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経済センサス(平成24年)から見る地域別経済活動の類型

月刊GSI 2013年12月号(Vol.35)

本稿では商業力を測る基礎的な統計として使用される経済センサスを用い、地域別の経済活動の特異性を導き出す分析手順をご紹介します。

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1.経済センサスとは

 経済センサスは、事業所及び企業の経済活動の状態を明らかにし、我が国における包括的な産業構造を明らかにするとともに、事業所・企業を対象とする各種統計調査のための母集団情報を整備することを目的として、総務省及び経済産業省が中心となって実施しています。
 これまで、産業を対象とする大規模統計調査には事業所・企業統計調査、サービス業基本調査、商業統計調査などがあり、産業分野ごとに各府省がそれぞれ異なる年次及び周期で実施してきました。このため、既存の大規模統計調査の結果を統合しても、同一時点における我が国全体の包括的な産業構造統計を作成できない状況であり、また、国民経済に占める割合が高いサービス分野の統計の不足が指摘されていました。このような背景により、経済活動を同一時点で網羅的に把握する経済センサスが実施されました。
 平成21年7月、経済センサス(基礎調査)の実施に伴い「事業所・企業統計調査」と「サービス業基本調査」が廃止され、「平成21年商業統計調査」「平成23年工業統計調査」「平成23年特定サービス産業実態調査」が休止、その後平成24年2月には、売上高や費用等の経理項目の把握に重点を置いた経済センサス(活動調査)が実施されました。

2.分析手順

 今回の分析では、商圏分析用GIS(地図情報システム)「MarketAnalyzer™」で平成24年2月に実施された経済センサスの「産業大分類別事業所の売上(収入)金額試算値」市区町村を使用します。経済センサスは全産業を網羅したものですが、今回は一般消費者に近い産業として、①卸売業・小売業、②宿泊業・飲食サービス業、③生活関連サービス業・娯楽業、④医療・福祉の4区分について地域別経済活動を類型化します。また、産業ごとに市場規模が大きく異なる(表1)ことや、大都市などの人口密集地で市場規模が大きくなることが容易に想像できるため、従業者1人あたりの売上高を偏差値に置き換えてからクラスター分析を行い、地域を10分類しました。

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【表1 産業区分別市場規模】

3.分析結果

 分析の結果、どの産業においても従業員1人あたりの売上高が高い地域や、いずれかの産業のみが高い値を示す地域などの特徴が導き出されました。(表2、図1、2)
 産業ごとの従業者1人あたりの売上高が高い地域は高単価商品を販売しているか、あるいは商品価格を問わず集客効率が良い地域であると推察され、逆に低い値を示す地域は購買活動が他地域で行われているなど買い物人口の流出傾向があると推察されます。特に前者は経済活動が活発だと考えられ、お店を出店する際には魅力的な地域と考えられます。

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【図1 産業クラスター分布(東京都)】

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【図2 産業クラスター分布(大阪府)】

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【表2 クラスター別の特徴および産業別従業員1人あたりの売上高偏差値】

「待機児童問題に対するエリアマーケティングによる考察」

 既婚女性の社会進出の妨げの一つである待機児童問題が、本年度4月に横浜市ではゼロになったと大々的に報じられました。全国で待機児童は2012年10月時点で46,127人いるそうですが、この問題を抱えているのは都市部が大半です。今回はその一つである大阪府の待機児童MAPを作成したいと思います。

1.待機児童問題と横浜市

 待機児童の定義は「入所申込が提出されており、入所要件に該当しているが入所していない児童」を指します。しかしながら、特定の条件に該当する場合は待機児童から除外され、入所保留児童と定義されます。特定条件とは①育休中、②転所希望、③自宅で休職中、④保育ママ・一時保育利用者、⑤特定の保育所を希望するものが挙げられます。式で表すと
待機児童=新規入所申込数-新規入所児童数-入所保留児童数
と表されます。斡旋された保育所が希望条件に合わないため断ったり転所を希望しても、待機児童から除外されます。
 横浜市は2010年の待機児童数1,552人というワースト記録から3年で待機児童数がゼロになりました。受け皿となる保育所や定員を増やしたことも勿論大きな要因ですが、一部報道で、希望の保育所に行けない入所保留児童数が1,746人いる、あるいは保育の質が下がったとも伝えられました。

2.待機児童問題と大阪府

 2013年4月現在、大阪府には保育所が1,262ヵ所あり、総定員数は139,310人、利用児童数は144,993人、待機児童数は1,390人と発表されています。市区町村別で定員数が多いのは東大阪市の6,797人、枚方市6,023人、大阪市平野区5,145人。待機児童が多いのは大阪市287人、東大阪市230人です(図1)。大阪市内では福島区の53人、西区の51人が多いようですが、待機児童率で見ると中央区16.5%、福島区14.6%、天王寺区12.0%となり、待機児童率の高いエリアは大阪市内に集中しています(図2、付録) 。

 今回は単純に待機児童数だけではなく、入所できていない児童数(入所保留数)に注目し分析を行います。

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【図1 左:保育所定員数 右:待機児童数】

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【図2 大阪市内の待機児童率】

3.分析結果と解決への示唆

 地域ごとの入所申込数に対する入所保留数の割合を算出したところ、入所保留数割合が30%を超えている問題地域は福島区・北区・都島区・西区・阿倍野区・此花区・中央区でした(図3)。

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【図3 対申込保留率と保育所別定員数)】

 保育所定員は減らないものとした場合、0~4歳人口は各区で減少することが予想されますので、人口減少を待てば待機児童問題は解決しますが、当然それまで待つことはできません(図4)。

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【図4 0~4歳人口の減少数(2010年-2020年)】

 続いて、保育所新設による解決を期待し、地価公示価格を参考に、保育所新設の可能性を探ってみます。結果的には北区・中央区への新設は敷地面積の問題でかなり難しそうです。一方、都島区・福島区・西区・此花区は比較的実現性が高そうです。(次頁図5)

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【図5 平均地価公示価格】

 一方、待機児童の年齢構成は地域により異なります。認可保育では保育士1人が保育できる人数は0歳児3人、1歳~2歳6人、3歳~4歳20人、4歳以上30人です。0・1歳の待機児童が多い福島区、淀川区と2歳以上の待機児童が多い城東区、西区では対処法を変えたほうが良いのではないでしょうか。
 いずれにせよ新設のハードルを下げる・保育可能人数を増やす・保育士の給与保証等の規制緩和や補助は必要ではないでしょうか。

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【図6 年齢別待機児童数分布(左:0歳待機児童数 右:1歳待機児童数)】

 

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【付録 大阪府市区町村別待機児童数】

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