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国勢調査~国内最大級のリサーチデータ~2015年版の概況とエリアマーケティング活用

月刊GSI 2016年11月号(Vol.67)

 国勢調査は、我が国の人口の状況を明らかにするため、大正9年以来ほぼ5年ごとに行われており、平成27年国勢調査はその20回目に当たります。調査は国内に常住している全ての方を対象としており、最も基本的且つ国内最大のリサーチデータと言えるでしょう。

 元来、国勢調査の目的は各種行政施策のための基礎資料を得ることですが、エリアマーケティングにおいても様々な場面で活用されています。昨年の最新調査の結果が部分的に発表され始めていますので、ここで改めて国勢調査とエリアマーケティングについてご説明します。

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【最新2015年調査の結果発表】

 最新の調査は昨年10月に実施されましたが、1億2,700万人以上を対象としたアンケートですので、集計にもかなりの時間がかかるようです。データ項目や集計単位によって段階的に発表されています。2016年10月現在では人口総数、世帯総数、年齢別人口が市区町村単位まで発表されていますので、まずは最新の結果について見ていきましょう。

 参考までに、正式には公表されていませんが、エリアマーケティングで活用されるいわゆる小地域単位の集計データの提供は2017年秋~末頃になると思われます。

【人口が増えた市区町村と減った市区町村】

 人口総数は平成27年(2015年)10月1日現在、1億2709万5千人です。これは2010年の前回調査から96万3千人の減少(0.8%減)で、国勢調査の調査開始以来、初の人口減少となりました。一方で、約300の市区町村では人口が増加しています。人口増加率トップ3は東京都千代田区(23.83%)、福岡市新宮町(22.93%)、東京都港区(18.65%)となっています。以下に平成27年国勢調査の市区町村単位集計データと当社エリアマーケティング用GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer™」を用いて、トップ20ランキングを作成しました。

 左の表は人口が多い上位20市区町村です。やはり東京都の市区町村が多く、20市区町村中9市区町村を占めています。市区町村単位で比較する場合は、それぞれ面積が異なるため、人口密度という見方も必要となります。右の表は人口密度(= 1k㎡当たりの人口)が高い上位20市区町村です。東京都と大阪府が大半を占めています。

 左の表は平成22年から平成27年にかけての人口増加数が多い20市区町村です。全国的に見れば東京都にますます人口が集中しているということでしょうか。右の表は人口増加数ではなく増加率でランキングしました。東京都の場合、人口の都心回帰現象が見て取れるのではないでしょうか。

さらに全国の市区町村単位で人口増減数を地図上に見える化してみました。

 

【高齢化の現状?~年齢別人口】

 総務省からの発表第二弾として、本年10月に「人口等基本集計」が公表されました。主な内容は年齢別人口です。

  

 高齢者数と増加率が多いのは、都市部やある程度の規模の都市です。かつての新興住宅街の高齢化も影響していると思われます。高齢者率が高いのは、やはり地方です。

 

  一方で子どもはどうでしょうか。今回は0~4歳の乳幼児に注目してみました。元々人口ボリュームの多い都市部は高齢者も子どもも多く混在している様子も見て取れます。比率で見ると沖縄県が突出しています。

さらに全国の市区町村単位で平均年齢を地図上に見える化してみました。

 

 

 

【国勢調査のエリアマーケティング活用】

 エリアマーケティングにおいてよく利用される項目や注意すべき項目について、幾つか解説します。

■年齢別人口と人員別世帯数

 この2つのカテゴリは地域や商圏を知る上で最も基本的なものです。年齢別人口は性・年代別に、5歳刻みで収録されています。人員別世帯数は1人世帯、2人世帯・・・7人以上世帯数という項目です。

年齢や家族構成が異なればライフステージ・ライフスタイルが大きく異なるため、必須の分析対象です。

 

 

 上の図は東京都の豊洲駅と高田馬場駅それぞれ半径0.5km圏内の人口ピラミッド(2010年国勢調査より)です。豊洲駅はニューファミリー商圏、高田馬場駅は学生や若手の社会人商圏と言えるでしょう。それぞれの商圏特性に合致した店舗コンセプトや販促のコミュニケーションプランが必要になります。

 

