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「生活指標MAPの作成」~簡易版新国民生活指標MAP②~

月刊GSI 2013年10月号(Vol.33)

 月刊GSI Vol.31で生活指標MAPの作成を行いました。前回は「住む」「費やす」「働く」「育てる」「癒す」「遊ぶ」「学ぶ」「交わる」の項目に傾斜配点を行い総合的に評価しましたが、今回はライフスタイルごとに採用項目を選定しライフスタイルに合わせた生活指標MAPを作成します。

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1.前回の生活指標MAP

 月刊GSI Vol.31で作成した生活指標MAP(図1)は新国民生活指標の項目・重要度を参考にしながら、MarketAnalyzer™でも取得可能な指標を抽出し、各項目を得点化して総合的に判断しました。
利用した統計項目は「平均地価公示価格」「持ち家率」「駅件数」「平均世帯年収」「平均世帯貯蓄」「事業所数」「正社員率」「女子就業率」「教員一人あたりの生徒数」「保育士一人あたりの児童数」「小中高校件数」「幼稚園保育所件数」「病院診療所歯科医院件数」 「福祉・介護事業所件数」「娯楽施設件数」「塾・カルチャー教室件数」です。

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【図1 生活指標MAP】

2.ライフスタイルの区分

 ライフスタイルにより重要とする項目は様々で、20代単身層の人にとって学習塾や保育所の数は関係ありません。また高齢者にとって病院や福祉施設の数は他の層より重要度が高いでしょう。そこで、若者単身層・子育てファミリー層・高齢者層の3つの視点から生活指標MAPを作成します。表1は各層の採用項目です。+の項目は加点、ーの項目は減点する項目を表しています。

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【表1 生活指標の採用項目】

 

3.若者単身層の生活指標MAP

 若者単身層の生活指標MAPは 「平均地価公示価格」「駅件数」「平均世帯年収」「事業所数」「正社員率」「女子就業率」「病院診療所歯科医院件数」「娯楽施設件数」を採用して作成します(図2)。都心部や電車路線周辺に緑色が濃い暮らしやすいエリアが現れています。

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【図2 若者単身者色塗りMAP】

4.ファミリー層の生活指標MAP

 ファミリー層の生活指標MAPは 「平均地価公示価格」「持ち家率」「駅件数」「平均世帯年収」「平均世帯貯蓄」「正社員率」「女子就業率」「教員一人あたりの生徒数」「保育士一人あたりの児童数」「小中高校件数」「幼稚園保育所件数」「病院診療所歯科医院件数」「娯楽施設件数」「塾・カルチャー教室件数」を採用して作成します(図3)。大阪市中心部は緑色が薄く、周辺のベッドタウンや郊外都市の中心部は色が濃くなる傾向が見てとれます。

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【図3 ファミリー層色塗りMAP】

5.高齢者層の生活指標MAP

 高齢者層の場合は 「平均地価公示価格」「持ち家率」「駅件数」「平均世帯貯蓄」「病院診療所歯科医院件数」「福祉・介護事業所件数」「娯楽施設件数」を採用し生活指標MAPを作成します(図4)。ちょうど単身層とファミリー層の間のエリアで緑色が濃くなる傾向が現れました。単身層は都市中心地を好み、家族を持つと郊外に移り住み、高齢になると利便性のため多少都心部に回帰することを表しているかもしれません。

 単位の違う複数の統計データも偏差値化することにより複合できますので、みなさんも挑戦してみてください。

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 【図4 高齢者色塗りMAP】

「小売業態の小商圏化と100mメッシュデータ」~エリアマーケットデータの小区域化の試み~

1.小売業態の小商圏の概要

 小商圏の小売業態にはコンビニエンスストアやドラッグストアがありますが、2010年ごろから都市型の出店フォーマットとして、生鮮食料品を取り扱うミニ食品スーパーのような業態も出現しました。企業の中には自店舗の半径300mと極めて狭い範囲を商圏と定義付けているところもあります。商圏が狭くなるに伴い、商圏調査のシーンで活用されていた町丁目単位や500mメッシュ(4次メッシュ)単位の統計情報も、小区域化が試みられています。

 今回は小区域化の試みの1つである100mメッシュ人口を使った商圏分析と、従来から活用されている500mメッシュ人口を使った商圏分析とを比べながら、分析結果の違いを紹介します。

2.100mメッシュ概要

 100mメッシュは500mメッシュを25分割した小さな区域です。図1は白金高輪駅(東京都)周辺の人口を500mメッシュの統計で表したものです。図2は同じ場所の人口を100mメッシュで表したものです。図1と図2を見比べて分かるように、人口密集地の偏りがきめ細かく捉えられます。

