導入事例レポート

アクア株式会社

アクア株式会社

本社所在地
東京本社所在地:東京都中央区日本橋堀留町1丁目11番12号
事業概要
洗濯機、冷蔵庫、小物家電の開発・販売、および業務用洗濯機の開発・製造・販売
公式サイト
https://aqua-has.com/

コインランドリー出店における売上予測をデータドリブンに。
自社のビッグデータや、候補地の商圏情報、周辺の居住者特性を加味した
ロジカルかつ納得感のある出店提案を目指す。


店舗をIoTでネットワーク化した独自の付加価値となるITランドリーシステムを、全国で約4,000店舗展開されているアクア株式会社様。当社のGIS(地図情報システム)を活用し、コインランドリーの収益が見込めるエリア・場所の選定や売上予測におけるDXを推進。自社のデータや様々な外部データを活用し、予測モデルの精緻化をはじめとした客観的なデータに基づく出店提案を進めていらっしゃいます。

(課題)
・コインランドリー出店の提案時に立地調査や売上予測の明確な基準値がなく、
担当の経験や勘に頼る部分があり、売上を実際よりも低く見積もる傾向にあった。

(効果)
・4,000店舗分にわたる自社の膨大な店舗データを活用し、データから導いた売上予測モデルを構築。
・提案先が個人だけでなく企業も増えるなか、よりシビアに求められる“出店すべき明確な根拠”を算出できる分析環境を実現。

アクア株式会社 GIS導入事例インタビュー

皆様のお仕事内容について


箕田様:
アクアでは、家庭用の洗濯機や冷蔵庫を取り扱う民生部門と、業務用洗濯機を扱う業務用洗濯機事業本部があり、MarketAnalyzer🄬(以下、MKA)やMarketAnalyzer🄬 Satellite(以下、サテライト)は業務用洗濯機事業本部の営業部門で使用しています。
この部署では、主にコインランドリーの新規出店に関するトータルサポートを行っており、出店に向けた企画提案から候補地の評価、店舗の設計や施工管理、システム導入までを一括管理し支援しています。MKAやサテライトは、その中でも出店候補地の評価時に活用しており、立地調査や周辺環境の分析等、出店可否を判断する上で重要な情報収集に役立てています。

アクア株式会社 GIS導入事例インタビュー風景

             (お写真左)業務用洗濯機事業本部 コマーシャル販売統括グループ マネージャー 箕田様
             (お写真右)業務用洗濯機事業本部 コマーシャル販売統括グループ 牧野様




システム導入のきっかけは?


牧野様:
MKAやサテライトを導入する前は、 営業担当者が個々の経験や勘に基づいて立地評価をし、コインランドリー出店の提案書を作成していたため、提案内容にばらつきがありました。そこで、共通の基盤を作るためにサテライトを導入し、統計データや自社の店舗情報、競合情報、周辺の集客施設等、出店判断に必要な各種データをスピーディーに入手し、提案書に反映できる環境を構築しました。

具体的には、設定した商圏における人口・世帯数・産業構成などの統計データを確認するとともに、集客施設の有無や周辺環境の状況を把握しています。また、当社が事前に登録した自社システム(コインランドリー)導入店舗や競合店舗の位置情報を基に、該当エリアの商圏ポテンシャルを多角的に評価するために利用しています。

導入前は、これらのデータを保有はしていても具体的な場所の可視化ができていなかったため提案書への反映が難しい状態でした。特に、コインランドリーはチェーン店だけでなく個人経営の店舗も多いため、他店舗を含む網羅性の高い店舗の位置データが無く、競合分析をしにくい難点もありました。
サテライト導入後は、ミクロ的な視点を強化し、営業担当者が営業回りの際にコインランドリーを見つけたらサテライトに登録するという形でデータ収集を行うことでGIS上に競合情報を蓄積していき、商圏分析に役立てられるようにしました。


社内での情報共有をスムーズにするMarketAnalyzer® Satellite

社内での情報共有をスムーズにするMarketAnalyzer🄬 Satellite


サテライトの活用により、営業担当者の経験や勘に頼っていた部分を客観的なデータで補完できるようになりました。店舗数も膨大なため、以前は提案書を作成するだけでも相当な時間がかかっていましたが、今はツールを使うことでかなりの工数を削減できています。
50店舗分の資料であっても一瞬でできてしまうので、分析の精度だけでなく時間短縮のメリットも大きいと感じます。


MarketAnalyzer® Satelliteの商圏レポートイメージ

MarketAnalyzer🄬 Satelliteの商圏レポートイメージ

出店候補地でどれだけ収益を上げられるか。
この最も重要となる指標において、さらなる標準化と精度向上を目指す。


箕田様:
今、さらに提案書のクオリティを高めるためにMKAを使った売上予測モデルの構築に取り組んでいます。
企画提案書の作成において最も重要なのは、候補地にコインランドリーを出店した際に本当に収益が見込めるかどうかという点です。従来より各種統計データを指標に出店適性を判断していましたが、実際の売上予測については、まだまだ営業担当者の長年の経験や勘に頼る部分が大きい状況でした。
売上の予実に乖離が生じるリスクを避けるため、慎重すぎる売上予測を行うケースも多く見受けられました。こうした状況を改善し、営業担当者の精神的な負担を軽減すると同時に、客観的な裏付けのある、より魅力的な提案を行いたいと考え、MKAをもっと活用していこうという流れになりました。