■家族類型別世帯数

 上記の年齢と人員別世帯数をクロス集計した項目が幾つかあり、分析に非常に便利です。よく利用されるのは以下の4項目です。

 ・6歳未満の子どものいる世帯:いわゆるニューファミリー層。

 ・世帯主の年齢が20代の単身世帯:学生や新社会人の一人暮らし。

 ・高齢単身世帯:65歳以上の高齢者の一人暮らし。老人ホームの入所者は含まず。

 ・高齢夫婦世帯:夫婦のうちいずれかが65歳以上の世帯。

 

■一般世帯と施設等世帯

 「施設等世帯」とは、1)寮・寄宿舎の生徒学生、2)病院・療養所に3ヶ月以上入院している患者、3)老人ホームや児童保護施設などの入所者、4)自衛隊の営舎の居住者、5)刑務所や拘置所の入所者、6)ホームレスの方などを指します。人数単位ではなく、棟ごとや施設ごとに1世帯とカウントされています。この施設等世帯と一般世帯の合計が世帯総数です。

 

■産業(就業者と従業者)

 1次産業、2次産業、3次産業という産業分類別(職業別)の人口があります。1次産業は農林水産業、2次産業は鉱業・建設業・製造業、3次産業は上記以外と考えてよいでしょう。国勢調査に収録されているのはあくまでも居住地ベースの職業ですので、例えば「1次産業就業者」というのは農林水産業を仕事としている人が住んでいる場所を表します。よく混同されるのは総務省の「リンク統計」や経済産業書の「経済センサス」に収録されている「2次産業従業者数」などの項目です。こちらはその職業についている人が働いている場所を表します。

 

■データの集計単位と調査時期による項目の違い

 総務省のホームページやe-Statで公開されているデータは都道府県単位や市区町村単位ですが、当社では小地域単位のデータを提供しています。「地域メッシュ統計」という単位と「調査区」という単位があります。「地域メッシュ統計」は緯度と経度で日本全国を分割した四角いマス目のことで、エリアマーケティングでは3次メッシュ(1km四方)か4次メッシュ(500m四方)単位で集計されたデータが多く利用されています。国勢調査に関しては更に細かい5次メッシュ(250m四方)単位のデータもありますが、調査時点での政令指定都市しか公表されていないため若干使いにくい集計単位です。「調査区」(正式名称は「町丁・字等集計」)は乱暴に言えば町丁目単位で集計されたものですが、各自治体が行政サービスに用いる町丁目とは異なります。

  

【データの集計単位の違い】

 

 メッシュと町丁・字等別では収録されている項目も若干異なるため注意が必要です。また、5年毎の国勢調査は毎回同じ項目を調査しているわけではなく、簡易調査と本調査を交互に実施しています。当然本調査のほうが調査項目は多いです。

 

■網羅性

 国勢調査の網羅性が話題になることがあります。まず、調査年の10月1日時点の人口という前提があります。また調査対象が不在の場合など、回答が得られるまで調査し続けるということはないでしょう。正式に公表はされていませんが、最終的な網羅率は項目によって異なるものの、人口や世帯などの基本項目は97%前後と言われています。大前提として、国勢調査への回答の義務は統計法という法律で定められており、罰則規定もあります。調査票に含まれる個人情報は個人情報保護法の適用対象外ともなっています。また、調査対象者が不在などで調査が困難なときは、各自治体に住民票の情報を照会したり、隣の家に聞き取り調査などを行うことができるということも統計法に定義されています。

 

■住民基本台帳との違い

 住民基本台帳データもエリアマーケティングに活用できますが、同じ人口や世帯というデータ項目がありながら、国勢調査とは全く別のデータベースです。国勢調査は実際の居住地ベースですが、住民基本台帳はあくまでも住民票があるところのデータです。国勢調査は約300項目あり、消費者をセグメントできる項目が多彩ですが、住民基本台帳は人口総数、性・年代別人口や世帯数しかありません。国勢調査は5年周期ですが、住民基本台帳は毎年分析することができます。両者の長所を活かして上手に使い分ける必要があります。 

【終わりに】

 国勢調査は消費者をセグメントする国内最大級のリサーチデータです。人口総数や世帯数総数だけではなく、ターゲットを見える化できる様々な項目を収録しています。最新調査結果の公表予定をにらみつつ、今一度利活用を検討されてはいかがでしょうか?

 当社では商圏分析・エリアマーケティング分野のデータ活用事例セミナーを定期開催しております。そちらも併せて是非ご覧ください。

http://www.giken.co.jp/seminar/now/

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