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エリアの目利き力を高める(基準値を満たす類似エリアの検索)

月刊GSI 2016年8月号(Vol.65)

 出店候補地をターゲティングする際、地域や商圏の人口等のターゲットボリュームはGIS(地図情報システム)を用いればすぐにわかります。しかしながら人口◯◯人といった数値が自社にとって多いのか少ないのかは、何かしらの基準(目利き力)がないと判断が困難です。本コラムでは「既に土地勘のあるエリアのターゲット指標の数値を満たす他のエリアはどこか?」をテーマに、エリア検索手法について解説します。

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1.GIS(地図情報システム)のエリア検索

 店舗の出店エリアを選定する際に、出店可能な不動産物件があるかどうかがそもそも重要ですが、一方で自社のターゲットボリュームがあるかどうかも重要事項のひとつです。

GIS(地図情報システム)に搭載されている各種統計データの集計単位の一つに、日本全国をメッシュという四角いマス目で区切った区画単があります。エリア検索機能を用いれば、「◯◯県で人口が◯◯人以上のメッシュはどこか?」というようにエリアを検索することができます。

 

2.新宿・難波型のエリアの定義

 小売・飲食・サービス業にとって、最も市場が大きそうなエリアと言えば、東京都の新宿や大阪府の難波などが思いつくと思います。まずは新宿や難波エリアはどういうところかをイメージしましょう。夜間人口型の居住エリアというよりは昼間人口型のビジネスエリア、買物にいくような商業エリアというイメージが強いでしょう。そこで総務省のリンク統計データに含まれる、「第2次・3次産業従業者数」という指標を採用します。これは製造業やサービス業に従事する人が実際に働いている店舗やオフィスの場所で調査されています。いわゆる昼間人口から専業主婦や超高齢者、乳幼児などを除いた指標です。次に飲食店という指標も採用します。これは経済産業省の経済センサスの飲食店数という指標があります。更に大型の店舗が集積している場所というイメージから、商業統計の小売業売場面積も採用します。

このように参考にしたいエリアから、ターゲット指標を定義します。まとめると以下の軸となります。

 

3.新宿・難波型エリアはどこか?

 では実際にエリアを検索する際の基準値をどうするかを検討します。これは参考にしたいエリアの各指標の数値を調べればすぐにわかります。今回の場合は新宿や難波の従業者数、大型店数、飲食店数を調べて、それ以上のエリアを検索すれば良いわけです。

 

 上の図は商圏分析用GIS「MarketAnalyzer™」のエリア検索機能の画面です。図のように定義した指標と基準値を選択・入力し検索します。第2次・3次産業従業者数を1kmメッシュあたり35,000人以上且つ小売業売場面積が120,000㎡以上のエリアを検索しました。図の右上に23という数値がありますが、該当するメッシュが全国で23カ所あるということを表します。

以下、該当メッシュを地図で表したものです。

◯東京都、神奈川県、千葉県 

 

愛知県

 

大阪府、兵庫県

 

◯広島県

  

◯福岡県

 

宮城県

 

北海道

 

 

4.立地ターゲット像によって検索するデータを変える

 ここまでは、新宿や難波というビジネス立地・商業・繁華街立地をテーマに検索をしましたが、例えば東京の原宿や下北沢というようなエリアも店舗の出店エリアとして有望ではないでしょうか?ではこのようなエリアはどういうエリアでしょうか?下北沢を例にまずはエリアを定義するところからはじめましょう。

 

5.下北沢はどんなところ?

◯下北沢のエリア定義

 実は下北沢という地名は存在しないので、下北沢駅から徒歩15分圏と定義します。

 上の地図の青いラインは下北沢駅を中心とした徒歩15分圏です。道路を分速80mで移動するという結果となります。右の表は15分圏にかかる町丁目の一覧です。横の数値は15分圏に町丁目の面積がどれだけかかるのかという面積占有率です。面積占有率が低い町丁目は除外しています。今回は代沢1丁目~北沢4丁目までを下北沢商圏と定義します。

 

◯下北沢エリアの商圏特性

 各種統計データを用いて下北沢商圏の特長を見てみます。GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer™」で自動作成できる調査レポートから、以下のグラフを見ていきます。

 

 【年齢構成】 

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  左の青が男性、右の赤が女性、上が85歳以上人口、下が0~4歳人口という5歳ピッチの正年齢別の人口ピラミッドです。棒グラフは実数で、折れ線グラフは構成比を表します。緑色の折れ線は日本全国、赤が東京都、青が下北沢エリアとなります。

3種類の折れ線グラフから、特に20代後半と30代前半の人口が目立ちます。

 

 【世帯構成】

 左から1人世帯、2人世帯・・・という人員別世帯の構成比で、上のグラフは下北沢エリア、真ん中が東京都、下が日本全国を表します。下北沢エリアは単身層(濃い青)の比率が非常に高いことがわかります。


【住宅関係】

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【小売業の業種別従業員構成比】

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  年齢と世帯人員、住宅関係は居住特性を読み解く場合によく用いられますが、商業性も見なくてはいけません。上のグラフは小売業の業種別の従業員構成比です。同じく上が下北沢エリア、真ん中が東京都、下が日本全国となります。織物・衣服・身の回り品といういわゆるアパレルに従事する従業員の構成比が高く、百貨店やGMS(総合スーパー)が無いことがわかります。

 

6.下北沢型のエリアを検索

◯エリアの条件設定

 このようにベンチマークとなるエリアの商圏特性を読み解いたら、データ上同じ属性を持つエリアをGIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer™」で検索していきます。

 

 東京都内から1km四方メッシュ単位で、20代後半~30代前半の人口が多く、単身世帯が多く、低層住宅が多く、アパレル関係の従業者が多く、百貨店や総合スーパーが無いエリアという条件を設定しました。

◯検索結果

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  上図の赤い部分が該当する1kmメッシュです。新宿や渋谷といった高商業集積エリアではないエリアが抽出されています。

 今回は東京都だけで、ターゲット指標のボリュームが多いエリアを検索しましたが、勿論全国から検索することもできます。その際にはボリュームだけではなく、構成比で検索したほうが良いかも知れません。いずれにせよ探索的に自社にとっての優先エリアを探していくことができます。

 

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