技研商事インターナショナルの営業担当の有馬さんに相談し、売上予測の精度向上や説得力のある分析手法についてアドバイスをもらいつつ進めていきました。


MKAを活用した売上予測について


箕田様:
弊社では、コインランドリーのIT化が2005年に始まり、2017年からはCloud IoTへと進化し、現在ではシステムに接続されている店舗数は約4,000店舗にのぼります。

店舗の様々なデータが社内に蓄積されていますが、MKAの活用にあたり、まずこの膨大な店舗データをどのように扱うか、売上予測に必要な情報は何か、各データの比重はどうあるべきかなど、モデル構築の前段階の作業にかなり時間をかけて取り組みました。取り込むデータを確定させた後は、MKAの重回帰分析機能ですぐに一括集計できたのでスムーズでした。様々な式を容易に何度も試せるので、想像していた以上に速く予測モデル式を構築でき驚きました。

トライ&エラーがしやすいMarketAnalyzer® 5重回帰分析機能

トライ&エラーがしやすいMarketAnalyzer🄬 5重回帰分析機能


処理スピードが非常に速く、複数のモデル式を短時間で検証・比較できる点は大きな利点です。現在は、立地や周辺環境等の特性別に店舗を分類したうえで4つのモデル式を使い分けて運用していますが、特に驚いたのは、モデル式によって導き出された売上予測が、当社直営店舗の実績値とほぼ一致していたことです。あまりの精度に、「これってAI予測なんですか?」と、何度も有馬さんに聞いたくらいです。

有馬(当社営業):
AI(人工知能)ではないのですが、強いて言うならArima Intelligenceです(笑)
というのは冗談ですが、実は売上予測へのAI活用は現在開発中です。実装まではまだしばらくかかりますが、どうぞご期待ください!

当社営業との打ち合わせ風景

当社営業(有馬)との打ち合わせ風景


エリアや居住者の特性を可視化する「c-japan🄬データ」の活用について


牧野様:
売上予測の精度向上により数値的な裏付けのある提案が可能になりましたが、同時に「その候補地がコインランドリーに適している理由を、より分かりやすく言語化して伝えたい」と思うようになりました。

そうしたタイミングでc-japan🄬の存在を知り、非常に魅力を感じました。現在は、売上が好調な既存店舗のエリア特性とc-japan🄬のデータを照合しながら、どのようなエリアが出店に適しているのかを深掘りしている段階です。今後は、オーナー様へのご提案時にも、「このエリアは◯◯層が多く、こういった生活スタイルや利用傾向があるため、コインランドリーの利用が期待されます」といったエリアの特性を、個々人の主観ではなく客観的なデータとして“見える化”してお伝えできるようになることを期待しています。

製品購買層(サンプルデータ)とc-japan®を突合した顧客像のセグメント算出イメージ

製品購買層(サンプルデータ)とc-japan🄬を突合した顧客像のセグメント算出イメージ
※アクア様の分析事例ではありません。


出店の提案先が、個人事業主だけでなく企業も増えるなか
出店判断のDXは大きな強みになる


箕田様:
昔は個人事業主の方が多かったのですが、近年は大手のチェーンストア企業からの引き合いも増えています。コインランドリーは無人で運営できますし、既に店舗用地を保有している企業からすると、手間をかけずに既存リソースを使ってコミュニティを作りやすいメリットもあります。

大手企業となると、個人事業主の方と比べると出店の根拠をよりシビアに求められるため、データに基づいた提案であること自体が一つの強みになります。 「100ある土地のうち、何故ここを選んだ」という根拠を問われたときに、同じシステムで標準化された評価軸をもって判断していくことで、弊社の責任のもと担当の方が自信を持って提案できるようになりますし、MKAやc-japan🄬のようなツールを活用することでそういった環境が作れていると感じます。

単なる出店判断から一歩進んだ
持続的に成果を出せる店舗づくりを目指して。


牧野様:
弊社は全国展開しており、店舗数も多く商圏も広いため、今後さらに分析精度を高めていくには、どのように店舗を分類していけばよいか、どこまで細分化するかの見極めを進めていきたいと思います。

箕田様:
我々の強みである Cloud IoT ランドリー を軸に業界をリードしていくためには、出店戦略の精度向上が不可欠です。その中で、売上予測をより精緻化することは、単に出店可否を判断するためだけでなく、「予測を超えるための戦略的な効果測定」にもつながると考えています。

また、c-japan🄬のようなデータを駆使しエリア特性に応じた裏付けのある施策を打てるようになることで、出店後のプロモーションや運営方針にも一貫性が生まれ、成功確度の高い店舗運営が可能になると期待しています。


(取材月:2025年4月)



導入頂いたシステム

GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer🄬 5」

【探索的かつ高度な分析に対応】ビッグデータ時代の商圏分析・エリアマーケティングシステム(詳細はこちら

GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer🄬 Satellite」

基本の商圏分析・情報共有ツール(詳細はこちら

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