
https://www.nbu.ac.jp/

地域活性化をデータドリブンに。
KDDI Location Analyzerが切り拓く「産学一致」の新たな道


建学の精神である「産学一致」に、「人間力の育成」「社会・地域貢献」を加えた3つの教育理念をもとに、人間力と専門性を兼ね備え、夢と世界に挑戦できる人材育成をされている日本文理大学様。経営経済学部では、地域活性化をテーマに、地域課題の解決に取り組むなかでKDDI Location Analyzerをご活用されました。今回、同学部の山城様に、導入の経緯や具体的な活用、周囲の評判等についてお話を伺いました。

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【目次】

  1. (1)山城様のお仕事内容について
  1. (2)導入のきっかけと決め手
  1. (3)業務での活用
  1. (4)豊後大野市と過疎地域での活用事例
  1. (5)周囲の方々の評判や反応
  1. (6)紙媒体と比べたKLAの優位性
  1. (7)今後の展望について
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山城様

山城様のお仕事内容について


私は日本文理大学の経営経済学部に所属しております。学部全体のテーマとして「地域をフィールドに」ということを掲げており、様々な地域に出て様々なデータを収集・活用しながら課題解決に取り組むというミッションを掲げています。
私のいる「地域マネジメントコース」というコースでは、特にデータに基づいて地域の課題を解決するということを専門にしています。その一環で、以前から大分市の中心市街地の回遊行動データを収集し、街に様々な提案を行っていました。


経営経済学部 教授 山城 興介様

コロナ禍で、回遊行動データの元となるアンケート調査が困難に:
「いつでも、どこでも」人流分析ができるKDDI Location Analyzerの活用へとシフト


導入のきっかけと決め手について


KDDI Location Analyzer(以下、KLA)を使い始めるきっかけは、コロナ禍に遡ります。
当時は、現地調査の際には紙媒体のアンケート調査を行っていました。具体的には学生が街に出て歩行者に声をかけ、街の中をどのように回遊しているかという「回遊行動調査」を実施していたのですが、コロナ禍の影響で街の人出自体が減少し、対面での調査自体が困難になりました。何か代替となるものを探していたところ、KLAを見つけ、興味を持ったのがきっかけです。

決め手として一番良かったのは、即時性です。
場所を囲って指定すると、すぐにデータを見ることができる点が、非常に気に入りました。特に、地域の方や商業施設の方に回遊行動の調査結果をお見せする際に、「じゃあ、この場所はどう?」と聞かれることがあります。その場で回答が出せないと議論が止まってしまいますが、KLAだとすぐ結果が出るので助かります。
以前使っていた人流分析ツールは、エリアを登録してデータ収集が終わるまでに数時間かかっていたため、「ここはどう?」と聞かれた時にすぐに見せられないことが課題でした。やはり、「囲ってすぐに結果が出る」というKLAの強みは圧倒的で、プレゼンテーションの際には重宝しています。
事前に準備していない場所について聞かれても、その場で対応できる。これがKLAの価値だと感じますね。

また、KLAは定額制なので、何回でも自由に使えて、「たとえ間違えても大丈夫」という安心感があります。分析対象の指定が無制限にできる点も、大変助かっています。以前使っていたツールは100ヶ所までしか囲い込めず、上限に達するとシステムに依頼して消してもらわなければなりませんでした。
私たちは大分県内の様々な市や町の多数の箇所を分析するため、すぐに上限に達してしまいます。その点、KLAは自由に、回数を気にせず使えます。一定の使用料を支払えば、あとは自由という点は、心理的にもコスト的にもメリットですね。

KDDI Location Analyzer 分析地点設定イメージ
KDDI Location Analyzer 分析地点設定イメージ



商業施設との共同研究で来店者属性を可視化:
施策の効果検証や戦略立案に新たな示唆


どんな分析にご活用ですか?


いくつかパターンがあります。一つは、ある商業施設様との共同研究です。
大分で有名な商業施設様ですが、どこから人が来ているのか、どのように人が動いているのかといったデータを取る際に、会員データや入館者数のカウンターデータ等だけでは十分に可視化・分析できていないという課題がありました。
そこで、共同で来店者の居住地や属性を可視化することから始めました。
「実はこんな所から人が来ていたのか」といった発見があり、非常に興味を持っていただけました。その商業施設は、通常は来店者の年代層がある程度決まっているのですが、特定の催事の際には全く違う年齢層が来ている、といった傾向も見えました。

POSデータやカウンターデータだけでは分からなかった、つまり、肌感覚でしか捉えられていなかった部分が、データで明確に示せた点は、今後の戦略立案に役立つと非常に喜んでいただけました。
また、具体的な催事の効果検証も行いました。集客力の高いイベントもあれば、特定の顧客層に特化したイベントもあります。そうした催事を今後どう評価し、継続していくか、といった議論もKLAのデータを元にさせていただきました。

複数の施設の来訪者傾向や併用率等が分かるKDDI Location Analyzer

複数の施設の来訪者傾向や併用率等が分かるKDDI Location Analyzer


データで「見える化」する地域課題:豊後大野市と過疎地域での活用


現在、大分県の豊後大野市というところで、人流ビッグデータを活用して地域の方々と議論を重ねています。豊後大野市は、有名な観光地が「原尻の滝」という一ヶ所に集中してしまっているという課題があります。「東洋のナイアガラ」とも呼ばれる立派な滝なのですが、観光客のほとんどがそこだけを訪れて、すぐに帰ってしまうのです。他にも磨崖仏や石橋など、見るべき場所はたくさんあるのですが、なかなか周遊に繋がりません。

