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スマホアプリのGPS位置情報から開発した「流動人口データ」のエリアマーケティング活用

月刊GSI 2017年12月号(Vol.78)

 はじめまして。株式会社Agoop営業企画部の福田純晴と申します。当社が提供する「流動人口データ」をエリアマーケティング分野でどのように活用し、出店計画や既存店分析をおこなっていくか、具体的な例を用いて今回のマンスリーレポートを書かせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

ご挨拶

 株式会社Agoop営業企画部の福田純晴と申します。2年ほど前から技研商事インターナショナル様とお付き合いしており、セミナーでも何度か講演をさせていただきました。

2017年8月開催:「時間帯・曜日別に変化する商圏を掴むエリアマーケティングとは?」
https://www.giken.co.jp/seminar/20455/

会社紹介

 株式会社Agoopは2009年に立ち上がったソフトバンクグループの企業です。位置情報ビッグデータの収集、提供という領域に特化している企業です。エリアマーケティング用途のデータベースとして「流動人口データ」というGPS位置情報データを開発・販売しており、今回はその活用方法ついてご紹介します。

【株式会社Agoop会社概要】


 当社では、スマホユーザー向けに複数のアプリケーションを開発し、無償で提供しています(アプリ一覧: http://www.agoop.co.jp/apps/)。これらのアプリユーザー様より許諾を頂き、GPS位置情報を収集し、それをもとに「流動人口データ」を生成し提供しております。「流動人口データ」は現在、小売・流通、観光、公共など幅広い分野での活用実績がありますが、代表的なものとして2015年よりスタートした経済産業省と内閣官房(まち・ひと・しごと創生本部)が提供する地域経済分析システム(RESAS)https://resas.go.jpにも採用されています。無償でご覧いただけますのでご確認ください。

流動人口データとは

 さて、今回はこの「流動人口データ」をエリアマーケティング分野でどのように活用し、出店計画や既存店分析を進めていくかを具体的な例を用いて説明します。

【流動人口メッシュデータ】

 
 「流動人口データ」は先ほどご説明したように、スマホアプリのユーザー様より収集しているGPS位置情報ログです。24時間365日収集しており、「いつ・どこに・どれくらいの人がいるのか」を示せるデータです。従来から活用されている国勢調査の夜間人口、リンク統計の昼間人口とは違い、より人々の動きを掴んだ実態人口データとしての価値を持っています。携帯電話から収集される位置情報ビッグデータは昨今増えている印象ですが、この「流動人口データ」はアプリを利用して取得しているGPSデータであること、また独自の換算処理を行って総人口規模での解析を可能にした統計データである点が特徴です。なお、アプリが基となりますので利用しているスマートフォンのキャリアには依存しません。ソフトバンクユーザー様以外からも収集しております。

 まずは流動人口データをイメージしていただくために、以下の図をご覧ください。

 

【ある時間帯の流動人口分布】

 

 これは東京都内23区を中心に、ある時間帯の流動人口データをMarketAnalyzer™で可視化したものです。赤くなるほど人が多く滞在しており、少なくなるにつれて色が青っぽくなっていきます(凡例をご参照ください)。一定時間、上空からシャッターを押し続け人々の動きを撮影して切り取ったようなものとイメージしていただくと解りやすいかもしれません。新宿、渋谷、池袋などの主要駅に加え、浅草やスカイツリー、お台場などの観光・レジャースポット、また鉄道等の交通網に沿って赤くなっていることがわかります。これは「働いている」とか「住んでいる」とかに関わらず、人がそこに「いる」ことを示していて、当社では「人口ポテンシャル」と呼んでいます。エリアにおける人口ポテンシャルを示すのが流動人口データです。さらに以下の図をご覧ください。

【商業施設来訪者の推定居住地】

 

 上の図は東京都内のある商業施設へ来場した人の「推定居住地」を町丁目単位で可視化し、平日と休日を比較したものです。「どこから人が来ているのか」をこの地図から掴むことができます。この商業施設が立地する場所は比較的オフィス街としての色合いが強いエリアで、休日の来場者は28万人弱で平日は約2倍の53万人ほどでした。それに伴い来訪者の推定居住地も休日(左)と比較すると平日(右)はエリアが広いことがわかります。また平日は赤線で囲ったエリアから特に集中して来訪していることが見てとれます。

 

 流動人口データの概要をイメージしていただけましたでしょうか。人口ポテンシャルを掴むことで人が多いところ、増えたところに新規出店を検討する、人の移動を掴むことで既存店や競合店の商圏を把握して集客のためのエリア販促を行うなどの活用法が考えられます。ここからはより実践的な分析方法についてご紹介します。

