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ドラッグストア・調剤薬局の出店可能エリア分析

月刊GSI 2014年1月号(Vol.36)

 ドラッグストア・調剤薬局は小売業の中でも出店意欲が旺盛な業界です。今回は両業態の出店可能エリアを既存店舗の供給状態と人口動態から探る事例をご紹介します。

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1.分析エリアと分析の概要

 1都3県を500mメッシュ単位で、都市・近郊・郊外という軸でクラスター分析により分類します。そして分類ごとに現状の各社の出店状況と人口動態(人口総数、高齢者のみ世帯数)を比較し、需給のアンバランスなエリアを検索しました。

2.分析手順

■STEP1 エリアクラスター分析
 国勢調査の主要60項目を主成分分析し、9つの因子に縮約したスコアを投入変数としました。各メッシュが持つ9つの因子スコアからクラスター分析によって立地特性を分類し、「都市」「近郊」「郊外」の3つのグループを定義しました(図1)。

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【図1 エリアクラスター分析マップ】

 表1では各クラスターの解釈結果をまとめています。グループごとの因子平均値を算出し、因子スコアが高いグループを緑、低いグループを赤でマーキングします。以下は各クラスターの特徴です。

○都市
 ・都市居住性因子が高い
 ・若者が多く、共同住宅住まいが多い
○近郊
 ・ファミリー関連の因子が高い
 ・都市近郊の住宅街に分布
○郊外
 ・高齢者、2次産業、大家族関連の因子が高い
 ・郊外の1次産業、2次産業従事者

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【表1 エリアクラスター解釈表】

 都市・近郊・郊外それぞれのエリア分類に属する以下の3つの駅周辺の人口構成を比較しました(図2)。

○都市(三軒茶屋/東京都)
 ・若者が突出。
 ・ニューファミリー、シニア構成比が低い。
○近郊(新座駅/埼玉県)
 ・ニューファミリー世帯が多い。
 ・若者、シニア層の構成比は低い。
○郊外(小川町駅/埼玉県)
 ・シニア層が突出。
 ・シニア層以外の構成比は低い。

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【図2 エリアクラスター別人口特性(代表的な3つの駅)】

■STEP2 エリア分類別、出店可能エリア分析
 エリア分類ごとに店舗ニーズや出店可能エリアは異なります。ドラッグストアや調剤薬局データを用いながら、テーマ別の出店可能エリアを検索します。

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【分析手順】

○都市型DgSターゲットエリア
 都市部において都市型小商圏フォーマットのDgSが急激に増加していますが、DgS 1店舗当たりの人口が多く、店舗供給が追いついていないエリアを検索しました。
 都市部のDgSの出店は飽和状態にありますが、DgS 1店舗当たり人口の需給バランスで見た場合、局地的に供給不足のエリアが散見されます(図3)。

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DgS 1店舗当たり人口が極端に多い個所
【図3 都市 DgS供給が少ないエリア】

○近郊クラスター:調剤薬局の出店空白地検索
 郊外型調剤薬局において、人口が多いものの、調剤薬局が存在しない出店空白エリアを検索しました。
 近郊ベッドタウンに調剤薬局の供給がないエリアが点在しています(図4)。

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周辺に調剤薬局がないエリア
【図4 近郊 調剤薬局の出店空白エリア】

○訪問調剤ターゲットエリア
 高齢化が進む郊外エリアでは、団塊の世代が後期高齢者となる2025年には65歳以上人口構成比が平均で40%を超えると予想されます。高齢者の移動範囲は限られ、訪問調剤の必要性が高まると考えられます。この郊外エリアで高齢者のみ世帯が多く、調剤薬局の店舗が少ないエリアを訪問調剤の採算性が高いエリアと定義し、検索しました。訪問調剤などのサービスを必要とするターゲット層(高齢者のみ世帯)が多く、周辺に競合店舗の少ないエリアを採算性の見込めるエリアとして絞り込みました(図5)。

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高齢者のみ世帯(高齢単身・高齢夫婦のみ世帯)が多く、周辺に調剤薬局の競合が少ないエリア
【図5 郊外 訪問調剤の採算性が高いエリア】

3.まとめ

 居住特性の違いに起因する店舗の需給バランスに焦点を当ててレポートしました。居住特性はライフスタイル、ライフステージによって定義しましたが、それぞれのシーンに関連深いテーマを用いて需給バランスのギャップのあるエリアを抽出しました。全国画一的な出店基準では浮かび上がらない出店候補地もあります。今回のように、都市階級に応じて基準を設ける等、出店余地検索には様々な工夫ができます。