実際にKLAを使って分析してみると、やはりその滝にしか立ち寄っておらず、その後は阿蘇や別府、宮崎県の高千穂等、他の有名観光地に移動してしまっていることが分かりました。滞在時間も短く、課題がデータで裏付けられた形です。この結果を基に、どうすれば滞在時間を延ばせるか、地域の方々と議論する際のツールとして活用しています。

また、過疎地域における人口減少の問題についても、KLAで調査をしています。人が「来ていない」という事実を示すことも、このツールの重要な使い方の一つです。客観的なデータを示し、地域の現状を直視することで、交通のあり方や定住促進策等、具体的なアイディアにつながっています。

ダッシュボードで曜日別や時間帯別の人流も一目で分かる

ダッシュボードで曜日別や時間帯別の人流も一目で分かる


経験と勘からデータへ:KLAがもたらす議論の活性化と客観性


周囲の方々の評判や反応はいかがですか?


住民の方も商業施設の方も、ご自身の経験と勘を頼りにされていることが多いので、データで「実はこんな所から人が来ています」「こういう属性の方が中心です」と可視化して見せると、非常に驚かれます。

「他の所も見せてほしい」と次々リクエストが出て、データを見ているだけで何時間も議論が盛り上がるほどで、評判は上々ですね。知りたいエリアの人流がすぐに分かるので、「ここは意外に多いね、少ないね」といった会話がその場で活発に生まれます。この即時性が、議論を促進する上で非常に役立っていると感じます。


紙媒体調査との比較:KLAの「分析スピード」と「長期時系列データ」の優位性


紙でのアンケートによる調査と比べて、メリットは?


ひとつは、導入の理由にもなった「分析のスピード」で、もう一つは「時系列で比較ができること(データ蓄積期間の長さ)」です。
紙の調査は、どうしても年に1回など、実施できる頻度が限られます。その1日のデータだけで「年間を通してこうだ」と結論づけることには、天候などの外的要因も絡むため、限界があります。実際に、「その日はたまたま大きなイベントがあったから人が多かったのでは?」と指摘を受けることもありました。
しかし、KLAは2018年まで遡って日々のデータが取得できます。特定の日の比較や、曜日ごとの比較も可能です。365日分のデータを何年にもわたって取得できる点は、紙の調査では不可能ですから、絶大な強みだと思います。

以前は紙の調査データを使って、大分市の中心市街地に将来どれくらいの人が来るかといった予測モデルを構築していました。KLAを導入してからは、過去の実績データをすぐに見ることができるので、複雑な予測モデルを組む必要性がなくなりました。未来を予測する上ではモデル構築も重要ですが、過去のトレンドを正確かつ簡単に把握できるようになったのは、非常にありがたいです。

この長期データがあるおかげで、コロナ禍前後の比較や、特定のイベントの効果を経年で比較することができるようになりました。1日や2日のデータでは難しい分析も、5年以上の蓄積があれば可能になります。日々の変動を長期的な視点で見られる点は、非常に大きなメリットだと感じています。

KLA活用メリット



大学全体でのKLA活用を目指して:学生の研究活動と地域活性化へのさらなる貢献へ


今後の展望について


私たちの大学には工学部もあり、その中の建築・まちづくりを専門とする研究室でも、卒業論文や研究活動でKLAのデータを活用しています。建物を建てるというハード面だけでなく、「そこにどういう人の流れが生まれるのか」というソフト面の視点は不可欠ですので、工学部の先生や学生さんも、こうした人流データには非常に興味を持ってくれています。

本来、もっと多くの方が様々な用途で活用できるはずなので、将来的には大学全体で導入できればという思いがあります。データに基づいた多角的な視点を養うことは、学生にとって非常に重要です。大学全体でこの人流データを活用し、様々な地域の活性化プロジェクトで、学生にもっとデータに触れる機会を提供できるとよいですね。

また、私自身の研究もさらに進めていきたいです。先日も、時系列データを使って、ある商業施設と駅ビルの間の人流に関連性があるかという研究成果を学会で発表しました。結果として非常に強い相関関係が見られ、商業施設同士が競争するだけでなく「協調」することの重要性、例えば共同キャンペーンなどを実施することが、街全体の活性化につながるということをデータで示すことができました。

今後も、こうしたデータを活用していくことで、地域の課題解決の一端を担っていければと思っています。

(取材月:2025年7月)




【営業担当からの一言】

山城先生とは、KDDI Location Analyzerの活用について定期的にディスカッションを重ねております。
先生が支援される企業や自治体の「リアルな課題」に触れる時間は、私たちにとっても新たな視点や気づきを得られる貴重な機会です。
大学ならではの深い知見と、私たちが提案する高度なデータ分析。この両輪で、これからも新しい価値を生み出していければ幸いです。引き続き、よろしくお願いいたします。


導入頂いたシステム

GIS(地図情報システム)「KDDI Location Analyzer」

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