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新旧居住者プロファイリングデータで見る地域特性の変化

月刊GSI 2014年5月号(Vol.40)

 弊社では、地域ごとの居住者の特性を容易に把握できる居住者プロファイリングデータを開発し、人口動態などの量的側面からマーケットボリュームを測る従来の手法と異なった視点をご紹介しており、その有用性が評価されています。

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1.居住者プロファイリングデータとは

 まず、居住者プロファイリングデータをどのように作成しているか、簡単にご説明します。居住者プロファイリングデータは国勢調査の主要60項目(年齢別人口、世帯人員別世帯数、住宅所有関係、住宅の建て方、就業関係等)を用いて作成しています。これらのデータを主成分分析を用いて縮約し、生成された9つの因子得点を用いてクラスター分析を行い、日本全国を30の居住者特性に分類しています。
 2010年版となる新しいデータは2005年版の分類モデルを踏襲して作成しています。分類パターンは2005年版と同じ30パターンです(図1)。これにより、2010年と2005年の地域別居住者特性の移り変わりが可視化されました。

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【図1 居住者特性の30分類】

2.地域特性の変化

 具体的に地域別の居住者特性の移り変わりを、商圏分析用GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer™」を用いて見てみましょう。図2は2005年国勢調査に基づく居住者プロファイリングデータ(首都圏モデル版)、図3は2010年国勢調査に基づく居住者プロファイリングデータ(首都圏モデル版)です。同じ色は同じ居住特性を示しています。

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【図2 2005年版 居住者プロファイリングデータ(首都圏モデル版)】

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【図3 2010年版 居住者プロファイリングデータ(首都圏モデル版)】

■郊外の高齢化進行
 2010年版では国道16号線沿いに黄色のエリアが目立つようになりました。黄色は中分類で田園都市とネーミングされているエリアで、居住特性の特徴として高齢化が挙げられます。
 国道16号線沿いのエリアのほとんどは郊外に当たる箇所です。80年代にかけて地価高騰が進んだ時代に持ち家を求めて人々は郊外での生活を選び、その際に入居したニューファミリーの親の世代が30年経過した今、高齢化を迎えています。都市部から都市近郊にかけては2000年以降、都市再開発が行われ人口増加傾向にありますが、この郊外エリアは人口減少に転じています。

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【図4 南桜井駅半径1km圏内の年齢階級別人口構成】

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【図5 東京都浜町駅1km圏内の年齢階級別人口構成】

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【図6 南桜井駅半径1km圏内の住宅所有関係別世帯数】

 国道16号に近い埼玉県春日部市の南桜井駅1km圏内の年齢階級別人口構成を見てみましょう(図4)。団塊世代の人口構成比が全国平均、埼玉県平均と比べて突出しているのに比べて、団塊ジュニアの構成比が相対的に低いという結果が出ています。図6は南桜井駅半径1km圏内の住宅所有関係別世帯数です。持ち家世帯比率が突出しています。持ち家を購入すれば購入した世代の流動性が低くなり、所有者である世帯主の層は長年その土地に留まり続けます。一方、子供世代は就学、就職など新しい生活環境の変化により親元を離れるとともに、現在のニューファミリーは交通の利便性の問題からこのエリアを敬遠するなどして、結果として団塊の世代の構成比が突出する人口ピラミッドが現れたと考えられます。このようなエリアでは10年、15年後には団塊の世代が後期高齢者となり、介護サービス等の高齢者対策が必要になるでしょう。

■都心回帰
 図7はクラスター別の人口、世帯の増減を集計したものです。上述のとおり、黄色のクラスター(高齢化、人口減少)はエリアが広がり、増加が目立ちます。一方、ピンク色の都心富裕層も増加しています。図2、3の地図を比較してもエリアの変化はあまりありませんが、近年うたわれる、都心回帰の姿が現れています。

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【図7 クラスター別人口、世帯数推移(2005年、2010年比較)】

 都心富裕層の多い東京都中央区では、図8の通り全体的に人口が急増していることが分かります。人口が大きく増えている東京都浜町駅1km圏内の人口ピラミッドをご覧ください(図5)。団塊ジュニア世代が突出しています。また、幼年人口も増加傾向にあります。

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【図8 東京都中央区の人口増減】

3.まとめ

 居住者プロファイリングデータの年度推移を見ることで、地域別のライフスタイルの変遷が浮かび上がります。
 郊外においては高齢化問題が生じており、直近では退職金やこれまでの貯蓄などによるシニア消費が旺盛と考えられます。これらのエリアはシニア向け消費のターゲットエリアとなるでしょうし、中長期的には介護需要が急増すると考えられます。
 都心部については、働き盛りの団塊ジュニア、子育てに忙しいニューファミリーの親の世代が多い傾向があるため、生活利便性を高めるための都市型小商圏フォーマットの店舗展開などが考えられ、エリアマーケティング戦略立案の参考になります。

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【付録 居住者プロファイリングデータ解釈表(首都圏モデル版)】

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