DataInsights™ TOP > エリアマーケティングコラム > 第2回
第1回に引き続き以下では、ジオデモマップをその他のデータベースと組み合わせて活用する場合の考え方と方法について説明します。
ジオデモグラフィクスが依拠するのは(1)ジオグラフィック変数と(2)デモグラフィック変数のみです。これらは(3)サイコグラフィック変数や(4)行動変数に間接的に影響を与えますが、直接的な関連性は明示されていません。
現代のような消費行動の多様性を説明するにはジオデモマップでは不十分だと考える人はこの点を指摘します。
ジオデモでは現実世界の消費者行動の不確実性や曖昧さを説明しきれないというのです。富裕層が富裕層にふさわしい消費行動を首尾一貫して継続する時代は終わりを告げ、変幻自在の消費者がシーンとステージで予測不可能にふるまうマーケットを相手にするには、ジオデモでは単純に過ぎるという批判は的を射ています。
ジオデモ変数基準は、理解しやすく活用しやすいという利点がありますが、そのままではマーケットの複雑系に対応しきれないという弱点があるのです。
背景にあたる考え方
消費者セグメンテーションを行う際の基準は大きく4つに分類されます。(下表参照)
(1)ジオグラフィック(地理的)変数 |
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|---|---|
(2)デモグラフィック(人口統計的)変数 |
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(3)サイコグラフィック(心理的)変数 |
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(4)行動変数 |
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(3)サイコグラフィック変数と(4)行動変数は、それぞれアンケート調査やPOSデータの大規模な蓄積を背景に活用されています。ジオデモ変数基準と異なり、リアルタイムのマーケット動向や潜在マーケットの将来予測を行うこともできます。しかし消費者セグメンテーションを行う際には重大な欠点があります。それは消費者へのアプローチ可能性が閉ざされているという点です。たしかに既存顧客やパネル消費者の情報は詳細に得られます。それらの消費者を幾つかのグループに分類することは容易です。しかしそのセグメンテーションは新規顧客の開拓には、十分ではありません。たとえば、既存顧客データの分析から、富裕層内の特定セグメントに効果的なプロモーション方法が発見できたとしても、それを行使する方法は期待できません。なぜならその「特定セグメント」が一体どのエリアにどのくらいの規模存在するかという情報は、既存顧客が居住していないエリアの情報としては得られないからです。又もう一つの欠点としてデータの不安定さも挙げられます。アンケート調査やPOSデータから得られた情報は、偶然変動によるものなのか、マーケティング変動の本質を示す有用な「兆候」なのかを判別する事は難しいのです。ジオデモ変数データと突き合わせて有効な解釈が成り立つかどうか検証する必要があるのです。
以上見てきたように、それぞれセグメンテーション基準は、利点と欠点を持ち合わせています。それぞれの欠点を補完し、利点を組み合わせることで、マーケットの本質に接近することが可能です。
ジオデモグラフィクスと消費者の情動や行動にかかるデータを組み合わせる一番簡単な方法は、ジオデモマップのクラスター分類別に他の消費者調査やデータベースを集計する方法です。収益・利益や効率性などのクラスター集計値が平均と比較して高いか低いかといったテーブルを用意することができます。
またKamakura and Wedel,は対象とするクラスター内に観測されない異質性を仮定する混合分布モデルをもとにした潜在クラス分析によるセグメンテーションを提案しています。因子分析とクラスター分析を同時に行うような効果がありながら、堅牢なセグメンテーションを可能にする方法です。
そのほかにRamaswamy らはジョイントセグメンテーションという手法を提案しています。ふつうセグメンテーションでは、分類のための基準変数とデスクリプションのための記述変数とに分けて考えます。ジオデモマップとその他のデータベースの組み合わせでは、ジオデモカテゴリーが基準変数、その他のデータベースから得られたデータのカテゴリー集計値が記述変数となります。ジョイントセグメンテーションでは、この記述変数もセグメンテーションの基準変数に含めて活用します。ジオデモ因子スコアと、その他のデータベースのデータとを合わせて基準変数とすることで新しいクラスタリングを行うことになります。こうして得られた新たなセグメンテーションは、ジオデモグラフィクス的観点から見ても、また新たに結合されたデータベースの情報から見ても、非常に分解能が高く解釈しやすいものになります。
(参考)ジオデモマップとの組み合わせに用いられる米国内の主なデータベース
| (1)消費者調査 |
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|---|---|
| (2)メディア関連データベース |
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| (3)ダイレクトマーケティング |
|
| (4)産業別データベース |
|
※黒岩祥太・中野直哉(2008)「新しいライフスタイルセグメンテーションの方法論の開発と適用」
(日本消費者行動研究学会「第36回消費者行動研究コンファレンス報告要旨集」)
ファイン・アナリシスLLC
代表 鈴木 英之
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