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GISでの道路地図の活用

月刊GSI 2013年5月号(Vol.28)

 GISを用いて商圏分析を行う際の商圏設定方法として、都心や繁華街での商圏分析を除き、道路を軸にしたトラベルタイム商圏設定でより正確な商圏分析が可能となります。このトラベルタイム商圏にて自動車到達圏を設定する際、道路ネットワーク情報を用いて到達エリアをシミュレーションする手法をご紹介します。

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「最新データを搭載したデータ分析」 

1.GISでの道路地図の活用

 一般的にGISを用いて商圏分析を行う際の商圏設定方法として、①任意に地図上で商圏を作成、②円形商圏、③自動車・徒歩など道路を軸にしたトラベルタイム商圏などが挙げられます。各商圏設定にはメリット・デメリットがあり、①は商圏設定を詳細に商圏をシミュレーションすることができる反面、主観が入り過ぎることがあり客観性に欠けることがあります。また②円形商圏は一般的によく使われる手法ではありますが、地理的要因(山や川など)や交通要因(鉄道の踏切や大規模な国道など)による商圏分断要因を加味できないため、過度に商圏人口を集計してしまう可能性があります。その点、道路を軸にしたトラベルタイム商圏設定では、①②のデメリットを解消することができ、より正確な商圏分析を行えます。

 そのトラベルタイム商圏にて自動車到達圏を設定する際、道路ネットワーク情報を用いて到達エリアをシミュレーションする手法が多くみられます。弊社GIS(MarketAnalyzer™)もその一つであり、本稿ではこの道路地図の説明をいたします。

 

2.道路地図の特徴

 MarketAnalyzer™に搭載している道路地図には、交通センサス情報(国土交通省)を搭載しています。自動車到達圏を作成する際には、この交通センサス情報の「旅行速度」を使い、到達圏をシミュレーションしていきます。

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【図1 円形商圏とトラベルタイム商圏の違い】

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【表1 商圏人口の違い】

 

 図1、表1は、円形商圏とトラベルタイム商圏のエリアの商圏人口の差を表しており、地図を見る限りではそれほど大きな変化はないものの、5km圏内と自動車15分圏内では10%以上の差異が出ていることがわかります。

 更に、この交通センサス情報が2011年版と2012年版の地図では大きく異なっていることをご存じでない方も多いかもしれません。昨年2010年調査のデータが国土交通省から発表されたことを受け、2012年版には2010年の交通センサス情報が搭載されていますが、2011年版には2005年交通センサス情報が搭載されています。

 交通センサスは、国土交通省が概ね5年毎に全国一斉に自動車の利用実態を調査したデータです。最新データの集計時期は、2010年9月~11月です。

 主な調査項目としては、道路状況調査:沿道状況区分、交通量調査:時間帯別交通量、旅行速度調査:混雑時旅行速度、昼間非混雑時旅行速度が挙げられます。そのうちMarketAnalyzer™には、昼間12時間平均旅行速度と交通量が搭載されています。では、この情報が更新されることで商圏分析にどのような影響が出るのでしょうか。以下でこの違いを見ていきたいと思います。

3.道路地図の特徴

①道路が新しく開通・渋滞が解消されたパターン
 図2は、ららぽーと甲子園店から自動車30分到達圏をシミュレーションした図です。店舗北側(大阪市内)での商圏が広がっており、道路が開通し、渋滞が解消されたと考えることができます。また商圏人口としては、約3万人増加しています。

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【図2 ららぽーと甲子園店にて自動車30分圏内を検証】

 

②渋滞が激しくなり行動範囲が狭くなるパターン
 図3を見ると、①とは逆にららぽーと新三郷店では商圏が狭くなっています。これは新三郷駅、越谷レイクタウン駅周辺に近年大型の郊外商業施設が相次いで開業したことにより、周辺道路の渋滞が激しくなったためと考えられます。当然商圏人口は約2万人減少しています。

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【図3 ららぽーと新三郷店にて自動車30分圏内を検証】

 

4.まとめ

 今回は商圏設定を取り上げました。旅行速度が更新されたことが商圏変化の最大の原因であることは言うまでもありません。上記の比較地図が物語っているように、道路情報(旅行速度)が古いだけで、数万人というレベルで商圏人口を誤認してしまう恐れがあります。エリアマーケティング(商圏分析)という分野においては、商圏内の居住特性(人口、年齢、職業、家族構成、年収、消費など)を読み解く必要があると言われています。これは大事なことであるものの、特に郊外店での出店計画・既存店分析には、道路という指標が大きく影響していることが分かります。弊社では様々な商圏設定がある中でも都心や繁華街での商圏分析を除き、道路を基準にした商圏設定・商圏分析をお勧めしています。

