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統計データを活用した生活指標データの作成と暮らしやすさMAPの作成

月刊GSI 2013年8月号(Vol.31)

  国や地域の暮らしやすさを表す指標として幸福度指標というものがあります。数年前にブータンでは国民の97%が幸福だと感じていると話題になりました。幸福度指標はアンケート調査により測られますが、その一方、過去日本では消費者庁が統計データ等を元に国民生活指標や新国民生活指標を作成し、都道府県や地方毎の暮らしやすさを数値化していました。今回はこれらの調査で使われていた指標の中から国勢調査等で取得可能なデータを代用し、簡易的な生活指標データと暮らしやすさMAPを作成します。

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1.生活指標の歴史

 1970年~1984年、GDP(当時GNP)では測れない国民の生活水準を測る指標として「社会指標」が作成されました。その後、生活習慣や価値観の変化に伴い国際比較指標などを追加した「国民生活指標」が作成され、1992年にはさらに豊かさ指標を加えた「新国民生活指標」(people‘s life indicators:以下PLI)に変更され、2002年~2005年は「暮らしの改革指標」が使用されました。「暮らしの改革指標」は東京の人口集中を考慮するため見直されたもので、1990年を基準年として生活が改善されたかどうかを測定しました。2011年には経済協力開発機構(OECD)が『より良い暮らし指標』の作成を行い、国際比較を行う時に使われています。

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【図1 PLIの年度推移】

2.PLIとは

 PLIが作成された背景は、GDPが上がり、経済的に豊かになっても国民一人一人に充実感が得られず、GDPでは測りきれない豊かさや充実感を表すものさしが求められていたと推察されます。豊かさを把握するため要素は8つの活動領域(「住む」、「費やす」、「働く」、「育てる」、「癒す」、「遊ぶ」、 「学ぶ」、「交わる」)を設定し、それぞれを4つの側面( 「安全・安心」、「公正」、「自由」、「快適」 )で得点を付けています。また、8つの活動領域は、どの活動領域をより重視するかという選好度調査により補正されて作成されます(表1)。

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【表1 活動領域別重要度ウェイト】

3.簡易版PLIの作成

 簡易版PLIの作成にあたって表2の16項目を使用します。これらの項目を1kmメッシュ毎に用意し、都道府県の平均値を基準に偏差値化します。さらに選好度調査(2001年)のウェイトを掛け合わせるなど補正を行い、全活動領域の合計値を算出します。

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【表2 簡易版PLIの使用項目】

 

 これに従い、大阪府の簡易版PLIを作成し、地図化したものが、図2の「暮らしやすさMAP」です。

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【図2 大阪府下の暮らしやすさMAP】

 赤色のエリアが暮らしやすいエリア、青色のエリアが暮らしにくいエリアを表します。
 今回は選好度調査によりウエイト付けを行いましたが年齢や世帯状況によりライフスタイルは様々で、重要な項目はそれぞれ違います。次の機会にはライフスタイル毎の得点付けを行いたいと思います。

 

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【付録  PLI体系表(抜粋)】

「国勢調査の指標項目および本調査の追加項目のご紹介」

 国勢調査は、統計データを利用したエリアマーケティングにおいて、最も基礎的な調査として多くの方に利用されているかと思います。しかしながら、その活用項目が人口や世帯数に限られている方も多いのではないでしょうか。今回は普段目が届かない調査項目を取り上げ、兵庫県を俯瞰して、地域間の格差を確認しました。国勢調査の活用場面が広がれば幸いです。

1.平均年齢

 2010年時の日本人の平均年齢は44.6歳(厚生労働省)ですが、地域を細かく観察してみると異なる様相を示す地域があります。
 平均年齢は下記の算出式で求められています。

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 平均年齢は地域の代表的な年齢層を直接表すものではありませんが、日本の平均年齢と大きく異なる場合は、特殊な要因があると推察されます。
 図1は兵庫県を1kmメッシュ(以下、小地域)で分割した際の、平均年齢と小地域の出現数を表したものです。棒グラフのオレンジ色は日本の平均年齢です。赤色は兵庫県で最も出現数が多い、平均年齢48-50歳の小地域数(1,849地域)です。兵庫県は日本の平均年齢と比べ高齢者が多い県であると推測されます。しかしながら、緑色の棒グラフで示すように平均年齢が32-34歳を示す地域は117地域あります。また、図2は平均年齢別に小地域の分布を表したものです。水色で表示される小地域は平均年齢が25歳以上40歳未満を表す地域です。多くは出現していないものの平均年齢が若い地域が点在していることがわかります。

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 【図1 平均年齢別小地域出現数(兵庫県)】

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【図2 平均年齢別小地域分布(兵庫県)】

 

2.人口増減数

 人口増減数はよく使用される項目の1つですが、かつてのように都市部への集団就職もない現在は、大きな人口変動はないだろうとして見過ごされがちな項目でもあります。実際はどうなっているか、兵庫県の小地域で観察してみました(図3、表1)。図3のピンクの棒グラフは人口減が100人未満だった地域数を示しており、これが兵庫県で出現数が最も多い階級です。また、人口増が100人未満だった階級がそれに続き多く現れています。乱暴ではありますが、ほとんどの小地域は大きな人口変化はないことがわかりました。一方、表1に示すように、500人以上の人口減、500人以上の人口増を示す小地域があることも見逃せません。

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【図3 人口増減数別小地域出現数(兵庫県)】

 

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【表1 人口増減数別小地域出現数(兵庫県)】

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【図4 人口総数増減数別小地域分布(兵庫県)】

3.人口(居住期間)

 2010年に実施された国勢調査は10年に1度の本調査という位置づけで、2005年に行われた同調査には収録されていない調査項目が含まれています。その1つが居住期間ごとの人口です。この項目は家電や家具などの耐久財の買い替え需要や、住宅のリフォーム需要を測る際に役立ちます。

 図5は、兵庫県における「居住期間10年以上20年未満」の人口別の小地域出現数です。出現数が最も多いのはこの人口が100人未満の地域です。効率的なプロモーションを行うには、「居住期間10年以上20年未満」の人口が多い小地域を見極めることが重要です。

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【図5 10年以上20年未満居住人口別小地域出現数(兵庫県)】

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【図6 10年以上20年未満居住人口別小地域分布(兵庫県)】

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【図7 1年以上5年未満居住人口別小地域分布(兵庫県)】

4.人口(最終学歴)

 居住期間ごとの人口と同じく、2010年の国勢調査に追加されているものが最終学歴別の人口です。この項目は所得水準の目安として活用されたり、高学歴は子供にも教育熱心であろうという仮説と結び付けて教育業界でよく利用されています。
 図8は兵庫県の「大学・大学院卒業者人口」別の小地域出現数です。出現数が最も多いのは、この場合も100人未満の地域です。大学・大学院卒業者人口が多い小地域を見極めて効率的なプロモーションを実行することが必要です。

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【図8 大学・大学院卒業者人口別小地域出現数(兵庫県)】

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【図9 大学・大学院卒業者人口別小地域分布(兵庫県)】

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【図9 短大・高専卒業者人口別小地域分布(兵庫県)】

 

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