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最新商業統計データを活用した商圏分析

月刊GSI 2017年8月号(Vol.74)

 今回のマンスリーレポートは、商業統計とその活用方法について紹介します。商業統計は居住地、従業地だけではなく、地域や商圏の商業性を把握するのに重要なデータです。

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商業統計とは?

 商業統計とは経済産業省が5年に2回調査する国の指定統計の1つで、小売業の事業所数、年間販売額、従業者数などが業種別・規模別に収録されています。最新版は2014年版で、当社はちょうど本年7月にエリアマーケティングGIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer™」用の統計データとしてリリースしたばかりです。1km四方の3次メッシュと500m四方の4次メッシュ単位で集計されているデータベースです。下の表は例として、神奈川県の武蔵小杉駅から自動車10分圏という範囲で商業統計に含まれるデータ項目の一部を集計したものです。

【 武蔵小杉駅自動車10分圏の商業統計データ集計値(一部)】

商圏特性を知る3つのターゲット軸

 商業統計データのエリアマーケティングにおける位置付けをご説明します。多店舗展開を行うチェーン企業は、ターゲットのボリュームや構成比が商圏内でどうなっているのかをGISで調査しますが、その際大きなターゲット軸が3つあります。居住特性とビジネス街性と商業特性です。

◯居住特性
 戸建てやアパート・マンション等の共同住宅が多ければ生活者ボリュームが多いと考えられ、また単純な人口総数や世帯総数だけではなく、年齢構造や家族構成、年収や貯蓄といった富裕度を確認します。ここで参照する人口は夜間人口であり、国勢調査や住民基本台帳に収録されています。 

◯ビジネス街性
 オフィスや店舗、工場に勤務する従業者が多ければ通勤前後のタイミングでの購買やサービス利用の機会が多いと言えます。一般的には昼間人口が活用され、これは総務省のリンク統計データに収録されています。昼間人口は厳密に言えば学校で勉強する通学者や昼間も自宅にいると想定される非就業者(専業主婦や乳幼児、老人)も含まれますので、分析テーマによってはリンク統計に収録されている従業者数を用いることもあります。

 ◯商業特性
 このターゲット軸では商業統計が活用されています。住んでいるところでもなく、働いている(勉強している)場所でもなく、買い物にいくところを分析するというイメージです。当社の商業統計には「商業人口」というデータ項目も収録しています。夜間人口や昼間人口では捉えられない、購買者、買い物客の流れを表した「第3の人口」とも言うべきデータ項目で、当社が独自に開発しました。人口という単位は共通しているので、夜間人口、昼間人口、商業人口を比較することによって、商圏がどのような立地特性をもつのかを判別することができます。

【 商圏特性を知る3つのターゲット軸 】

3つの人口の構成比を比較

 それでは商業統計データを用いたエリアマーケティング分析の例を見ていきましょう。まずは3つの人口を商圏内の構成比で比較するやり方です。先に紹介した武蔵小杉駅自動車10分商圏を見てみます。下の表は3つの人口の構成比です。参考までに新宿駅周辺と霞ヶ関駅周辺も同様に集計しました。

【 武蔵小杉駅自動車10分圏の3つの人口 】

 

 3つの人口の構成比をグラフに表すと以下のようになります。

 赤い星印が武蔵小杉を表します。夜間人口比が高ければベッドタウン性が強く、昼間人口比が高ければビジネス街性が強く、商業人口比が高ければ繁華街性が強いと言えます。霞ヶ関駅はビジネス街性、新宿駅は繁華街性、武蔵小杉駅はどちらかと言うとベッドタウン性の商圏特性をもつことがわかります。

商業力指数

 次は商業力指数です。商業力指数とは地域の商業力を表す指標のひとつで、商工会議所の検定である販売士の資格試験にも出題されています。

 以下のとおり、「商圏内の小売業年間販売額÷商圏内の人口」と、「都道府県の小売業年間販売額÷都道府県の人口」の比を見るものです。

 例えば新宿区を商圏とする場合、新宿区の小売業年間販売額(約1兆508億円)÷新宿区の人口(約32万人)=3,283,750(A)、東京都の小売業年間販売額(約14兆4,300億円)÷東京都の人口(約1,319万人)=1,094,011(B)で、新宿区の商業力指数は(A)÷(B)=3.00です。つまり東京都全体の商業力指数を1とした場合、新宿区は約3倍の商業力があると解釈できます。

駅商圏の商業力指数

 この商業力指数を用いて、東京都内の駅商圏を比較します。駅から徒歩10分圏をイメージして、各駅からそれぞれ半径800mの商圏を設定しました。商圏内の小売業年間販売額は商業統計データを、人口は国勢調査データを用いました。分析処理は商圏分析GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer™」で行いました。以下の表は、東京都内の駅徒歩10分圏の商業力指数トップ50です。東京や有楽町、銀座が上位に入っています。概ね想像通りといったところですが、指数の差に注目してください。新宿、渋谷、池袋を比較すると新宿は渋谷の約2倍、池袋の約3倍です。 

  

  【 東京都の駅商圏商業力指数ランキング 】

(※)注意
 徒歩圏の人口がゼロの場合は商業力指数が計算できません。また、人口が1人など極端に低い場合は、商業力指数が非常に高い値を示します。例えば東京モノレールの羽田空港第1ビル駅などは徒歩10分圏内に人口は1人しかおらず、商業力指数は新宿駅の1,200倍となってしまいます。これは現実的ではないため、今回は人口が1,000人以下の駅は集計から除外しています。

 

 【 商業力指数で駅を色分け 】

小売業事業所の開設年度

 今回の商業統計データには小売業事業所の開設年度別の事業所数も収録されています。昔ながらのお店が多いのか、比較的新しいお店が多いのかを見ることによって商業地の変遷を読むこともできます。

 先程の武蔵小杉駅自動車10分圏を見てみましょう。下のグラフは武蔵小杉駅周辺、神奈川県、全国という3つのエリアに存在する事業所を開設年度別の構成比で比較したものです。武蔵小杉は神奈川県全体と比較して、昭和59年以前の小売業事業所比率は約5%高く、平成24年~26年に開設された比較的新しい事業所の比率は約7%高いことがわかります。つまり古き良きお店もありながら新しいお店もできている商圏特性ということでしょう。

 

 
 下の2つの地図はそれぞれ、東京23区内の小売事業所の開設比率で昭和59年以前に開設された比率が高い上位5メッシュと、平成24年~26年に開設された比率が高い上位5メッシュを1kmメッシュ単位で赤く色塗りしたものです。

【 昭和59年以前の開設比率が高い上位5メッシュ 】

 

【 平成24~26年の開設比率が高い上位5メッシュ 】

 1~5は昭和59年以前に開設された事業所の比率が73.33%以上のメッシュで、足立区、葛飾区、江戸川区に集中しています。いわゆる下町や大規模団地のような土地柄の地域と言えるのではないでしょうか?一方で6~10は平成24年~26年という比較的新しい時期に開設された事業所の比率が18.37%以上のメッシュです。6はスカイツリーの足元、7は都営新宿線の篠崎駅前で区画整理により整備されたエリア、その他は湾岸エリアの港区と江東区です。

商業統計データの活用

 居住地や従業地(夜間人口や昼間人口)だけではなく、商業特性に注目することはエリアマーケティング分析における基本的視点です。商業統計の活用手法や事例は他にも色々あります。詳しくは当社までお問い合わせください。また、商業統計データの詳細については以下のページもご覧ください。


 ◎商業統計データの概要や仕様、価格についてはこちら

 ◎商業統計データの項目一覧はこちら

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