「住民基本台帳2013年版でみる人口動態の変化」

1.概要

 住民基本台帳データは各市町村で管理する住民票をベースに、町丁目別に人口、世帯数、性年代別人口を公表したデータです。エリアマーケティングの領域では従来、町丁目別に毎年リリースされる鮮度の良い人口動態データとして利用されてきました。本項では今回新たにメッシュデータで推計された最新の2013年版データを基に、データ概要と国勢調査との違いを調査面・データ面で比較します。

2.住民基本台帳データの必要性

 住民基本台帳は毎年公表される点に大きなメリットがあります。国勢調査は2010年10月時点の調査であり、東日本大震災後の人口動態はつかめません。東日本大震災では被災地はもちろん、原発事故の影響による放射能の問題で、関東地方にも人口動態の変化が表れている可能性があります。この変化をつかむために住民基本台帳データは役立つはずです。

3.国勢調査との違い

 まず調査方法が異なります。住民基本台帳は市町村に住民登録(入管法等改正法により、外国人住民も2013年版より完全収録)している方を対象に調査したものであるのに対し、国勢調査は住民基本台帳で届出が出されている住所にかかわらず、2010年10月時点で継続的に居住している人を対象とした調査です。つまり、転居したものの、住民票を転居先で登録していない場合、住民基本台帳は転居前、国勢調査では転居後の住所でカウントされます。
 また、収録項目も異なります。住民基本台帳は性年代別人口と世帯数のみですが、国勢調査は性年代別人口、世帯人員別世帯数、職業、職業など多岐にわたる項目が収録されています。居住特性を詳細に測りたい場合は国勢調査が有効です。ただ、前項でもふれたように、データ更新頻度が住民基本台帳は毎年、国勢調査は5年に一度であるため、住民基本台帳の方がデータ鮮度は高くなります(図1)。

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【図1】

4.住民基本台帳メッシュデータ

 住民基本台帳はもともと町丁目単位で収録されているデータですが、店舗の商圏調査で多く利用されているメッシュ単位でも整備されています。これは住宅地図メーカーのゼンリン建物ポイントを用いて建物按分という手法で推計したものです。図2をご覧ください。町内は、河川の影響で居住人口がいないエリアと住宅街エリアに分かれていますが、密集度合いを用いて町の人口、世帯数を100mメッシュ・500mメッシュに割り振っています。この住宅密集度合いはゼンリンの住宅地図を用いて算出しています。

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【図2】

5.100mメッシュのメリット

 最近では都市部の再開発が進み、人口の都心回帰が進んでいます。流通各社は人口が増加する都市部において、様々な工夫をしながら店舗網を拡大しています。その中で都市型小商圏フォーマットの店舗が増加しています。都市型小商圏を分析するうえでより細密なメッシュのニーズは高まっています。それに対応するデータとして100mメッシュは有効です。豊洲駅周辺の人口分布を、図3-1では従来の500mメッシュ、図3-2では100mメッシュで表してみました。細密な人口分布が一目瞭然でわかります。

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【図3-1】

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【図3-2】

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【図3-3】

 また、商圏単位でデータを集計する場合、メッシュ単位の値を面積按分します。どの単位のデータを集計するかによって商圏内の数値が異なってきます(図3-3)。より細密なメッシュの方が誤差の少ない面積按分が可能になります。

6.人口推移で比較する2013年住民基本台帳と2010年国勢調査

 先述の通り、国勢調査と住民基本台帳は調査方法の違いがあり、単純比較はできませんが、東京都有明テニスの森駅周辺の2010年国勢調査と2013年住民基本台帳の人口を比較してみます(図4)。各メッシュ内(500mメッシュ)の数値の上段は2013年住民基本台帳、下段は2010年国勢調査です。有明テニスの森駅周辺はタワーマンションが最近林立したエリアで、人口変化が激しいエリアです。わずか3年の間に500mメッシュで5000人以上、7倍近く人口が増加したことになります。

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【図4】

7.駅別の比較

 各駅500m圏内の2013年住民基本台帳と2010年国勢調査の人口総数を集計し、増減率を算出しました(図5)。
 人口が特に増加しているエリアとして、武蔵小杉駅、大宮・さいたま新都心駅周辺、六本木・虎の門・新橋駅が該当しました。武蔵小杉駅や大宮駅・さいたま新都心駅はいずれも鉄道利便性が向上したことにより、住宅開発が進み人口増加しているものと考えられます。また、都心部の六本木・虎の門・新橋についてもまさに都市再開発に伴うタワーマンション開発が進んでいるエリアです。

 意外だったのが池袋駅周辺で、人口減少の傾向が出ています。

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【図5】

8.まとめ

 住民基本台帳メッシュデータを用いることで、最新の人口動態の把握や都市型小商圏分析が可能になります。国勢調査と住民基本台帳は調査方法が異なるため、単純比較はできませんが、本コラムで検証した結果を見る限りより詳しい人口動態の推移はつかめると思います。

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