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「地域の特性と統計データ検証」~リアル店舗におけるジオデモデータの読み解き方~

月刊GSI 2013年11月号(Vol.34)

 インターネット通販最大手、アマゾンの勢いは衰えを知らず、リアル店舗への影響がますます取りざたされています。最近では、アマゾンがメーカーとタイアップして商品を共同開発するという動きも加速しているようです。そこには、巨大な嗜好性データの蓄積があり、またそれらを有効に活用していこうというメーカー等商品の作り手側の動きが一層顕在化してきたということでしょう。

 インターネット通販にカテゴライズされるこの販売形態が更に大きな力を持つ中で、 “人”と“圏域”と“行動”の観点からエリアマーケティングを考察します。

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1.はじめに

 インターネット通販最大手、アマゾンの勢いは衰えを知らず、リアル店舗への影響がますます取りざたされています。最近では、アマゾンがメーカーとタイアップして商品を共同開発するという動きも加速しているようです。そこには、巨大な嗜好性データの蓄積があり、またそれらを有効に活用していこうというメーカー等商品の作り手側の動きが一層顕在化してきたということでしょう。
 インターネット通販にカテゴライズされるこの販売形態が更に大きな力を持つ中で、 “人”と“圏域”と“行動”の観点からエリアマーケティングを考察します。

2.買物をする人、時間、場所

 人がモノを購入する際の購買動機にはどのようなものがあるのでしょう。
 そもそも目的はある(目的買い)のでしょうか、目的のない衝動的な買物(衝動買い)なのでしょうか。そして衝動に駆られるきっかけとは?また、その購買はいつ行われたのでしょう。平日の通勤や帰宅途中やすきまの時間または休日のレジャーの合間でしょうか。そして、それらはどこで行われたのでしょう。自宅の近くのやや大きなショッピングセンターまたは駅中の商業施設、もしくは商店街に居並ぶおしゃれな個人ショップでしょうか。そしてその買物をした人はどのような人なのでしょうか。男性、女性、年齢や趣味・趣向、家族構成は?

 架空の顧客像を設定し、上記のような顧客のプロファイルを肉付けていくマーケティング手法として、ペルソナがあります。新商品の開発時や販売促進において、各メンバーが具体的なターゲットイメージを共有しながら方策を進めていくことができます。 
 エリアマーケティングにおいては、ペルソナのプロファイルに、その地理的集団での傾向要素や周辺居住空間での立地的要素を加味していくことができます。
 浅草エリアを擁する台東区は高齢者の多い下町でありながら、近年はマンションの増加により居住者が増加する傾向にあります。他には相対的に世帯年収が高めのファミリーが増加傾向の江東区、ここ5年でますます子供が増加している江戸川区、など統計データからそれぞれの区の特徴が見えてきます。また、特別用途地区など地方公共団体の条例で定められた地域においては、その地域の特徴や雰囲気、傾向がより強く出ると言えるでしょう。

3.リアル店舗と付加価値

 インターネット通販は、仮想空間上の店舗で行われます。その手軽さから衝動買いをするケースも多い一方で、多数の消費者がレビューを丹念に読み込み、自らの目的や要望に合った商品を発掘するか、その精度を少しでも上げようとします。そこから繰り出されるレコメンド商品は、最近の解析精度の向上も相まって非常に消費者の欲求をくすぐるものと言えます。

 一方のリアル店舗はどうでしょうか。商品を手に取り品定めする人々は、購入の意欲が当初から強いかどうかはそれぞれですが、当然のことながら商品を手に取り、サイズを見たり色を見たり、手触りを感じたり、と様々な要素を確認します。なぜならそこにはレビューが出てこないのです(店員から話を聞くことはできますが)。また、一人で買物をしているか、家族や友達など、誰と買物をしているかも大きなポイントです。リアル店舗はその売場という空間において、単なる販売だけではない価値を創造しているように思えます。

image5生活圏と流動圏の中でリアル店舗があり購買が発生している。
【ネット通販とリアル店舗との購買の概念図】

 上の図はネット通販とリアル店舗の購買概念図ですが、インターネット通販はますますネットの利便性を最大限に活かしデータベースを拡充していくでしょう。それは「あいまいな目的買い」の欲求を満足度高く満たしながら今後も成長していくでしょう。対してリアルな店舗では、地域住民や流動する人たちとのリレーション醸成がいよいよ重要になってくるでしょう。商品の買いやすい売場作り(買い手は誰か)や、非日常的な効果の演出、楽しさの創出などが付加価値となり、人を惹きつけるでしょう。

4.地域特性と統計

 概念図では、人の日常の行動範囲を生活圏と移動圏に大きく分類しました。生活圏の定義は、日々の衣食住における最低限の生活距離圏であり、国交省では小学校区を生活圏域としています(図1)。今回のテーマでは生活圏域地図の細かい説明は割愛しますが、今後の月刊GSIにて取り上げる予定です。
 かたや移動圏とは、日々の生活の中で通勤、通学などにより上記の生活圏を飛び出して移動する範囲を言います。これは個々人により大きく異なるでしょう。リアル店舗にとっては、その圏域内の人々のデモグラフィックな属性情報が重要であり、購買動機を喚起する際の基礎情報となることも確かです。その地域に住んでいる人の性別、年齢をはじめ地域的な傾向や特徴を推量することで店舗のマーチャンダイジングや売場作りに役立てることができます。表1は地域の傾向や特徴を推し量るのに役立ちそうな統計データを抜粋したものです。大きく全体量を見るものと、全体の中での比率によるバランスを見ていくものがあります。