新規出店時の分析

 まず、流動人口データを用いて出店候補地を評価してみましょう。下の図をご覧ください。

【既存店と新規出店候補地】

 

 大阪のあるエリアで、既存店(比較的売上が好調)の近隣にもう1店舗出店してみてはどうだろうか、と検討しています。多店舗展開される場合には、こういったケースも多いのではないでしょうか。新規物件においても、既存店と同等の売上を見込みたいと考えています。ここで既存店の業態に合わせ、MarketAnalyzer™を使って商圏を設定(ここでは徒歩10分圏)し、その商圏内における昼間人口データと流動人口データを比較しました。次の地図に示す赤いギザギザのラインが店舗から徒歩10分圏を表します。

【店舗商圏内の昼間人口と流動人口の比較】

 

 従来の昼間人口データでは出店検討地は約14,000人と既存店と同等であるのに対し、流動人口データを用いるとなんと約25%も商圏における人口ポテンシャルが低いことがわかります。さらに細かく見ていきましょう。今度は商圏を設定せずに、既存店舗と新規物件が存在する流動人口データ100mメッシュを見てみます。当社はGPSを用いてデータを収集しているため、このように細かなメッシュを活用できることが強みです。

【店舗・物件が存在する100mメッシュ内の流動人口】

 

 そうすると、既存店近辺と新規物件近辺とではなんと4倍近くも人口ポテンシャルの差があることがわかりました。今回検討した新規物件では、近隣の既存店と同等の売上を期待するのは難しいかもしれません。ネガティブな話かもしれませんが、このように分析することで出店の失敗を防ぎ、より人口ポテンシャルの高い(好調店と同等の流動人口があるエリアへの出店に切り換えることができるのです。

既存店分析

 今度は既存店分析における流動人口データの活用方法について説明します。静岡県のあるエリアにおいて、先程の新規出店時の分析と同じ発想で、実際に売上が好調な既存店舗(A店)の近くに、もう1店舗(B店)を出店してみたところ、売上が全く伸びない不調店になってしまったというケースです。

【既存店の比較】

 

 まずは店舗を取り巻く人口の状態を確認します。赤い四角の枠はそれぞれの店舗が存在する500mメッシュと100mメッシュです。500mメッシュで見ると、昼間人口はA店側が多く、流動人口はB店側が多くなっています。500mメッシュ単位だと、それぞれの店舗がメッシュの端に立地しているため、あまり参考になりません。より細かい100mメッシュ単位で見ても、11,400人と10,500人ということで大きな差はありませんでした。

 

 そこで流動人口の「時間帯別データ」を見てみました。するとA店(オレンジ)とB店(水色)とでは、夕方以降の流動人口に大きな開きがあることがわかります。

【時間帯別の流動人口】

 

 実はこれらの店舗は昼間と夜間で客単価が変わる業態であり、夕方以降の入店者数が売上に大きく影響します。一番重要な夕方以降の時間帯で大きく差が出ており、それが店舗の売上の差に影響していると判明したわけです。B店においては、A店より駅近であることを生かしてお客様の呼び込み場所を工夫したり、B店を利用したくなるようなキャンペーンを打つなどの対策が必要になってきます。

おわりに

 エリアマーケティングにおける流動人口データの活用方法について、チェーン企業の分析ご担当者の課題を想定しながら、新規出店と既存店分析の方法についてご説明しました。

 小売・流通分野において位置情報ビッグデータの活用はまだまだ始まったばかりと感じています。従来活用してきた人口統計データと置き換える、または一緒に使うことでこれまでわからなかったことがわかるというのが、今回のマンスリーレポートでお伝えしたかったことです。様々なエリアマーケティングデータがある中で「位置情報データって、必要かも」と感じていただけたら、こんなに嬉しいことはないです。少しでも興味を持っていただけましたら、是非お問い合わせください。最後まで読んで下さり有難うございました。

※Agoopでは技研商事インターナショナル様の「MarketAnalyzer™ Cloud」に流動人口データを組み込んだパッケージソリューション「AGPackage –Marketing Specialist」を販売しております。

■ 著者プロフィール

株式会社Agoop

営業企画本部 営業企画部 セールスマネージャー

福田 純晴

鳥取県出身。大阪市立大学卒。2015年に入社、ビッグデータ事業を担当。小売・飲食業から自治体、建設コンサル、学術に至るまで幅広い業界に対して流動人口データを駆使したソリューションを提供している。

 

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