 さらに、100mメッシュの統計データを使用することで、導き出される商圏内人口の値の地域的精度も向上します。一般的な商圏分析ソフトで商圏内人口を出力する場合、面積按分という手法が使われます。つまり、商圏内に含まれる個別の地域単位(500mメッシュや町丁目等)と商圏の重複する度合いが面積比によって導き出されます。この手法は地域単位が大きいほど、商圏内の集計値の誤差が大きくなりますが、100mメッシュほどの地域単位にすることで、その影響を減らすことができます。具体的な違いを4章で紹介します。

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【図1 500mメッシュ人口(白金高輪駅周辺)】

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【図2 100mメッシュ人口(白金高輪駅周辺)】

3.100mメッシュの人口分布と500mメッシュの人口分布の比較

 1つの500mメッシュの中でも、マンションがあったり、学校があったり、大きな公園が存在していたりと、人口密度が特定の場所に偏っていると推測される場面がよくあります。

 図3は江坂駅(大阪府)周辺の人口分布を表しています。左図は500メッシュの人口分布、右図は100mメッシュの人口分布です。地図からは学校や公園が確認でき、それらの場所には居住者はいないと推測されますが、図3左の500mメッシュ人口データでは局所的な人口密度を表現できていません。一方、図3右の100mメッシュ人口データでは、学校や公園が位置する地域の人口が少なくなっていることが分かります(寒色系の色)。また、人口密度が高い地域(赤色)については図3左では北東の地域のみ出現していましたが、図3右では南東、南西の地域にも存在することが分かります。これらの地域にはマンション等の高層住宅が集まっています。地図を一見するだけでは、オフィスビルなのか、マンションなのか捉えづらいですが、100mメッシュほどの小さな地域単位のデータを用いると、容易に読みとることができます。

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【図3 江坂駅周辺の人口分布①(上:500mメッシュ、下:100mメッシュ)】
許諾番号:Z09LE第115号

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【図4 100mメッシュ人口(江坂駅周辺)】
許諾番号:Z09LE第115号

4.100mメッシュの商圏内人口と500mメッシュの商圏内人口の比較

 100mメッシュ人口を用いることで、商圏内人口の精度を高めることができます。まず、その仕組みを紹介し、その後、大阪府にある食品スーパーをサンプルにして、100mメッシュの商圏内人口と500mメッシュの商圏内人口の比較を紹介します。

 前述の通り商圏内の集計には面積按分という手法が用いられます。図5は商圏の縁を拡大したイメージです。配色されている範囲が商圏内を表し、オレンジの枠線は500mメッシュを表しています。一般的な商圏分析システムでは500mメッシュにおける商圏の重複範囲(面積重複率)を求めます。図5の場合、500mメッシュの約28%が商圏に含まれています。この500mメッシュには5,777人が存在しているため、この500mにおける商圏に含まれる人口は1,618人(≒5,777×28%)と導き出されます。一方、100mメッシュで図5と同じ地域の商圏人口を求める場合、算出区域が25区画に細分化され、それぞれの区域で商圏との重複率が求められます。このように地域単位の細分化により、商圏内集計値の精度向上を図ることができます。
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【図5 商圏と500mメッシュの重複率】

image20【図6 商圏と100mメッシュの重複率】

 それでは、大阪府にある食品スーパー104店(図7)をサンプルにして、自転車5分圏内の人口・世帯数を100mメッシュデータと500mメッシュデータで比較します。

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【図7 サンプルの食品スーパーの分布】

 次の表1はサンプル店舗の自転車5分圏内の人口と世帯数について、100mメッシュデータと500mメッシュデータのそれぞれで集計し、人口の差が大きく現れた20店を抜粋したものです。最も大きな違いを示した店舗は人口4,389人の増加の市岡店です。また、最も人口が減少した店舗は1,477人減少の桃山台店でした。また、世帯数において最も違いが現れたのが本庄店で2,471世帯の増加、逆に減少となったのは守口寺方店の732世帯の減少でした。

image23【表1 店舗別100mメッシュデータおよび500mメッシュデータの集計値】

 サンプルの104店全体では、人口で1,000人以上の違いが出た店舗数は増加・減少合わせて37店、世帯数で1,000世帯以上の違いが出た店舗数は9店ありました(図8、9)。

image22【図8 人口比較(差)】

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【図9 世帯比較(差)】

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【図10 人口比較(増減比率)】

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【図11 世帯比較(増減比率)】

 

 このように、同じ人口・世帯数データであっても、導かれる結果は大きく異なることが分かりました。小商圏業態の商圏調査の1手法として、またあらゆる商圏調査の精度向上に100mメッシュデータをご活用いただければ幸いです。

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