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生活圏域は暮らし圏であり商圏である。
【図1 生活圏域界】

5.統計データを読み解く

 各統計データを読み解く例を挙げていきます。大原則というものはありませんが、推量するにあたり、この地域は○○な傾向がありそうだという際の参考にしたり、実際に他地域と比較検証したりすることで、統計値との相関性やある種の親和性が見てとれます。

◆15歳以上人口_女性人口(パート・アルバイト)
 特にパートに勤めている女性が多い地域であれば平日の日中~夕方の購買が比較的活発な地域。

◆人口(居住期間)
 地域との密着度や流入・流出のバランスを測るデータとして。

◆在学者
 在学者のボリュームゾーンの違いは地域の一体感や生活圏域の違いを生み出す。

◆世帯人員別一般世帯数
 人員の数は一般的に食品や日雑品等の金額に比例するため、周辺のスーパーマーケットやドラッグストア、コンビニエンスストアにとっては重要な指標。※CVSは単身世帯向け商品に力を入れているためその指標としても。

◆世帯の家族類型別一般世帯数
 高齢者か若者か、どちらの単身が多いかという切り口で見た際のマーチャンダイジングに。高齢者中心であれば営業開始時間を早めるなども付加価値として取り上げられる(若者は逆に深夜まで開店)。

◆住居の面積別一般世帯数
 面積別のボリュームゾーンにより、その地域での持家、借家、収入など大まかな地域感がイメージできる。

◆指標項目
 年齢=地域の老若、世帯構成=想像される消費傾向、就業状況=地域の就業活性度と休・平日と昼夜間の自由時間の傾向など。

◆時系列比較
 その地域の増減傾向を5年間で比較。若返っているか、高齢化しているか、または人が減って地域の魅力が薄れてしまっているか。また持家と借家の増減バランスは、将来的な展望という観点でも重要な要素になるでしょう。

6.まとめ

 江戸川区では子どもを育てやすいように様々な政策を実施しているため、年少人口の統計値を調べたことがあります。この際に他の都内の特別区の数値と比較してみました。結果は想像した通り、江戸川区では他区と比較して年少人口の実数値も構成比も高いのです。地方自治体による政策は、リアルに人口動態に影響していると感じました。今回は区を調査範囲としましたが、店舗ごとの商圏として距離圏や時間圏で比較した時にどんな違いがでるのか、また機会を見つけて調べてみたいと考えています。

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【表1 地域特性を読み解く統計データ】

「国土数値情報ダウンロードサービス利用のすすめ(その3)」

1.はじめに

 本稿では、国土交通省【国土数値情報ダウンロードサービス】が提供している、無償ダウンロード可能なデータを定期的にご紹介しています。

MonthlyReport 2013年2月号では、「国土数値情報ダウンロードサービス利用のすすめ(その1)」として【国土数値情報 交通流動量 駅別乗降数データ】をご紹介しました。平成22年に東京都市圏で実施されたパーソントリップ調査の結果を駅毎に集計したデータで、乗車駅まで(降車駅から)の交通手段別とその人数が収録されています。また、 MonthlyReport 2013年6月号では、 「国土数値情報ダウンロードサービス利用のすすめ(その2)」として【国土数値情報 用途地域(面)データ】をご紹介しました。こちらもご興味あればぜひご覧ください。

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【図1 国土数値情報ダウンロードサービス】

2.現在ダウンロード可能なデータ

 2013年5月1日現在で7分類64種類のデータが公開されています。まずは下記URLへアクセスしてみて下さい。

 http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/gml/gml_datalist.html

 各データの項目名をクリックすると、関連する法律、データ作成年度、原典資料、属性情報を確認でき、データファイルをダウンロードできます。
 この半年の間に【用途地域(面)】【平年値メッシュ】【都市地域土地利用細分メッシュ】の3種類のデータが新たにダウンロード可能となりました。
 ファイルはXML形式またはSHAPE形式ですので、MarketAnalyzer™でご利用される場合は事前に担当営業へご相談ください。

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【表1 国土数値情報ダウンロードデータ一覧】

3.ダウンロードデータの活用

 今回は【国土数値情報 平年値メッシュデータ】に注目してみました。このデータは [降水量][気温][最深積雪][日照時間][全天日射量]の過去30年間の観測値を平年値として1kmメッシュで収録したものです。
 実際にこのデータを「MarketAnalyzer™」にインポートし、日照時間を可視化してみます。
 関東圏では山梨県や静岡県南部で日照時間が多いことが一目で分かります。
 気象庁のウェブサイトでも同様の地図が公開されていますが、「MarketAnalyzer™」上で使用することで、気象条件に合致する物件を抽出することができます。具体的な利用例として、気象条件によって発電効率が左右される新エネルギーの発電場所の選定などが考えられます。

■平年値メッシュデータの収録項目
・3次メッシュコード
 1kmメッシュ範囲を表す標準地域3次メッシュ番号
・各月ごとの降水量の月合計値(0.1mm単位)
・降水量の年合計値(0.1mm単位)
・各月ごとの気温(0.1℃単位)
・12月~3月ごとの積雪の月最大値(cm単位)
・積雪の年最大値
・各月ごとの日照時間の月合計値(0.1時間単位)
・日照時間の年合計値(0.1時間単位)
・各月ごとの全天日射量の日積算量の月平均値(0.1Mjm-2)
・全天日射量の日積算量の年平均値(0.1Mjm-2)

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【年間日照時間の分布】

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