 

 

1.居住者プロファイリングデータとは

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 弊社では、地域ごとの居住者の特性を容易に把握することができる居住者プロファイリングデータを取り扱っています。現在、国勢調査2010年度版調査を反映した新しいデータの開発を進めており、その検証の中で見えてきた地域特性の変化をご紹介します。

 まず、居住者プロファイリングデータをどのように作成しているか、簡単にご説明します。居住者プロファイリングデータは国勢調査の主要60項目(年齢別人口、世帯人員別世帯数、住宅所有関係、住宅の建て方、就業関係等)を用いて作成しています。これらのデータを主成分分析を用いて縮約し、生成された9つの因子得点を用いてクラスター分析を行い、日本全国を30の居住者特性に分類しています。

 2010年版となる新しいデータは2005年版の分類モデルを踏襲して作成しています。分類パターンは2005年版と同じ30パターンです(図1)。これにより、2010年と2005年の地域別居住者特性の移り変わりが可視化されました。

  

 

【図1 居住者特性の30分類】

 

2.地域特性の変化

 具体的に地域別の居住者特性の移り変わりを見てみましょう。図2は2005年国勢調査に基づく居住者プロファイリングデータ(首都圏モデル版)、図3は2010年国勢調査に基づく居住者プロファイリングデータ(首都圏モデル版)です。同じ色は同じ居住特性を示しています。

■郊外の高齢化進行
 2010年版では国道16号線沿いに黄色のエリアが目立つようになりました。黄色は中分類で田園都市とネーミングされているエリアで、居住特性の特徴として高齢化が挙げられます。
 国道16号線沿いのエリアのほとんどは郊外に当たる箇所です。80年代にかけて地価高騰が進んだ時代に持ち家を求めて人々は郊外での生活を選び、その際に入居したニューファミリーの親の世代が30年経過した今、高齢化を迎えています。都市部から都市近郊にかけては2000年以降、都市再開発が行われ人口増加傾向にありますが、この郊外エリアは人口減少に転じています。

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【図2 2005年版 居住者プロファイリングデータ(首都圏モデル版)】

国道16号に近い埼玉県春日部市の南桜井駅1km圏内の年齢階級別人口構成を見てみましょう(図3)。

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【図3 2010年版 居住者プロファイリングデータ(首都圏モデル版)】

団塊世代の人口構成比が全国平均、埼玉県平均と比べて突出しているのに比べて、団塊ジュニアの構成比が相対的に低いという結果が出ています。図5は南桜井駅半径1km圏内の住宅所有関係別世帯数です。持ち家世帯比率が突出しています。持ち家を購入すれば購入した世代の流動性が低くなり、所有者である世帯主の層は長年その土地に留まり続けます。一方、子供世代は就学、就職など新しい生活環境の変化により親元を離れるとともに、現在のニューファミリーは交通の利便性の問題からこのエリアを敬遠するなどして、結果として団塊の世代の構成比が突出する人口ピラミッドが現れたと考えられます。このようなエリアでは10年、15年後には団塊の世代が後期高齢者となり、介護サービス等の高齢者対策が必要になるでしょう。

 

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【図4 南桜井駅半径1km圏内の年齢階級別人口構成】

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 【図5 南桜井駅半径1km圏内の住宅所有関係別世帯数】

■都心回帰
 図6はクラスター別の人口、世帯の増減を集計したものです。上述のとおり、黄色のクラスター(高齢化、人口減少)はエリアが広がり、増加が目立ちます。一方、ピンク色の都心富裕層も増加しています。

 図2、3の地図を比較してもエリアの変化はあまりありませんが、近年うたわれる、都心回帰の姿が現れています。

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 【図6 クラスター別人口、世帯数推移(2005年、2010年比較)】

3.まとめ

 居住者プロファイリングデータの年度推移を見ることで、地域別のライフスタイルの変遷が浮かび上がります。

 郊外においては高齢化問題が生じており、直近では退職金やこれまでの貯蓄などによるシニア消費が旺盛と考えられます。これらのエリアはシニア向け消費のターゲットエリアとなるでしょうし、中長期的には介護需要が急増すると考えられます。

 都心部については、働き盛りの団塊ジュニア、子育てに忙しいニューファミリーの親の世代が多い傾向があるため、生活利便性を高めるための都市型小商圏フォーマットの店舗展開などが考えられ、エリアマーケティング戦略立案の参考になります。

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